市立図書館の司書が、「新しい歴史教科書をつくる会」や関係者の著作などを処分したことが違法かどうかが争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は14日、「公立図書館は本の著者にとって、思想や意見を伝える公的な場であり、職員の独断的な評価や個人的な好みで著書を廃棄することは、著者側の伝える利益を不当に損なうものだ」との初判断を示した。つくる会側の主張を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。
第一小法廷は、著者の思想の自由や表現の自由が憲法で保障された基本的人権であることを重視。「著者が意見などを伝える利益は、法的保護に値する人格的利益だ」と位置づけ、「図書の廃棄は著者の人格的利益を侵害し、違法」と結論づけた。
問題となったのは、千葉県船橋市立西図書館の女性司書が01年8月、同館の除籍基準に該当しないにもかかわらず、つくる会や同会関係者の著書30冊を含む計107冊を廃棄したこと。「教科書が教えない歴史1」などが廃棄された。
これに対し、同会と井沢元彦氏ら著者7人(うち1人は死去)が「表現の自由などの権利を侵害された」などとして、市と司書を相手に計2400万円の損害賠償を求めていた。原告の著書以外で廃棄されたのは、西部邁氏の著書43冊と渡部昇一氏の著書25冊など。
一審・東京地裁は「司書が個人的な好き嫌いの判断で大量の蔵書を廃棄したのは、本を所有する市に対する違法行為だが、著者との関係で違法となることはない」「蔵書をどう扱うかは原則として市の自由裁量」などとして原告の請求を棄却。二審・東京高裁も「購入された書籍の閲覧方法などに不適切な点があっても、著者の法的な権利や利益に侵害があったとは言えない」として控訴を棄却していた。
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井上敏子さんのメール・転載
朝日新聞 (7/15 朝刊社説)
蔵書廃棄 自由の番人でいる重さ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#syasetu1
には、
>4年前にベテランの司書が107冊の本を廃棄処分にした。
>「新しい歴史教科書をつくる会」の役員や評論家の西部邁さん、渡部昇一さんらが書いた本だった。
となっています。
でも、昨日の朝日新聞の記事では、
>つくる会や同会関係者の著書30冊を含む計107冊を廃棄したこと
http://www.asahi.com/national/update/0714/TKY200507140233.html
となっています。
107冊が独り歩きし始めました。
この件については、朝日新聞(7/15 朝刊第3社会面)に、
>蔵書廃棄訴訟勝訴 原告「新しい権利」
>千葉県船橋市西図書館の司書が「新しい歴史教科書をつくる会」の著作などを処分したことをめぐる訴訟で、
>原告側は14日、最高裁が著作者の利益侵害を認めた判決を受けて記者会見し、
>「著作者の新しい権利が認められた」と述べた。
と言う記事が出ています。
この蔵書廃棄の件については、前段階として以下のようなことがあったようです。
>これらのバックラッシュ系の蔵書を図書館に置かせるように
>市議会議員から議会を通して圧力があったと記憶しています。
>それと同時にジェンダー関係の書籍を批判し
>排斥したと記憶しています。
今のジェンダーバッシングの激しさからすれば、自分たちに都合のいい本を図書館に置かせる、
(たとえば寄付すれば、財政難の図書館に負担をかけなくてすみます)という圧力をかけることは考えられますが、
事実かどうかは確かめていません。
でもどこかの図書館、少なからずの全国の図書館であることのような気がします。
一昨日朝日新聞(7/13第2社会面)に
「靖国・遊就館ツアー 町田市教委後援
少中学生向けに青年会議所計画」
という記事が出ていました。
こういうことも多いのでしょう。修学旅行を利用するということもあるかもしれません。
この記事の中で町田市教委教育総務課は、
>「...遊就館が靖国神社の施設とは知らなかった」
と言っているようです。
向こうは権力とチャンスとお金(税金を含む)を握っていて、
事実をとわない(都合よく事実を曲げる場合もある)情報・宣伝・噂で攻めてくるのだから、
