根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

『天然コケッコー』三度目

2007-08-08 18:03:37 | エッセイ、コラム
渋谷のシネ・アミューズの水曜千円ディーを利用して、三度目の『天然コケッコー』に行ってきました。

三度目ともなると、ストーリーは頭に入っているし、美しいシーンやココロの揺さぶられ所が分かっているので、さぁここで泣くぞ、と準備をしながらの視聴となってきます。
しかし、この映画は優れた絵画を観るように、回を重ねても飽きがきません。
それは元々刺激的なシーンが存在しないが為に、逆に起きる現象なのかもしれません。

何回観てもよく撮れているなぁ、と思うのは、夏の午後の少し傾きかけた陽の光の色です。
あるいは四季の移り変わりで様々な表情をみせる里山の風景など。

舞台となる所は、少し変わり者の人間は存在していても、基本的には善人で構成された田舎のコミュニティーです。
そんな地域社会が日本には、なかなか存在しなくなってきているからこそ、そこで生き生きとした表情をみせる子供たち、あるいは思春期真っ只中の主人公「そよ」のココロの微妙な動きに感情移入し、なんでもないシーンに涙してしまうのかもしれない、そう思いました。

ひとつの映画を観る為に何度も劇場に足を運ぶのは初めての経験です。
この映画には今の私に欠落した「何か」が存在するのでしょう。
とりあえず、今回で『天然コケッコー』を現在都内で上映している映画館3館は全て制覇しました(笑)。