熊本地震で差別的デマ拡散/中日新聞4.16朝刊から抜粋紹介

2016-04-17 00:27:23 | 社会
熊本地震で差別的デマ拡散/中日新聞2016/4/16朝刊
http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=358414&comment_sub_id=0&category_id=116&from=news&category_list=116

熊本県益城町で震度7を観測した地震の直後から、ツイッターには、1923(大正12)年9月の関東大震災時の朝鮮人虐殺を思わせる流言飛語が出回った。
災害時にデマはつきものだが、今回のケースは、在日コリアンらを排斥するヘイトスピーチ(差別扇動表現)にほかならない。


◆住民不快感、コリアン困惑

 差別的な投稿がツイッター上に登場したのは14日午後9時35分、最初の地震からわずか9分後のことだった。「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」や「暴動を起こしている」といったデマが流れて大勢の朝鮮人や中国人が自警団などに惨殺された関東大震災を模倣したのは、間違いない。

 今回の地震では、その後も「熊本では朝鮮人の暴動に気をつけてください」や「こういう時に暴言はもちろん盗みとか嘘募金とかやる中国朝鮮人にご注意」などの書き込みがツイッターに相次いだ。

 益城町総合体育館で一夜を過ごした里形明徳さん(73)は15日にそんなデマを知り「なぜこんな時に変なことを言いはやすのか」と不快感をあらわにした。
公民館に避難している塚本悦子さん(63)もデマについて「全然知らなかった。私はもともと心臓が悪い。知らないところであれこれ言われていると思うと気持ち悪い」と眉をひそめた。
 「デマを流すのは匿名の誰かでしょ。そんなことして面白いんですかね」とあきれるのは、町内のスーパー「よかもんね!」で陳列棚から落ちた食料品の片付けなどに追われていた店員の松本修治さん(51)。
「地震後はフェイスブックで『水が足りない』『生理用品が必要』という呼び掛けがあり、みんなで協力し合った。
ネットはそういうことに使うべきでしょう」
 町内で文具店を営む尾塚三夫さん(66)も散乱した商品の片付けをしながら「そもそも井戸なんて、ここいらに一つもない。ばかげたデマだ」とばっさり。
「町内には農業を手伝うアジア系の人も暮らしている。
みんなまじめな人ですよ。妙な投稿はやめてほしい」と憤った。
 町役場を訪れると、ほかの自治体などからの救援物資が次々と運び込まれていた。
手書きの掲示板には「TELください」の差し迫ったメッセージもある。
 町民の安全確保や安否確認などに駆け回る町職員たち。
町災害対策本部の職員は「井戸の毒もなければ暴動もない」と全面否定した。

◆ヘイトスピーチ「ネット規制を」
 熊本の在日コリアンは、ツイッター上の差別デマに困惑気味だ。

 在日本大韓民国民団(民団)熊本県地方本部の崔相哲(チェサンチョル)事務局長は「アジアにとって日本と韓国は大事な関係。このような書き込みはお互いにとって不幸なことだ」と表情を曇らせる。
 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)熊本県本部の担当者も「これまで熊本でヘイトスピーチはなかった。まさか熊本であるとは夢にも思わなかった」と不安を隠さない。

 ネット社会の昨今、災害時の外国人差別デマは、ツイッターなどを通じて急速に拡散される。
 例えば、2014年8月に広島市を襲った土砂災害では、被災地で計12件、空き巣などの被害があった。
ネット上では「在日コリアンの犯行」と決めつけるデマが横行したが、逮捕されたのは日本人一人。
広島県警の広報担当者は「情報通りの事実は確認できなかった」と説明する。

 東京大総合防災情報研究センターの関谷直也・特任准教授は「被災地では人命救助が最優先となり、犯罪する側も被災するので、犯罪はむしろ減る傾向にある。しかし、避難生活などで避難者は不安を感じ、市民も犯罪が起こりやすいと信じているため、うわさが流布されていく」とみる。
 ただし、熊本のケースは、従来の災害時とは様相が異なる。
「発生数分後から書き込んでいる。国も県も市町も、被害の詳細を確認できない段階だ。自然発生的に生じたうわさというよりは、ヘイトスピーチのようなものだ」(関谷氏)
 今回は、「カウンター」と呼ばれる人たちが即座に対抗した点も特徴だ。ヘイトスピーチのデモに路上で直接抗議をする人たちで、差別的な投稿に「デマ流すなよ、消せ」や「通報して潰しておきます」などとコメントを付け加えている。
 
 ツイッター社の広報担当者は、一連のデマ投稿について「そのようなツイートがあったことは理解している」としたが、削除したかどうかについては「個別のケースにはお答えできない」。
とはいっても、一部の投稿は消えており、全く野放しにしているわけではなさそうだ。

 関東大震災時の朝鮮人虐殺を取り上げた『九月、東京の路上で』の著者であるノンフィクションライターの加藤直樹氏は「行政が自らデマを否定することが望まれる」と説く。
 関東大震災では、朝鮮人による「爆弾計画」「井戸への投毒」などの報告が都内の警察署から上がった。
巡査は暴動への警戒を呼びかけたり、自警団と一緒に朝鮮人を追い掛けたりした。
加藤氏は「差別を打ち消すのではなく、逆に広げた結果が、あの大虐殺だ。
熊本の件もほっておけば、二次的な被害を呼ぶ恐れもある」と警鐘を鳴らす。

 現行法では、刑法に名誉毀損罪や侮辱罪の規定があるが、不特定多数に向けたヘイトスピーチにはほとんど対応できていない。
 現在、与野党双方がヘイトスピーチ対策法案を参院に提出している。

 

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