日比谷同友会 書道愛好会

日比谷同友会 サークル活動

第115回例会(平成26年4月3日)

2014年04月20日 | 例会報告

◇ 先生の講話

1. 王羲之の書

 書を学ぶもののレベルが上がってきて「習字」から「書道」の域に達した時、参考にすべき書家の書風は何種類かあるが中でも王羲之の書風が最も好まれる。王羲之は楷書、行書、草書すべての書体を能くし、「書聖」と呼ばれている。楷書では「楽毅論」、「黄庭経」など。行書の「蘭亭序」は王羲之の書跡の中でも最も高名。草書では「十七帖」。草書の書き方の手本になった。

2. 教育書道と実用字

〇 上述のごとく色々な書家の様々な書風があるが、明治以降実用字として使うための字体が出来上がってきた。特に学校で教育書道としてこの字体が取り入れられてきた。

〇 戦前の書道教育では、手本の上に半紙を置き、一点、一画の輪郭を書かせ、その輪郭の中を筆で埋める、という方法がとられていた。なぜならば、単に輪郭の中を筆で埋めるだけでは書にならないからだ。たとえば「横画」の場合、左45度からしっかり入筆した後、筆のお尻を持ち上げ、穂先が横画の中心を走るように運筆し、収筆部では右肩から穂先と腹を下におろした上で収筆部内側の左上に収める、という運筆になる。こうすることにより、起筆部、収筆部ともにくぼみができ、「のっぺらぼうな単なる横棒」にはならない。起筆部、収筆部のくぼみを表現するには筆をどのように運ばないといけないか、が理解できるようになる(こうした学習方法を「双鉤」法という)。しかし戦後の学校の書道教育では、こうした指導、学習方法がとられていない。

〇 一方戦後の書道教育は、科目名が「書写」となり、「毛筆」とともに「硬筆」(ボールペン、サインペンなど)による実用的な書(硬筆による字自体の書き方、および手紙やお礼状、詩や俳句の美しい書き方など)の教育も重視されている。その例として先生手持ちの「中学書写」の教科書が紹介された。

3. 条幅を例にした教育書道・検定・展覧会作品での書表現の違い

 先生自らそれぞれの書を条幅に書かれた作品を示し、表現の違いを以下のとおり説明された。

教育書道の書検定用の書展覧会用の書
行書。王羲之の臨書形。一字一字独立し、字間も一定でカスレ字もない。 行書。半切書道の基本形。墨付き、カスレの筆運びに「流れ」がある。中央部分にポイントを。創作。個性を前面に出し、訴えたいこと(主旨、自分流)を表現する。また、行書、草書が混じってもよい。

◇ 実技指導

 5月の規定課題「帝京赤縣之」及び各自の課題作品について、長時間にわたり、朱書きによる懇切丁寧な添削指導が行われた。

(出席 8名)(荻野 記)

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