[集団的自衛権行使による『戦争する国』づくりに反対する国民の声を]9条の会アピール7日

2013-10-07 19:32:31 | 憲法
日本国憲法はいま、大きな試練の時を迎えています。安倍首相は、「憲法改正は私の歴史的使命」と憲法の明文を変えることに強い執念をもやす一方で、歴代内閣のもとでは「許されない」とされてきた集団的自衛権行使に関する憲法解釈を転換し、「戦争する国」をめざして暴走を開始しているからです。

 日本が武力攻撃を受けていなくともアメリカといっしょに海外で戦争するという集団的自衛権の行使が、「必要最小限度の範囲」という政府の従来の「自衛権」解釈から大きく逸脱することは明白です。それどころか、日本やアメリカの「防衛」ではなく、日米同盟を「世界全体の安定と繁栄のための『公共財』」(防衛省「防衛力の在り方検討に関する中間報告」)とみなし、世界中のあらゆる地域・国への武力介入をめざす体制づくりです。

 この企ては、本来なら衆参両院の三分の二以上と国民投票における過半数の賛成という憲法「改正」の手続きを経なければ許されない内容を、閣議決定だけで実現してしまうものです。そのため、長年にわたり集団的自衛権行使を違憲とする政府の憲法解釈を支えてきた内閣法制局長官の入れ替えまでおこないました。麻生副総理が学ぶべきと称賛したナチスがワイマール憲法を停止した手口そのものです。これは立憲主義を根本からつき崩すものであり、とうてい容認することはできません。

 それだけではありません。安倍内閣は、自衛隊を戦争する軍隊にするために、海外での武力行使に関する制約をすべて取り払い、「防衛計画の大綱」の再改定により、「海兵隊的機能」や「敵基地攻撃能力」など攻撃的性格をいちだんと強めようとしています。

 「戦争する国」づくりにも足を踏み入れようとしています。すでに安倍内閣は、防衛、外交に関する情報を国民から覆い隠し首相に強大な権限を集中する「特定秘密保護法案」や日本版NSC(国家安全保障会議)設置関連法案などを臨時国会に提出しようとしています。自民党が作成した「国家安全保障基本法案」では、「教育、科学技術、運輸、通信その他内政の各分野」でこれらの「安全保障」政策を優先させ、軍需産業の「保持・育成」をはかるとしているばかりでなく、こうした政策への協力を「国民の責務」と規定しています。これを許せば、憲法の条文には手をふれないまま自民党が昨年四月に発表した「日本国憲法改正草案」における第九条改憲の内容をほとんど実現してしまいます。

 さらには福島原発事故の無責任と棄民、原発技術輸出の問題、その他問題山積の現状があります。

 戦前、日本国民はすべての抵抗手段を奪われ、ズルズルと侵略戦争の泥沼に巻き込まれていった苦い経験をもっています。しかし、いま日本国民は国政の最高決定権をもつ主権者であり、さらに侵略戦争の教訓を活かした世界にも誇るべき九条を含む日本国憲法をもっています。いまこそ日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、歴史の教訓に背を向ける安倍内閣を草の根からの世論で包囲し、この暴走を阻むための行動にたちあがりましょう。

 2013年10月7日

       九条の会

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大江健三郎「これからの6カ月ほどで日本という国の運命が決まる。
アメリカにくっついて世界で戦争をするようになれば、私たちはそれを償うことはできない。
大きな転換期が今だと思う」。
全国的に賛同を呼びかけ、11月16日に都内で全国集会を開き、集団的自衛権をテーマにシンポジウムを行う。


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5 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-10-07 20:28:48
中国の尖閣領海侵犯が9条改正への原動力になっています。
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Unknown (Unknown)
2013-10-08 06:54:03
2008年に自衛隊イラク派兵違憲との判決がでた。
しかし、その後も解釈改憲は続く。
このままでは9条は骨抜きにされてしまう。
解釈憲法なぞさせぬように、9条の条文をきっちりしたものに改憲しよう。
9条を守るために改憲を主張しよう!!
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「9条の会アピール」批判 (下薗紀一郎)
2013-10-08 10:28:11
今日のいわゆる革新勢力の後退は、この「9条の会」アピールに見られるような、小市民的な「戦争する国」反対の平和主義的路線にあります。
 現日本国憲法について、世界に誇るべき九条を持つ憲法というのは、誤りです。九条は、マッカーサーが天皇制の存続と引き換えに求めた自衛権放棄の条項です。むろん、提案者の吉田茂がいみじくも提案理由で語ったように、他国はどうあれ、侵略を自衛と称して来たことこそが再軍備の許されない理由でした。
 しかし、フランス軍を追い出し、アメリカ軍まで追い出したベトナムの植民地離脱の戦争は、支持、歓迎されるべきものです。そのような戦争さえも許さない平和主義は、破綻せざるを得ません。
 戦争一般、実力行使一般の否定という小市民的政治路線は、こんにちの共産党や社民党の「自衛権あり」論となり、尖閣、竹島問題に見るナショナリズムへの屈服という、最悪の政治状況を生んでいます。
 戦争する国か、しない国かという没政治的アプローチは、その戦争の性格をあまり問題にしません。そのため、戦争は怖い、イヤだというわが身可愛さの厭戦意識は、容易に排外的ナショナリズムに転化するでしょう。
 尖閣、竹島問題に見る、共産党や社民党がそれを示しています。憲法九条を世界に誇るべきものとすることに賛成されているとすれば、それこそが「ニーメラー」と同じ結果となるでしょう。
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「9条の会アピール」批判 (下薗紀一郎)
2013-10-08 10:32:48
今日のいわゆる革新勢力の後退は、この「9条の会」アピールに見られるような、小市民的な「戦争する国」反対の平和主義的路線にあります。
 現日本国憲法について、世界に誇るべき九条を持つ憲法というのは、誤りです。九条は、マッカーサーが天皇制の存続と引き換えに求めた自衛権放棄の条項です。むろん、提案者の吉田茂がいみじくも提案理由で語ったように、他国はどうあれ、侵略を自衛と称して来たことこそが再軍備の許されない理由でした。
 しかし、フランス軍を追い出し、アメリカ軍まで追い出したベトナムの植民地離脱の戦争は、支持、歓迎されるべきものです。そのような戦争さえも許さない平和主義は、破綻せざるを得ません。
 戦争一般、実力行使一般の否定という小市民的政治路線は、こんにちの共産党や社民党の「自衛権あり」論となり、尖閣、竹島問題に見るナショナリズムへの屈服という、最悪の政治状況を生んでいます。
 戦争する国か、しない国かという没政治的アプローチは、その戦争の性格をあまり問題にしません。そのため、戦争は怖い、イヤだというわが身可愛さの厭戦意識は、容易に排外的ナショナリズムに転化するでしょう。
 尖閣、竹島問題に見る、共産党や社民党がそれを示しています。憲法九条を世界に誇るべきものとすることに賛成されているとすれば、それこそが「ニーメラー」と同じ結果となるでしょう。
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Unknown (Unknown)
2013-11-04 14:30:00
スイスの永世中立はなにも建前だけで唱えているわけじゃない…

血みどろの同胞たちの歴史の上に成り立っているんだ…

建前だけでは平和はなりたたんよ…
 

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