【 PUBLICITY 】 1814 :地上戦はハマスの願ったところ

2009-01-13 09:18:46 | 世界
■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1814 2009/01/13火■■


▼神浦さんのサイトのメールでのやりとりのコーナーに、「C
NNが白燐爆弾と報じました。(1月9日)」という投稿が来
て、それに対して神浦さんが寄せたコメント。

の前に、「白燐弾、ここにも不気味な写真があります」という
ことで、


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AP reports "Israel extensive use of
white phosphorus munitions in Gaza".

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5447590.ece

White Phosphorus is categorized as a
chemical weapon with fatal
characteristics.
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というメールをいただいたので紹介しておく。確かに不気味だ。

白燐弾は一般紙も報じ始めたようだ。しかし、新聞表記の「白
りん弾」ってのは、日本語としてはどうなんだ。漢字とひらが
なとを比べた時、明らかに表現が貧弱化していると思うのだが
いかに。ま、こういう例、いっぱいあるけども。

ということで、神浦さんの指摘。


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以下のお返事は、以前、「あれは発煙弾です。対人焼夷弾(白
燐弾)などというものではありません」というメールを頂いた
方に対する反論です。おそらく多くの人が同じような誤解をさ
れていると思って、今日はその「反論」を掲載します。

ーーーお返事(「反論)----

日本では毎年夏に行われる富士の総合火力演習で、最後は戦車
部隊が横一列に並んで、同時に、前方に発煙弾を発射して白い
煙幕の壁を作る演出をやります。ですから多くの人が煙幕弾は
空中に発射するものと誤解しています。

あれは敵が戦車を狙って測距離やミサイル誘導のレーザー光線
を照射した際、その敵のレーザー光線を戦車が感知し、その対
戦車ミサイルの攻撃から逃れるために煙幕弾を発射します。本
当はその直後に戦車は後進をかけ、一気に付近のくぼ地などに
車体を隠します。ですから煙幕の効果が一時的であってもしか
たないのです。

本来の地上戦で使われる煙幕弾は、出来るだけ長時間・大量の
煙幕を放出し続けるものが用途に合っています。煙幕は風に流
されることを考量して着弾しています。煙幕弾を空中破裂させ
る必要はなく、空中破裂では煙幕がすぐに風に流されて煙効果
が減少します。(攻撃目標を示すための発煙弾であっても、空
中破裂させる必要はありません)

ならば地上攻撃(砲撃)にりゅう弾を使用する方が白燐弾より
効果があるといえます。りゅう弾は爆風や砲弾の破片で建物を
壊したり、付近の兵士を殺傷する効果が大きいからです。

しかしりゅう弾なら一般市民が生活する市街地では使えません
。威力が大きすぎるからです。もし、ハマス専用の施設であれ
ば、イスラエル軍は精密誘導爆弾や攻撃ヘリからの対地ロケッ
ト弾、あるいは砲兵のりゅう弾砲で破壊することは可能です。
(実際に行っています)

白燐弾は私が対人焼夷弾というように、建物を壊したり、地下
を貫通する威力はありませんが、建物と建物の狭い路地などに
隠れた人間を攻撃できます。それも石やコンクリートの建材で
作られた建物なら、施設を壊すことなく攻撃するのが可能なの
です。特に迫撃砲に白燐弾を使うと、その弾道(飛翔コース)
の特性から、垂直に近い角度で落下し、空中爆発で狭い路地に
いる者を白燐で焼き殺すことが可能になります。

しかし上空の無人偵察機や偵察ヘリからは、兵士(戦闘員)と
一般市民や避難民を区別することができません。だから白燐弾
は残忍兵器と私は考えています。


■タイトル
イスラエル国内
強まる懸念
ガザ地上戦
「果てしない苦痛の始まり」
(読売 1月7日 朝刊)

■概要
イスラエル軍は5日から6日にかけて、パレスチナ自治区ガザ
市で本格的な地上戦に踏み切った。狙いはハマス軍事部門の破
壊と再武装の阻止だが、人口密集地帯での戦闘で双方の犠牲者
は急増、イスラエル国内では、作戦失敗の可能性を指摘する声
も出始めた。

