根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

映画『リリィ、はちみつ色の秘密』(試写会)

2009-03-19 23:57:33 | エッセイ、コラム
原作:スー・モンク・キッド、監督:ジーナ・プリンス=バイスウッド、出演:クイーン・ラティファ、ダコタ・ファニング、ジェニファー・ハドソン、アリシア・キーズ、ソフィー・オコネドー、ヒラリー・バートン、ポール・ベタニー、他の映画『リリィ、はちみつ色の秘密』を観てきました。


時代は1964年の公民権法制定時、舞台はアメリカ南部。
主人公は14歳のリリィ・オーウェンズ(ダコタ・ファニング)という女の子です。
彼女は父T・レイ(ポール・ベタニー)、そして黒人の家政婦のロザリン(ジェニファー・ハドソン)に世話になりながら暮らしています。

リリィには悩みがあり、それは4歳の幼児期に彼女には罪のない単純な「事故」で母を死なせてしまったという事。
その「事故」により父との関係もギクシャクとしていて、思春期を迎えたリリィは、度々フラッシュバックとしてあらわれるその残酷で哀しい光景に罪悪感と喪失感を覚え、虚無と孤独の中にいます。

そんなある日、リリィはある事件をキッカケに家政婦ロザリンと家出をする事になってしまいます。
そして、辿り着いた街で、養蜂業を営む黒人オーガスト・ボートライト(クイーン・ラティファ)、をはじめとする三姉妹の家にやっかいになる事になり、そこでの生活の中でそれまで味わった事のない温かく時に哀しい体験をし、リリィに欠落していた大事な物を得ていく、そんな話しです。


アメリカの人種差別を肌で感じた事もなく、また私が男性である事からでしょうか、条件さえ揃えば結構心動かされる作品だったように思えますが、残念ながらピンポイントで私の心に訴えてくる映画ではありませんでした。
女性で幼少期に人生を左右されるような哀しい体験をし、作品中で描かれていた人種差別問題を深く考え、あるいは彼の地で暮らした経験を持ち、皮膚感覚で白人による黒人へのその感覚の醜さが分かる人ならかなりフィットする作品だと思います。
ノスタルジックな雰囲気に満ちた非常に良質の部類に入る作品だとは思いますが、この作品をよく理解する上では、性差・アメリカ体験などの要素が不可欠な映画のようにも思えました。