「自民新憲法草案」と「中間報告」にみる亡国のシナリオ/[JCJふらっしゅ]

2005-11-01 21:51:52 | 憲法
琉球新報によると、自民党が自衛軍の保持などを明記した新憲法草案を決定した28日、草案に対し沖縄県内の護憲団体からは「九条改悪が狙い」「国民でなく、国を主権者にする内容」と批判の声が上がった。一方、改憲支持派からは「愛国心や、自衛軍明記は当然」と評価の声もあるという。以下、琉球新報の<護憲派は怒りの声、改憲派は軍明記「当然」 自民新憲法草案>の29日の記事から、自民党の新憲法草案のおぞましく時代ずれした内容を、敏感に感じとり、本質をとらえて鋭い批判をあびせた声をここに抜粋しておこう。

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□■「自民新憲法草案」と「中間報告」にみる亡国のシナリオ

 琉球新報によると、自民党が自衛軍の保持などを明記した新憲法草案を決定した2
8日、草案に対し沖縄県内の護憲団体からは「九条改悪が狙い」「国民でなく、国を
主権者にする内容」と批判の声が上がった。一方、改憲支持派からは「愛国心や、自
衛軍明記は当然」と評価の声もあるという。

 以下、琉球新報の<護憲派は怒りの声、改憲派は軍明記「当然」 自民新憲法草案
>の29日の記事から、自民党の新憲法草案のおぞましく時代ずれした内容を、敏感
に感じとり、本質をとらえて鋭い批判をあびせた声をここに抜粋しておこう。

 平和憲法堅持を訴える第九条の会・沖縄うまんちゅの会の比嘉盛久共同代表は「国
民を主権者から義務者に変え、国を主権者にする内容。改憲への動きを止めなければ
ならない」と警鐘を鳴らしている。地方自治を記した現95条を削除した内容には、
「地方分権の流れに党案は逆行するものだ」と語った。

 また沖縄県憲法普及協議会の金城睦会長は「知る権利」や「犯罪被害者の権利など」
の新しい権利について「国民の目をくらますものにすぎない」と指摘し、「草案は公
益性が強調され、一人一人の人権がないがしろにされている」と批判している。

 さらに違憲共闘会議の有銘政夫議長は「九条(改悪)がターゲットで、ほかは付け
足しだ」と強く批判し、「ナショナリズムを確立させる路線で、自民党独裁によるフ
ァッショ化がはっきりしてきた」とあらためて改憲阻止に取り組む構えを見せている。

 一方で、県遺族連合会の座喜味和則会長は「国を愛することは家族を愛するのと同
じ。自由と権利にも責任と義務が伴うのは当然のこと」と「公益性」を強く打ち出し
た草案を支持し、また自衛軍の明記に「専守防衛なら賛成。戦前は軍国主義教育が問
題だった」との見方を示したという。

 自衛隊OBでつくる県隊友会の石嶺邦夫会長は「国際社会の中でどこの国も国軍を
持っているが、日本だけがあいまいに放置されている。憲法できちんと明記するのは
いいことだ」と自衛軍の明記を評価し、「平和と叫んでいるだけでは平和にはならな
い。犠牲と努力が必要だ」と指摘したという。

・国民を主権者から義務者に変え、国を主権者にする内容
・公益性を強調し、一人一人の人権がないがしろにする内容
・地方分権の流れに逆行する内容
・自民党独裁によるファッショ化で、ナショナリズムを確立させる路線

 自民党の草案を支持する意見には、上記の視点が欠落している。憲法と道徳を混同
しているのか、戦争によって平和がもたらされると本気で信じているのか、思考の明
らかな短絡がみてとれる。強いものにひれ伏し、長いものにみずから巻かれようとす
る精神は、権威主義の序列を生み出し、管理社会を実質的に形成していくエネルギー
源である。

 その風潮、傾向をいかに断ち切っていくか。そこには明確に利害の絡んだ自己保身
というしたたかさが隠れているだけに、何もわかっていないとか、勉強していないと
か、単純思考だとかのように、切り捨てるだけで終わるようなことがあってはならな
いだろう。

 憲法9条の改悪に20代の若者の7割が反対という世論調査がある一方で、小泉政
権に沿総選挙での大勝をもたらしたのも20代、30代だといわれている。小泉政権
が政官業の癒着体質に鋭いメスを入れ、旧い公務員体質の改革を促進しているのだと
世間に映ったとするならば、それは明らかな誤解であり、幻想、幻影である。

 あるいは民間の厳しい労働環境から、公務員などに対してバッシングすべしとする
感情が、例の小泉劇場を痛快と感じさせ、その層が票の上積みをもたらし小選挙区比
例代表制という選挙制度特有のテコとなり、自民党に大勝をもたらしたか。いずれに
せよ根源には、政治とメディアの貧困が横たわっている。

 小泉政権は獲得した衆議院の大勢力を背景に、米軍と自衛隊の融合を実現し、改憲
以前にその実態をつくりだそうとしている。このままでは日本列島は、米軍の戦略基
地と化す。米国のために日本があり、日本はその役割を果たすことで、経済大国とし
て生き残りをはかろうという、実に政治の無能、無策、自信のなさをあらわにした愚
かなシナリオである。29日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)、在日米軍再
編や自衛隊と米軍の役割分担に関する「中間報告」の合意は、まさにその青焼き図面
といえる。

 支持率が低下する一方の米ブッシュ政権が、あれだけ力を入れてきた地中貫通弾「
バンカーバスター」に核弾頭を積む研究の中止に追い込まれた。議会での激しい議論
の末、下院は予算化を否決、エネルギー省は予算を縮小して400万ドル(約4億6
200万円)だけを要求していたが、結局 米エネルギー省は06年予算から外すに至
ったという。

 米国内におけるブッシュ戦時政権の斜陽は、米軍産複合体の生き延びる道として日
本をターゲットに選んだといえる。それに小泉首相は唯々諾々と乗っかろうとしてい
る。政権延命のために、列島を米軍の戦略基地として差し出そうとしている。

 私たちはこの流れを断じて認めるわけにはいかない。改憲も、列島の軍事基地化も、
ミサイル防衛網を軸に日本の産業を米国の軍産複合体に組み入れようとする動きも、
断じて受け入れるわけにはいかない。もういちど先にあげた自民新憲法草案の本質を
突いた批判をみておこう。

・国民を主権者から義務者に変え、国を主権者にする内容
 これは明確な管理統制国家へと道をひらくものであり、日本の国民を米国の傘下に
おいてコントロールしようとする意図につながっている。
・公益性を強調し、一人一人の人権がないがしろにする内容
 ここにおける公益性とは、日米両国の支配層の利益の保全・強化であり、それを最
優先して人権を制限しようとする極悪非道のシナリオといえる。
・地方分権の流れに逆行する内容
 地方分権は国の財政を縮小しバランスをとるための口実でしかなく、本当のねらい
は国による地方の統制管理の強化である。
 以上から自民新憲法草案は、「中間報告」とあわせてみるとき、米国の傘下のもと、
自民党独裁によるファッショ化によってナショナリズムを確立させ、米国のわき腹へ
のコバンザメ路線を貫徹し、他国・他地域対する優位性を確保して「共存共栄」をは
かろうとする、時代に逆行した内容であることがはっきりと浮かび上がっているので
ある。


護憲派は怒りの声、改憲派は軍明記「当然」 自民新憲法草案(琉球新報)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051029-00000007-ryu-oki
米政権、「バンカーバスター」核弾頭搭載の開発中止(CNN)
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200510280028.html
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