電子警察の実体は取調べの可視化、捜査資料の全面開示でも不可視なままだ

2010-01-31 21:18:07 | 社会
取調べの可視化、捜査資料の開示の問題に関連して、表記のような
エッセイをブログに書きました。関心のある方はお立ち寄りください。

http://alt-movements.org/no_more_capitalism/modules/no_more_cap_blog/details.php?bid=36
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toshimaru ogura
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電子警察の実体は取調べの可視化、捜査資料の全面開示でも不可視なままだ/小倉利丸
盗聴捜査の報告は、警察庁、厚生労働省、海上保安庁、検察庁から出されるが、「傍受」対象の犯罪、傍受された通信と犯罪関連通信の数、令状発付数がリストとなって出されるが、どの都道府県警がいつからいつまで盗聴捜査を行ったのかといったことすら公表されないので、どのような犯罪捜査で盗聴捜査が実施されたのかはわからない。
また、盗聴されたのが、メールなのか、ショートメッセージなのか、それとも通話なのかの区別のわからない。
盗聴法が国会で審議されていた当時は、携帯電話の盗聴は技術的に不可能だといわれていたにもかかわらず、その後の盗聴捜査の実施ではほぼ100%盗聴されているのは携帯電話である。
米国でも問題になってきたように、盗聴された通信のうち犯罪関連通信は全体の3割程度で、残る7割は無関係な通信だという事情は日本でも変わっていない。
また、国会審議中に不可能とされた携帯の盗聴がどのような技術によって可能になったのかも不明だ。
そもそも盗聴捜査に用いられる機器類やプログラムは盗聴法が成立してから10年ほどたつが、まったく機器の更新やプログラムのアップグレードなど行われてこなかったのか?
機器の技術的な仕様は、盗聴能力に直接影響し、捜査機関の裁量の範囲を広げる危険性がある。
この点についてもまったく今のところ不明なままだ。
この間の技術進歩を考えると、機器やソフトの更新がまったくなされていないとは考えにくい。

他方で、この間、捜査機関のずさんな捜査や拷問ともいえる手法による自白偏重の取調べが数多くの冤罪を生み出してきていることが徐々にあきらかになってきた。
盗聴法の国会審議でも法務省は、性善説にたって捜査機関を疑うことは不要であり、捜査機関が適法な捜査を行うということを前提としていることを主張してきた。
しかし、これだけ冤罪事件が多発していることが発覚してきた現在、こうした性善説にたつことはむしろさらなる冤罪を生み出す危険性が高い。
取調べの可視化や裁判における捜査資料の全面開示の要求が、マスメディアですら取り上げられるようにまでなったが、盗聴捜査にかかわる資料の開示もまた捜査過程の可視化にとって重要だという点にまでは、あまり踏み込まれていない。

盗聴捜査に限らず、捜査機関が膨大に溜め込んでいるデータが紙媒体からデジタルデータに移行しているなかで、デジタルデータの改竄や流用をチェックするための技術的な歯止めが不明確なことは冤罪の技術的な温床となる危険性をはらんでいる。
デジタルデータの場合、改竄や捏造は容易であるから、証拠のつじつまを合わせるためにデータを改竄することが行われないとはいえない。
この理屈は、警察自らが、電子データの証拠保全の強化の理屈として持ち出していることだが、このことは警察が保有している電子データにも当然あてはまることである。
冤罪という権力犯罪を防ぐには、当然のこととして警察の電子データの改竄、隠滅などを防ぐ手立てが必要だということになろう。
このようなことは素人でもわかることだから、デジタルデータを裁判所が証拠として採用するかどうかという観点からすると、採用されない可能性も高くなってもいいはずだ。

昨年8月に サンケイは次のように報じた。

 海上保安庁は3日から、裁判所に提出する事件・事故の証拠写真をデジタルカメラで撮影する。警察庁も本年度中の全国導入を決めているが、捜査機関での実施は初めてで、海保は「コスト削減のほか、捜査の迅速化につながる」と期待している。
 海保関係者によると、デジカメで撮影した画像は編集や書き換えができるため、捜査機関は、これまでフィルムカメラを使用。しかし昨年、メーカーが書き込みデータが瞬時にロックされ、改竄(かいざん)や消去ができないメモリーカード(記憶媒体)を開発した。海保は検察庁と協議し、証拠として公判にも使えるとの結論に達した。(以下略)

この記事は二つの点でぼくには興味深いものだった。
ひとつは、こうした新たな技術仕様をもったデジカメの導入で、撮影したデータが改竄や消去ができないデジタルデータとなり、証拠としての信用性がこれまでのフイルムによる写真同等になるといえるかどうかは、実はわからない、ということだ。
改竄や消去が不可能な仕様がどのようなものか、その技術の詳細が公表され、第三者の専門家によって検証されないかぎり、これだけでは、なんともいえないということだ。
もう一つは、裁判所や検察は、捜査機関から送られてきた改竄も消去もできないデジタル写真による証拠であるということを自ら確認できる技術力を持っているのかもわからない。
他方で、興味深いのは、消去できないわけだから、都合の悪い証拠も消去できないということになるはずであり、これは、都合の悪い証拠を隠滅するようなことが難しくなるかもしれない。
そもそも捜査資料の全面的な開示の制度がなければ意味のないことではあるが...。

さて、もう一つ興味深いと思ったのは、デジタルカメラが上記の報道にあるように、証拠写真としての能力を欠いているというのは、本当なのか?
これまでも裁判では証拠として採用されてこなかったのか?という点に関わる。
もしデジカメの写真が証拠として公判で使えないのなら、ぼくたちが、デモで遭遇するデモの参加者を上回る数になる場合すらある公安警察が手にする多数のデジカメやデジタルビデオカメラは一体何なのだ?ということになる。
公安警察などが利用するデジカメの類は、そもそもが犯罪捜査にかかわる証拠となることを前提としていないということになる。
とすれば、デジカメに収められた資料はいったいどのような目的で使用されているのだろうか。

*以下
No more Capitalism




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