むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

バンクシャー: 山火事で繁殖

2018-01-29 10:04:27 | 植物観察記録

宇治市植物公園にバンクシャーの花が咲いていました。よく見ると同じ木にまだ種子ができていない花後の姿があり、下には松笠に似た種子が落ちていました。オーストラリア原産で、現地では約170種が自生していて、高さは30mになるのもあります。円筒状の花の頭部には何百とう小さな蕾が密集してつき、ブラシ状の花はゆっくりと咲くので、生花業者は開花の段階によって収穫時期を見定めるといいます。  花のシーズンが終わると木のような硬い種のさやが形成されます。気温が高く、乾燥している時、またはオースラリアデ頻繁に起こる山火事が発生した際に、種がさや部分より弾け飛ぶように離脱し種子が散布されます。

ユーカリ、カリステモン(ブラシノキ)、などと同様に、火事を利用して繁殖する、オーストラリアならではの植物です。

 


謹賀新年

2018-01-01 15:07:04 | 植物観察記録

明けましておめでとうございます。

7回目の年男、

足腰の衰えは免れないところですが、

今年も精一杯頑張るつもりです。

本年もご愛顧よろしくお願いいtします。

むかご

 

 

 

せいのところ長らく更新をサボっていますが


ヤマグルマ:山車(被子植物では珍しい無導管) 

2017-11-15 15:59:07 | 植物観察記録

紅葉のみたらい渓谷を歩いていて、道筋でも絶景ポイントといわれる“みたらいの滝”の真上にヤマグルマ:山車(ヤマグルマ科ヤマグルマ属)が実をつけていました。植物園では見かけたことがあっても自生を見るのは初めてです。

谷間の岩場などに生える常緑高木で高さ15~20mになります。葉が枝先に集まって互生し、車輪状に見えるのでこの名があります。樹皮から鳥もちが取れるのでモチノキの別名もあります。

5月ごろ枝先に黄緑色の小さな花を多数集まってつけます。花序は総状で、1つの花序に10~30個の花をつけます。花には花弁も萼もなく、車輪状に並んだ5~10個の雌蕊に廻りに、多数の雄蕊が多数つき、雌蕊は側面で合着するというすこし変わった形です。('09.5.4記事)

 花だけではなく、ヤマグルマそのものが、被子植物でありながら、導管を持たず仮導管だけで水分を運ぶ無導管植物として知られています。

 通常被子植物は、機械的に体を支える繊維と、細胞の上下の両端が大きく口を開いていて、縦にいくつも連なり、水や水に溶けた成分が通る導管を持っていますが、イチョウ、ソテツ、針葉樹など球果植物など裸子植物では、両者を突き混ぜたような構造の仮導管で2つの仕事を行っています。裸子植物はこの分業が行われない状態のまま進化が足踏みしていると見られています。

 被子植物でありながら木部が仮導管だけでできている植物にはヤマグルマのほかにセンリョウなどもあります。いずれも木の内部だけではなく、花も進化の途中で止まったような変わった形をしています。ただセンリョウは、花の構造が原始的で、茎の形も草と木の中間的存在で、いかにも未進化植物的なところがありヤマグルマとはすこし異なります。


ハイイヌガヤ:這犬榧(雪に耐える)

2017-11-08 09:52:53 | 植物観察記録

大山横手道にひざ丈ほどの低い木が実をつけていました。

多雪地帯に特有のハイイヌガヤ:這犬榧(イチイ科イヌガヤ属)です。

 北海道、本州の日本海側の多雪地帯に適応したイヌガヤの変種で、高さは2~3m、環境に適応して匍匐形の樹形になっています。幹の下部は地面を這い先端は斜上します。

雌雄別株で、 種子は開花した翌年の秋に熟し、外種皮は柔らかくて、ヤニノ臭さがあるものの、甘みがあり食べられるそうです。

ユキツバキ、ヒメアオキ、エゾユズリハなどの日本海要素の常緑匍匐性植物の仲間です。


クロタキカズラ:黒滝蔓(赤い実で目立つ) 

2017-11-06 17:29:03 | 植物観察記録

 

蒜山高原の近く、津黒高原の山乗渓谷の道にクロタキカズラ:黒滝蔓(クロタキカズラ科クロタキカズラ属)が赤い実をつけていました

本州中国地方、四国、九州に分布し、山地のやや湿ったところにまれに生育する落葉性のつる植物で、つるは淡褐色の皮目があり、葉は互生し長さ5~15㎝で薄く、両面に伏毛があります。

 雌雄異株で、晩春、葉脇に総状花序をつけ、細長い柄に径㎝ほどの黄緑色の小さな花を垂れ下げます。萼、花弁ともに5裂、雄蕊5本、雌蕊はとっくり形で柱頭は5裂します。(‘5年6月9日記事参照)

 果実は核果で、長さ1.5㎝ほどの扁平な楕円形で、9~10月には赤く熟します。

 和名は高知県黒滝山で初めて見つけたことによります。

 

 

 


オオカニコウモリ:大蟹蝙蝠(面白い分布の形) 

2017-11-05 13:07:12 | 植物観察記録

花色が少なくなった大山横手道に咲いていたのがオカニコウモリ:大蟹蝙蝠(キク科コウモリソウ属)です。

本州北部から中国地方の山地の落葉樹林内生えますが、東北地方では太平洋側、中部及び関西では日本海側に偏って分布する多年草です。

高さは約50㎝、枝があって、節ごとにくの字形に屈曲します。葉巾は10~15㎝、裏面の脈上、葉柄には淡褐色の縮じれた長毛を密生します。

花は晩夏から秋、日光に多いのでニッコウコウモリの別名があります。


ヤマブドウ:山葡萄(山ではあまり食べない?) 

