日本を自信と自負心持てる国に・安倍晋三/韓国・中央日報

2006-08-14 21:11:53 | 世界
【<中央時評>自負心を持てる国】中央日報/ 日本の次期首相として最も有力視されている安倍晋三官房長官が、先月『美しい日本へ』(文春新書)という著書を出版した。同書で安倍氏は「日本を自身と自負心持てる国に作りたい。私は『戦う政治家』になる考え」だとした。

4、5年前に日本で、若手政治家を対象に「新世代総理宣言」というセミナーが開
かれたことがある。当時、安倍長官は「安倍内閣が誕生するならば、国民に提案する
国家像は『自負心を持つことができる国』だ」と述べた。続いて、日本人が日本に自
負心を持てない背景は「本当に奮発する日本人の姿がきちんと伝えられていないとこ
ろにある」と診断した。同氏がその例として挙げたものを、少し長いが、ここで紹介
したいと思う。

「小泉首相のアジア歴訪時にインドネシアの英雄墓地に参拝したことがある。訪問
国がどこであれ、無名の戦士が安置された英雄墓地に参拝するのだが、インドネシア
英雄墓地の場合、20人の日本人が安置されてあった。第2次大戦が終わった当時、
日本人1000人がインドネシア人と共にインドネシアの独立のためオランダ軍と戦
うことを決意、インドネシアに残った。戦争が終わり武装解除したそれらは、兵器を
捨てた場所をインドネシアのゲリラに知らせ、持って行くようにした。その独立戦争
で命を失った日本人をインドネシアの人々は英雄墓地に安置した。(中略)こうした
日本人もいるとうぬぼれるのではなく、こうしたいろんな人々が世界で奮発していた
との事実をもう少し知らせる必要があると思う」(『私が総理になったら-若き日本
のリーダーたち』(中央M&B))。

こうしたことを知れば、さらに自負心を持てるだろうか。安倍氏の言葉に含まれた
歴史認識は、基本的に「東南アジア諸国の戦後独立は日本軍の南方への進出が契機」
だったとする扶桑社のいわゆる「極右教科書」と脈を共にしている。だが、日本がも
う少し知るべきことは、満州侵略以来日本が繰り広げた15年間の侵略戦争で、罪も
なく命を失ったアジア諸国の生霊2000万人と、戦場に追い出され死んでいった自
国民300万人の不幸な歴史であり、そうしたエピソードではない。

こうした認識につながっているものが、靖国神社参拝と改憲問題だ。靖国参拝に関
連した安倍長官の最近の態度は二重的ながら内心は確固たるものだ。加藤紘一自民党
前幹事長が「小泉氏はA級戦犯に関係なく追悼の気持ちを捧げたいとの考え方だが、
安倍氏は東京戦犯裁判への否定が根底にあることから深刻」だとしたほどだ。改憲に
関連しても先月、北朝鮮がミサイルを打ち上げた際、いわゆる「敵地先制攻撃」を掲
げたように、自衛権の拡大に向けた改憲、または拡大解釈を主張している。

安倍氏は戦後の61年という期間が反省に十分な時間であり、軍国主義の復活は隣
国の「被害妄想」にすぎない、と考えるかも知れない。そうだろうか。李御寧(イ・
オリョン)氏が月刊誌・中央公論に、次のような文を寄稿したことがある。

「日本語では誇りも埃も同じ発音の『ホコリ』。いくら発音が同じでも『埃』が決
して『誇り』にはなれない。むしろ、誇りは埃を払いのけるところから始まる」。7
8年のA級戦犯の靖国合祀後に行なわれた首相をはじめとする閣僚らの相次ぐ参拝、
軍事大国を目ざし一歩ずつ進む改憲の議論は、歴史の「埃」を払いのけるどころか、
再び引っかき回している。こうしたことが「自負心を持てる国」の源泉にはなり得な
い。

日本を知ろうとする外国人がたくさん目を通す日本の本の中に『日本を知る105
章』という本がある。同書のなかの「日本国憲法」の一節を紹介したい。「日本人に
おいて日本国憲法は一つの大きな夢で文化であり、戦争の惨禍の代償として手に入れ
た国民の新しいアイデンティティーである。この憲法の徹底平和主義により、日本は
21世紀へ向かう人類の足取りの一歩先に立っている、と誇らしく言えるのだ」。

それだけじゃない。世界第2委の経済力のほかにも、人類普遍の大事な価値を持つ
多様な文化遺産と、北海道から沖縄まで広まる美しい自然環境、安全かつ清潔な都市
と温かい人情、こうした全てのものが、日本が十分持つべき自負心の源泉ではなかろ
うか。

朴泰(パク・テウク)論説室長
2006.08.11


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1 コメント

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新興宗教と金脈 (または票田)
2006-08-15 12:21:40
国家神道は天照・神武・現人神の三位一体の上に国家を置く、一神教の唯一絶対神と国家を混同した新興宗教であるが、新興宗教にありがちな集金システムと同時に、尚も国家を背景に税収と直接に結び付いてもいたので、当然ながら非常な巨大利権が存在した。

第二次世界大戦に於いて、300万人規模の被害者が日本だけで出たが、一方で戦時隠匿物資や戦後にGHQの思惑と結び付いた利権も厖大なものであり、戦前から戦後へそのままスライドした特権層や、戦後急激に浮上した個人・企業など、所謂「敗戦の焼太り」組が現実に出ている。

それ故に、戦後も旧軍人が厚生省に在籍して国家神道の総本山たる靖国へ軍人名簿を送り、遺族年金を給付される遺族会が票田化し、敗戦の日の首相靖国参拝や、戦犯・岸信介の孫が首相に就任するだろうと目されている現状があるのだ。

他人の血に飢えた守銭奴は米国にも日本にも存在し、常に機会を窺っているが、そのお題目として他人にのみ強制する「愛国」は守銭奴本人を除外した虚構であって、本心は再度焼太りを夢見ている邪さ。

また、最近の中東を見ても、軍事万能主義を信奉する愚は明白で、超大国でさえ事態をより一層酷く出来るだけだ。
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