かないませんね。
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■《主張》図書廃棄訴訟 多様な言論支える判決だ(産経新聞)
千葉県船橋市立西図書館で「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらの著書が大量に廃棄された問題で、最高裁は「著者の利益を侵害した」とする初めての判断を示した。
この訴訟は、著書を廃棄された側の評論家、西尾幹二氏や岡崎久彦氏、作家の井沢元彦氏らが「不当な廃棄だ」として、同市に慰謝料などを求めたものだ。一審の東京地裁と二審の東京高裁は著者側の請求を退け、最高裁の判決が注目されていた。
最高裁はまず、公立図書館の役割について、「独断的な評価や個人的な好みにとらわれず、公正に図書を扱う義務がある」とした。そのうえで、「廃棄は司書(図書館職員)が『つくる会』や賛同者への反感から行ったもので、違法である」とし、二審判決を破棄、差し戻した。常識を踏まえた妥当な判断といえる。
公立図書館は、地域の人たちが知識や教養を深める場である。そのためには、さまざまな考え方や見方に立った多くの分野の本や資料が広く公開されていなければならない。訴訟で問題とされた司書の行為は、著者の利益だけでなく、それを読みたいと思う人たちの機会を奪ったことにもなる。これをチェックできなかった図書館の上司や船橋市側の監督責任も免れない。
最近、出版物が飛躍的に増え、多くの図書館で、蔵書の扱いに悩まされている。船橋市立西図書館のような問題は、他の自治体でも起こり得るケースだ。今回の最高裁判決を踏まえ、蔵書の取捨選択は地域住民の立場から、公正に行われるべきである。
新しい歴史教科書をつくる会は、日本の未来を担う子供たちにバランスの取れた歴史を伝えようという人たちの集まりである。それまでの教科書が中国や韓国に過度に配慮し、日本の過去を暗く描きすぎているとして、新しい歴史と公民の中学教科書をつくり、世に問うている。
この扶桑社教科書の検定や採択をめぐっても、いろんな意見が交わされている。マスコミの一部に、扶桑社教科書のみを排除しようとする論調もあるが、やはり自由な言論を封殺するものといえるだろう。最高裁判決を機に、憲法で保障された言論の自由の大切さを改めて肝に銘じたい。
第一小法廷は、著者の思想の自由や表現の自由が憲法で保障された基本的人権であることを重視。「著者が意見などを伝える利益は、法的保護に値する人格的利益だ」と位置づけ、「図書の廃棄は著者の人格的利益を侵害し、違法」と結論づけた。
問題となったのは、千葉県船橋市立西図書館の女性司書が01年8月、同館の除籍基準に該当しないにもかかわらず、つくる会や同会関係者の著書30冊を含む計107冊を廃棄したこと。「教科書が教えない歴史1」などが廃棄された。
これに対し、同会と井沢元彦氏ら著者7人(うち1人は死去)が「表現の自由などの権利を侵害された」などとして、市と司書を相手に計2400万円の損害賠償を求めていた。原告の著書以外で廃棄されたのは、西部邁氏の著書43冊と渡部昇一氏の著書25冊など。
一審・東京地裁は「司書が個人的な好き嫌いの判断で大量の蔵書を廃棄したのは、本を所有する市に対する違法行為だが、著者との関係で違法となることはない」「蔵書をどう扱うかは原則として市の自由裁量」などとして原告の請求を棄却。二審・東京高裁も「購入された書籍の閲覧方法などに不適切な点があっても、著者の法的な権利や利益に侵害があったとは言えない」として控訴を棄却していた。
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井上敏子さんのメール・転載
朝日新聞 (7/15 朝刊社説)
蔵書廃棄 自由の番人でいる重さ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#syasetu1
には、
>4年前にベテランの司書が107冊の本を廃棄処分にした。
>「新しい歴史教科書をつくる会」の役員や評論家の西部邁さん、渡部昇一さんらが書いた本だった。
となっています。
でも、昨日の朝日新聞の記事では、
>つくる会や同会関係者の著書30冊を含む計107冊を廃棄したこと
