ビルマの政治囚は2007年に増加:現在も弾圧が続く/ビルマ情報ネットワーク(BurmaInfo)

2008-02-10 18:10:42 | 世界
ビルマの政治囚は2007年に増加:現在も弾圧が続く

2008年1月31日
政治囚支援協会(AAPP)

 ビルマでは9月に全国的なデモが起きたが、これへの弾圧により国内の政治
囚は2007年に増加した。現在ビルマには少なくとも1864人の政治囚がいる。た
だしこれは弾圧以降に拘束された事例のすべてをカバーしているわけではない。
2007年の数字は2006年と比べて706人増加した。なお、詳細については政治囚
支援協会のウェブサイト(http://www.aappb.org)を参照のこと。

 2007年9月のデモに関連して拘束された人々に対して、収容先では拷問と虐
待が行われた。デモの発生後に使われている収容施設の一部は、本来の収容施
設ではなく、教育施設やスポーツ施設だった。本協会は、以下の場所を、多数
の被拘束者を収容している施設として確認している。

・国立技術専門学校(GTC)(ヤンゴン市インセイン区)
・第7警察署(同タニン区)
・アウンダビェ(同マヤンゴン区)
・第5暴動鎮圧部隊(同フモービー区)
・パレーミョ警察署(マンダレー市)
・チャイカサン尋問センター(ヤンゴン市タームエ区)
・ガバエー・パゴダ通りタータナイェイター(同バハン区の宗教施設)
・イェーチーアイン(同ミンガラドン区)

 釈放後にマスコミのインタビューに応じた活動家によれば、被収容者は十分
な飲料水と食糧を与えられなかった。きちんとした寝具も毛布もなく、過密で
換気の悪い施設内で拘束され続けた。この間、質問に答える間は地面にうつぶ
せになってほおをつけさせるという拷問が行われた。また伝えられるところに
よれば、屈辱を与え拷問を加えることを目的として、被収容者2人に互いのほ
おを繰り返し平手打ちするよう命令が下された。

 2007年9月のデモ後に逮捕された僧侶は強制的に還俗させられ、汚れた一般
人用の服を着させられた。複数の僧侶が殴る蹴るなどの激しい暴行を受けた。
収容中の拷問の量や厳しさは、僧侶だからといって軽減されることはなかった。

 被収容者の多くが、収容中に適切な医療を受ける機会を与えられなかった。
刑務所と同じで、監視係は医者の診察を受ける許可と引きかえに、賄賂を受け
取ることが多かった。医療の不足は懸念材料である。2007年に、AAPPはタウン
グー刑務所だけで、少なくとも30人の囚人(一般囚)が死亡したことを把握し
ている。多かった死因は、所内で感染した結核またはHIV/エイズである。

 刑務所のHIV/エイズ患者は適切な薬が支給されていない。これは結核やマラ
リアに感染する人でも同じである。政治的な理由で拘束されているビルマ国内
のすべての被収容者と囚人は、収容を直接の原因とする健康問題に直面してい
る。被収容者と囚人の多くが皮膚病になっており、栄養失調状態にある。政治
囚と被収容者の健康状態は2007年にきわめて悪化した。

 ビルマでは、ほとんどすべての活動家が逮捕状なしに身柄拘束されており、
人によって異なるが一定期間は外部交通(面会や外部との信書のやりとり等)
が遮断された状態に置かれる。弁護士と接触する機会を与えられず、不当な形
で裁判を受け、判決を下されることがほとんどである。刑法犯として訴追され、
強制労働収容所に送られる活動家も多い。2007年9月の抗議行動に参加した人
たちに対して、腐敗した不当な司法制度による判決がやがて下されることにな
る。

 すべての活動家は逮捕されると、収容施設に送られる前に非人間的な取調べ
を受けることになる。尋問は公安部(SB)、刑事部(CID)と管区警察が担当
する。活動家の多くが、軍治安部(MSAD)による尋問を受けている。軍治安部
は2004年に解体された軍情報部(MI)の代わりに設置された機関である。尋問
時の拷問の手法は、収容中に用いられるものよりも厳しい。

 ビルマ政府はあらゆる反政府活動を弾圧することを目指しており、2007年に
はこの延長線上に憂慮すべき傾向が表れた。複数のケースで、潜伏中の政治活
動家の親族が、本人を出頭させることを目的として、身代わりに拘束されてい
る。本協会は以下の個別の5つのケースを把握している。

1) テッテッアウン氏は2007年10月19日に逮捕された。本人の逮捕前に母と義
母が、潜伏先から本人をあぶり出すために身柄を拘束された。

2) コー・ニェインティッ氏(詩人、元政治囚)は現在も潜伏中だが、妻のキ
ンマーラー氏が身柄を拘束されている。

3) タインエイ氏は、ディニェインリン氏(全ビルマ学生会連盟=ABFSU幹部)
を自宅にかくまっていた。ディニェインリン氏は逮捕を逃れたが、テインエイ
氏が身柄を拘束された。

4) ピタ氏とヌーヌースウェ氏はシトゥマウン氏(ABFSU幹部)の両親である。
ふたりは逮捕され、現在もインセイン刑務所に収容されている。

5)ウー・ガンビラ師(全ビルマ僧侶連盟(ABMA)の代表で、9月の抗議運
動の指導者のひとり)は11月に逮捕された。本人の逮捕より前に当局は、父の
ミンルウィン氏と、きょうだいのアウンチョーチョー氏を逮捕した。父はその
後釈放された、しかし、アウンチョーチョー氏はインセイン刑務所に現在も収
容されている。

 デモ参加者などの逮捕が続き、政治囚が非人間的な処遇環境に置かれている
にもかかわらず、ビルマの人々への弾圧とそこでの苦しみに対処するという点
では、国際社会の取組みはほとんど前進していない。国連事務総長特使のガン
バリ氏と、国連のビルマの人権状況に関する特別報告者のピネイロ氏の二人が
ビルマを訪問したが、実質的な結果は一切生まれなかった。ビルマ政府はガン
バリ氏に対し、逮捕を停止すると公約したが、政治活動家が指名手配され、逮
捕され、身柄拘束され、拷問される状況には現在も変わりがない。国際社会は
他の問題に注意を向けている間に、ビルマ国内の弾圧はいまだ続いているのだ。

 政治囚支援協会はこれまでもすべての政治囚の釈放、ならびに被収容者への
拷問と虐待の停止を求めてきた。この場を借りて、この要求を再度繰り返すも
のである。

詳しい情報は以下にお問い合わせください。

コーテッ (+66) 81 2878 751
ボーチー (+66) 81 3248 935

出典:Assistance Association for Political Prisoners (Burma), "Number
of Political Prisoners Increases in 2007: Crackdown in Burma Continues,"
January 31, 2008.



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配布元: BurmaInfo(ビルマ情報ネットワーク)
    http://www.burmainfo.org
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