イスラエル政府報道官は、今回の作戦目標として、1:ハマス
の軍事力破壊 2:ハマス再武装化阻止 3:ロケット弾発射
の代償をハマスに分からせる、 との3つをあげた。

6日までの作戦では、貧民層の多いガザ東部でハマス掃討の最
も激しい戦闘を繰り広げている模様。ガザ中部のハンユニス(
人口約30万人)では幹線道路を遮断して、民兵の移動や武器
搬入ルートを封じる作戦を実施。ガザ西部のラファでは武器・
資金密輸ルートのトンネルをしらみつぶしに破壊している。

ガザ北部のジャジャイヤでは6日、国連が運営する学校で避難
していたパレスチナ人40人がイスラエル軍の砲撃で死亡した
。イスラエル側は「ハマスは一般市民を盾にしている」と主張
し、民間人の犠牲をハマスの責任としているが、国際社会では
イスラエルへの批判が高まっている。

3日間の地上戦にもかかわらず、5日にはイスラエル側に約4
0発のロケット弾が着弾。6日にはガザの境界線から40キロ
の都市部に着弾した。イスラエル兵4人が「自軍の砲火」で死
亡し、密集戦の難しさを露呈した。

停戦を拒否し、地上戦を続けるイスラエル政府の姿勢に対して
、国内メディアの間でも、「ガザ再占領の道に突き進んでいる
」「果てしない苦痛の戦いが始まった」といった厳しい論調が
目立ち始めた。

■コメント
ガザでの市街戦はハマスが待ち望んだ戦闘環境だ。今までのハ
マスのロケット弾攻撃はガザの封鎖を続けるイスラエルを挑発
し、ガザへの軍事進攻を誘い、市街戦でイスラエル軍に手痛い
打撃を与えるためだった。

ハマスの軍事部門の人数(兵員数)は約1万8000人と推測
されている。今までの空爆などでハマス戦闘員の死傷者を20
00人と見積もっても10パーセント程度の損耗でしかない。
ハマスで軍事訓練を受け、組織的に戦える戦闘員がまだ1万6
000人もいるということである。

さらにハマスが市街戦で戦える有利さとは、地形や建物の配置
を知り尽くした場所で戦え、家族や友人を守るために戦えると
いう士気の高さが維持できることだ。逆にイスラエル軍は非正
規戦(非対称)という最も悪い戦闘環境での戦いとなる。また
ガザという高人口密集地での市街戦では一般市民への被害(誤
認・誤射)は避けられない。これが国内・国際世論で不利にな
ることは間違いない。

今回のガザ戦闘でハマスが勢力を拡大することは必至である。
戦闘が長引けば長引くほどイスラエル側に焦りが強くなる。こ
れがアメリカやイスラエルが最も恐れる06年のイスラエル軍
レバノン南部侵攻作戦の失敗と同じになることだ。06年のレ
バノン南部侵攻では、ヒズボラに打撃を与えられぬまま撤退し
、逆にヒズボラの支配を強める結果になっている。
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▼「オリーブの樹」第85号(2008年12月14日)の重
信房子「独居より」に、以下の記述あり。同感。


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(オバマ勝利に関して)でも、もちろんオバマ一人の力では中
東は変え得ない構造です。中東政策は、イスラエルに制裁を科
す覚悟がないと公正な平和に向かって変わり得る展望は作れま
せん。それは、米欧のユダヤ資本、ユダヤロビーとの攻防にな
りますから。

しかし、また、21世紀中には、今の構造ががらりと変わるこ
とだって可能でしょう。アラブの人は、

「20世紀は負けたけど、21世紀は勝つ」

なんて息の長い言い方をしていたのを思い出します。p8
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▼ニッポン人は、20世紀は勝って負けて勝って負けて、忙し
い100年だった。21世紀のことはわからない。個人として
勝つと思い定めてる人は腐るほどいるが、ニッポンとして勝つ
と思い定めてる人は、どうも少ないんじゃないだろうか。


freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html
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