2017-10-25 09:59:54 | 植物観察記録

前からノブドウは食べられないがヤマブドウは食べられると聞いてきたのに、関西ではよく目につくのは食べられないほうのノブドウばかりで、たまに信州などで実を見かけても高いところにあって味わうことができずにいました。

はじめて手の届くところにあった大山のヤマブドウを期待をもって口にしてみましたが、酸っぱさが勝ち、渋みもあってとても美味しいもとは言えません。

がっかりして、ヤマブドウの実は、生食したり果実酒にしたりすると聞いてるがと、ガイドさんに尋ねると、ここら辺では食用にする話はあまり聞かないといいます。

帰って少し調べてみると、生食、ジャム、ジュース、ワインなどに大いに利用されているほか、ヤマブドウには、ポリフェノールを多く含まれているので、最近、健康食品として注目されているという記事もあるかと思えば、年によって、場所によって、また木によって味の差が大きいという情報もああります。もしかしたら、大山のは不味い方のヤマブドウであったのかもしれません。


ルイヨウショウマ:類葉升麻(もともと升麻なのに)

2017-10-24 09:09:24 | 植物観察記録

山横手道にルイヨウショウマ:類葉升麻(キンポウゲ科ルイヨウショウマ属)が黒い実をつけていました。深山の樹林内に生える多年草で、高さは30~80㎝、葉は2~3回3出複葉、粗い鋸歯があります。

花茎の先に短い総状花序をだし、白色の花を集まってつけますが、花弁・萼片は早落性で雄蕊が目立ちます。秋、果実は球形で直径約6mm、黒く熟します。

ふつう類葉とは、ルイヨウボタンがボタンではないのに葉がボタンに似ているというのでその名がついているのですが、ルイヨウショウマはの葉はどう見ても升麻の仲間の葉に似ているので、不思議な名づけと思い、少し調べてみました。

升麻とは、もともと漢方薬でキンポウゲ科のサラシナショウマの根茎を乾燥したものですが、バラ科のヤマブキショウマや、ユキノシタ科のトリアシショウマなども根茎を生薬として用いられることや、アジサイ科のキレンゲショウマなど、形態が似ているだけで、古くより薬効の有無にかかわらず科や属を超えてショウマの名を持つ植物が数多くできています。そしてショウマの名を持つ仲間の葉の形は必ずしも同様ではありません。

升麻の代表格であるサラシナショウマと同じキンポウゲ科のルイヨウショウマの場合、類葉とはどういう意味を持つのか、名づけた人に聞いてみたいものです。


ダイセンキャラボク:大山伽羅木(本場で見る大山伽羅木)10月23日

2017-10-23 19:15:14 | 植物観察記録

 

大山横手道から大山寺の間のところどころにダイセンキャラボク:大山伽羅木(イチイ科イチイ属)が赤い実をつけていました。イチイの変種で、大山、道後山、氷ノ山など本州日本海側の亜高山~高山に野生していますが、観賞用として庭園に栽植されることも多い常緑低木です。

ふつう幹は直立せず地面に横に横たわり、高さ約1~2m、時に幹の径15㎝になります。

イチイに似ていますが、長さ1~2㎝の葉が、イチイのように2列に並ぶことはなく、らせん状に密生します。

雌雄異株で、種子は直径3~4㎜の球形で、花のあと肥大して杯状になった仮種皮に包まれます。秋に種子が熟すころには仮種皮は紅色になり甘くて食べられます。もっとも、イチイと同じように青い種子は有毒です。

大山の頂上付近に群落があり、“ダイセンキャラボクの純林”として国の天然記念物に指定されていますが、ふつうはキャラボクで呼ばれています。

和名の伽羅木は、木の材から香料をとる伽羅樹に見立てたものといわれています。


ヤマハハコ:山母子(そのままドライフラワー)

2017-10-22 14:09:14 | 植物観察記録

 

紅葉の千畳敷カールに霜枯れしたヤマハハコ:山母子(キク科ヤマハハコ属)の群生がありました・

山地~亜高山の日当たりのよい乾いた草地や礫地に生える多年草で高さは30~70cm、茎や葉の裏面は綿毛に覆われています。

 互生する葉は茎の下部の葉は長さ約10cm表面は光沢があり3本の脈が目立ちます。

8~9月、茎の先に頭花が集まってつき、白い花弁のように見えるのは総苞片で、カサカサした感じになります。(’12.9.12記事参照)

もともとカサカサした感じのヤマハハコですが、この時期の姿はそのままドライフラワーになっていました。