根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

視線の先

2007-04-29 13:27:42 | エッセイ、コラム
寝る前に服用した風邪薬の影響からか寝汗をかき、その
不快さから夜半に目覚めてしまう。
時刻は午前三時。
不快さを解消するためシャワーを浴び、火照った体を冷や
すため、庭に出て冷気にあたる。
濡れた髪をタオルで拭いながら、あぁ気持ちイイー、と一
人ごちていると、何者かの視線を感じる。
視線を感じた方に目をやると、そこには一匹の猫の姿が。
何時からそこにいたのかは不明だが、塀の上に座り、私
の方をじっと見つめている。

びっくりするじゃないか!、とひとり言とも猫にともつかな
いような言葉を発し、そして今度はちゃんとその猫に向か
って「ニャン」と“猫語”で話し掛けてみるがまるで無反応。
逃げる様子もみせないが、かといって積極的にこちらに寄
ってくるでもなく、ただ落ち着いた調子でジッと私の方を見
つめている。

たぶん80年代ブリティッシュ・ロックが好みで、その中でも
“ポリス”をこよなく愛する猫なのだろう。
ひょっとしたら首からiPodをぶら下げていたかも知れないが、
それは暗くてよく確認出来なかった。

でも、猫に、それも夜中に突然出没するような猫に、

“I'll be watching you”

と言われた所で特に嬉しくもないのだ。


生まれて初めて猫のことを不気味だと感じた夜だった。