根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

うす紅の砂時計の底にて

2007-04-08 13:04:45 | エッセイ、コラム
朝イチで都知事選の投票に行き、その流れで井の頭公園
を散歩する。

ピークは過ぎてはいるものの、まだ桜の樹には花が残って
いて、風が木々を撫でる度に頭上からハラハラと花びらが
舞い散り、やや薄暗い木立ちの中、その花びらに幾筋もの
朝の木漏れ陽がスポットライトを浴びせかけ、それはとても
荘厳で幻想的な光景を作り出していた。
本当に息を呑む、表現のしようがない美しさであった。

かつてミュージシャンの松任谷由美は、九段にある老舗ホ
テルのラウンジから桜の花びらが降る様を観察し、「経(ふ)
る時」という曲の中でそれを「うす紅の砂時計の底」と表現
したものだが、いやはやミュージシャンという人種はなんと
感性が豊かな人たちなのだろうか、と舌を巻く思いである。

突如、朝の井の頭公園に出現した「砂時計」を堪能し散歩
を終える。

都内有数の桜の名所も、人が少ない朝であれば、こういう
光景にも出会えるのであった。