http://www.asahi.com/national/update/0714/TKY200507140233.html
となっています。
107冊が独り歩きし始めました。
この件については、朝日新聞(7/15 朝刊第3社会面)に、
>蔵書廃棄訴訟勝訴 原告「新しい権利」
>千葉県船橋市西図書館の司書が「新しい歴史教科書をつくる会」の著作などを処分したことをめぐる訴訟で、
>原告側は14日、最高裁が著作者の利益侵害を認めた判決を受けて記者会見し、
>「著作者の新しい権利が認められた」と述べた。
と言う記事が出ています。
この蔵書廃棄の件については、前段階として以下のようなことがあったようです。
>これらのバックラッシュ系の蔵書を図書館に置かせるように
>市議会議員から議会を通して圧力があったと記憶しています。
>それと同時にジェンダー関係の書籍を批判し
>排斥したと記憶しています。
今のジェンダーバッシングの激しさからすれば、自分たちに都合のいい本を図書館に置かせる、
(たとえば寄付すれば、財政難の図書館に負担をかけなくてすみます)という圧力をかけることは考えられますが、
事実かどうかは確かめていません。
でもどこかの図書館、少なからずの全国の図書館であることのような気がします。
一昨日朝日新聞(7/13第2社会面)に
「靖国・遊就館ツアー 町田市教委後援
少中学生向けに青年会議所計画」
という記事が出ていました。
こういうことも多いのでしょう。修学旅行を利用するということもあるかもしれません。
この記事の中で町田市教委教育総務課は、
>「...遊就館が靖国神社の施設とは知らなかった」
と言っているようです。
向こうは権力とチャンスとお金(税金を含む)を握っていて、
事実をとわない(都合よく事実を曲げる場合もある)情報・宣伝・噂で攻めてくるのだから、
かないませんね。
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■《主張》図書廃棄訴訟 多様な言論支える判決だ(産経新聞)
千葉県船橋市立西図書館で「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらの著書が大量に廃棄された問題で、最高裁は「著者の利益を侵害した」とする初めての判断を示した。
この訴訟は、著書を廃棄された側の評論家、西尾幹二氏や岡崎久彦氏、作家の井沢元彦氏らが「不当な廃棄だ」として、同市に慰謝料などを求めたものだ。一審の東京地裁と二審の東京高裁は著者側の請求を退け、最高裁の判決が注目されていた。
最高裁はまず、公立図書館の役割について、「独断的な評価や個人的な好みにとらわれず、公正に図書を扱う義務がある」とした。そのうえで、「廃棄は司書(図書館職員)が『つくる会』や賛同者への反感から行ったもので、違法である」とし、二審判決を破棄、差し戻した。常識を踏まえた妥当な判断といえる。
公立図書館は、地域の人たちが知識や教養を深める場である。そのためには、さまざまな考え方や見方に立った多くの分野の本や資料が広く公開されていなければならない。訴訟で問題とされた司書の行為は、著者の利益だけでなく、それを読みたいと思う人たちの機会を奪ったことにもなる。これをチェックできなかった図書館の上司や船橋市側の監督責任も免れない。
最近、出版物が飛躍的に増え、多くの図書館で、蔵書の扱いに悩まされている。船橋市立西図書館のような問題は、他の自治体でも起こり得るケースだ。今回の最高裁判決を踏まえ、蔵書の取捨選択は地域住民の立場から、公正に行われるべきである。
新しい歴史教科書をつくる会は、日本の未来を担う子供たちにバランスの取れた歴史を伝えようという人たちの集まりである。それまでの教科書が中国や韓国に過度に配慮し、日本の過去を暗く描きすぎているとして、新しい歴史と公民の中学教科書をつくり、世に問うている。
この扶桑社教科書の検定や採択をめぐっても、いろんな意見が交わされている。マスコミの一部に、扶桑社教科書のみを排除しようとする論調もあるが、やはり自由な言論を封殺するものといえるだろう。最高裁判決を機に、憲法で保障された言論の自由の大切さを改めて肝に銘じたい。
この記事については、朝日新聞を読んでどういうことなんだろうと関心を持っていました。
直接は関係がありませんが、上野千鶴子さんの信濃毎日新聞の寄稿、TBさせていただきますので、よかったらご覧ください。