韓国建設業界、海外で来年200億ドル損失も
朝鮮日報日本語版
2013/09/17
李衛栽(イ・ウィジェ)記者
SK建設の崔昌源(チェ・チャンウォン)副会長が11日、業績不振の責任を取り、理事会(取締役会)の議長を辞任し、韓国建設業界で不採算の海外工事に対する懸念が高まっている。
過去4-5年にわたり、海外の工事入札現場では、韓国の建設会社同士が過当競争を繰り広げ、「ダンピング受注」が相次いだ。その後遺症が今年に入り表れ始めた格好で、事態は今後さらに悪化する可能性がある。
SK建設は6月中間決算で営業損益が2618億ウォン(約241億円)の赤字となったが、その大部分がダンピング受注疑惑が指摘される海外の工事で発生したものだった。
特に2011年に受注したサウジアラビア・ワシットのガスプラントで1500億ウォン(約138億円)、10年に受注したサウジのキングアブドラ研究センター住宅団地で500億ウォン(約46億円)の赤字を出した。
いずれも予定価格の40-60%という安値で落札し、ダンピングが指摘された事業だ。同社は「海外工事の原価が予想より増大し、損失が膨らんだ」と説明した。
GS建設とサムスンエンジニアリングも海外の建設現場でのコスト上昇で業績が影響を受けた。
GS建設はサウジアラビアなどの工事現場で多額の損失が生じ、今年第1四半期(1-3月)の営業損益が5354億ウォン(約492億円)の赤字となった。
サムスンエンジも第1四半期の営業損益が2198億ウォン(約202億円)の赤字となった後、黒字転換できるとしていたが、第2四半期(4-6月)も887億ウォンの赤字を計上した。
今年完成予定の米ダウ・ケミカルの塩素プラント、サウジのマデン・アルミニウムプラントだけで3000億ウォン(約276億円)を超える損失が生じた。
その影響で、今年6月にGS建設の許明秀(ホ・ミョンス)社長が辞任し、サムスンエンジも先月、朴基錫(パク・キソク)社長が更迭された。
20年以上にわたり、海外のプラント建設現場で勤務した大手建設会社の役員は「後発企業であればあるほど、実績を上げなければならず、安値で受注するケースが多かった。
業界では安値で受注すれば損失が避けられなくても、安値で受注競争を展開することが多かった」と指摘した。
問題は海外工事をめぐり暗い見通しが示されていることだ。
韓国建設産業研究院は11日に開かれた討論会で、来年に完成する海外建設工事が契約額ベースで過去最高の740億ドル(約7兆3900億円)となり、40億700万-195億6000万ドル(約4000億-1兆9540億円)の損失が発生するとの試算を明らかにした。
同院はまた、海外での建設工事完成が来年に集中し、安値受注による損失、工事遅延による遅延補償金の支払いが持ちこたえられないほど深刻化することがあり得ると指摘した上で、「一部建設会社は1980年代初めの海外建設危機当時のように海外工事の損失で倒産する可能性がある」と警告した。
同院のイ・ボクナム研究委員は「完成予定金額に対し1%の損失が生じただけで8000億ウォン(約736億円)を超える規模になる。潜在的リスクを診断し、損失を軽減するとともに、収益性を高めるための対応策を講じる必要がある」と指摘した。