レバノンの児童達は対イスラエル「レジスタンス」を学ぶ/アラビアニュース

2006-11-17 10:05:23 | 世界

ベイルート南郊のシーア派優勢地区の幼稚園教師のゼイナブ・アスフールが教室で「あなた達の英雄は誰?」と尋ねると、子供達は声を揃えて「レジスタンスの男達!」と叫び返した。

4-5歳の園児たちは、地域の大半を徹底的に破壊したこの夏のイスラエルとの戦争で、民兵組織をもつヒズボッラーの「英雄的なレジスタンス」を学ぶ。34日間にわたるイスラエルの殺戮によって1200人以上が殺されたが、その1/3が子供達であった。レバノン南部地域と首都郊外のシーア派優性地域では、何ダースもの学校が廃墟にされた。

ヒズブッラーもしくは、ベイルート郊外あるいはレバノン東部から南部にかけて親イランのシーア派集団が運営している私立学校は、生徒達にイスラーム学を教えているが、今年は特により軍事的な教育に重点を置いた。

キリスト教徒が運営していてもムスリム学校であっても国中の公立学校は、一般的な宗教課目を教えているが、多くの私立学校では宗教学をより強化したカリキュラムになっている。

スラム化したサローム地区にある私立アル・ムジュタバ学校のイスラムの授業でアスフール女教師は園児に、聖コーランとイスラーム、対イスラエル「レジスタンス」を教える。彼女は学校でコーランを教える教師を派遣する聖コーラン協会に属す。

「4-5歳児に私は毎月曜に20分コーランやイスラムの話を教え、他の教師がその他の日を引き継ぐ。目的は、コーランを基礎にしたイスラームの確たるバックグラウンドを植えつけること」と彼女は語った。

近くの教室ではラムジーア先生がコーラン読誦法を教えている。壁には色鮮やかなボードに、前の授業で使った「殉教者」、「レジスタンス」、「イスラエルの人種差別とテロリズム」と書かれたカードが飾られている。

シーア派聖職者のムハンマド フセイン ファドルッラー師のアル・マバーラート慈善協会運営のアル・ムジュタバ学校では、1200人の生徒達はアラビア語やイスラーム学と他の一般科目の上に仏語と英語も学ぶ。全土に多くの学校と孤児院を運営する同協会は、戦争中のイスラエルの攻撃で多くが何らかの破壊を受けた。

アル・イマーム アル・リダー学校では、ヒズボッラーの指導者、ハサン・ナスルッラー師の肖像が三年生の教室のドアに掲げられ、他の教室の入り口には、「イスラム抵抗運動はレバノンの山々のごとく我らの誇り」と書かれ、「イスラエルに対するヒズボッラーの神の勝利」を誇るポスターが貼られている。

ハイサム・アムハズ校長は、「コーランを教えることは、イスラムの教えに従わない人たちをも含めて全家庭から歓迎されている。多くの家族にとってイスラムを学ぶことは、誘惑に満ちた社会で自分達の子供を守る最良の方法」と語った。

聖コーラン協会幹部のハッジ アブドル・ハリール氏は「イスラムとコーランを教えることだけが我々の社会を守る。“悪い影響”がインターネットや衛星TV(その多くが西洋発)を通して拡がっている。ムスリムをテロリストとして描くことで、イスラムのイメージを歪める運動がある。イスラームは寛容と許しの宗教だ。神の名を口にして犯罪に手を染める人が多いが間違いだ」と強調する。

ハリール氏は更に、「私たちの協会は、セント・アントニオ校、フレール校、リセ・デュ・ラ・フィネス校など多くの非イスラーム系の学校に、彼らが同意した場合、コーランを教える教師を送っている」と語った。

 http://www.middle-east-online.com/english/?id=18277 レジスタンスを学ぶ園児の写真あり -

----------訳者所感:とっても楽しみなはずだった夏休みに、レバノンでは国中が爆撃を受け、逃げられない老人と子供は無惨に多く殺された。それでもレバノンでは残された子供達を明日に向かって教え育てていかなければならないのだ、ということを踏まえて読んでもらいたい。----------

この号で本通信は千号を迎えるが、感想を語る暇も無いほど世界は動いている。

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