「原発の番人」保安院、まさかの背信/朝日新聞

2011-07-30 08:32:57 | 社会
「まさか」って あなた・・・・
なんてナイーブな朝日新聞さん。
かつて「公開ヒアリング」に参加したものにとっては
まったくの「想定内」の事態。
各マスコミだって、取材に来てたじゃないか
あの雰囲気に 何も感じなかったとしたら
そんな記者は ただちに 報道の場から去りなさい。

-----------------------

「原発の番人」保安院、まさかの背信/朝日新聞
原発推進の世論形成まで「官民共同」だった。九州電力から始まった「やらせ」問題は、電力業界では過去、慣習だったともいわれる。ところが、監視役のはずの経済産業省原子力安全・保安院が電力会社にやらせを指示していたことが明らかになり、経産省からの保安院分離を求める声は、さらに強まりそうだ。

■「中立」を軽んじ、推進に加担

 「中立、公正を旨とする保安院として深刻な事態。事実なら申し訳ない」

 原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が記者会見したのは29日午後9時半。やらせ指示の説明に出てこないことを報道陣から批判され、4カ月ぶりにトップが会見の場に出てきた。

 寺坂院長は事実関係をはっきりさせることはできないまま、確認作業は検証委員会に委ねるという姿勢を示した。自らの責任についても明言を避けた。

 保安院は原子力安全の強化を目的に設立された。1999年のJCO臨界事故で規制態勢の強化が課題になったためだ。

 しかし、原発推進の経産省に属しているため、発足当初から、安全規制に甘さが生じないかという疑問を常に抱かれてきた。

 同じ経産省に属する資源エネルギー庁とは組織が別だという建前だが、人事交流も続いていた。エネ庁の推進担当の部署から保安院の安全対策部門の責任者になることもある。本省の事務職が保安院次長や保安院長を経験し、事務次官になった例もある。

 地元の関心も安全面に集中するため、原子力推進への理解に向けた自治体への説明なども、エネ庁と保安院の担当者が一緒に出向くことが多い。中立性をうたいながらも事実上の推進の役割を担ってきた。

 プルサーマルについては2002年の東京電力トラブル隠し発覚などで、計画の先頭を走っていた東電や関西電力が停滞。そこで浮上したのが九州電力、四国電力、中部電力の計画だった。

 シンポでは必要性の説明をエネ庁、安全性の説明を保安院が担当。シンポの進行上は、推進側のエネ庁から独立した規制機関として、役割分担している形にしていた。

 07年7月の新潟県中越沖地震では、東電柏崎刈羽原発で、火災や想定外の揺れが起こり、原発全体への地震対策に不安が広がった。保安院がより前面に立ち、再稼働に向けた安全性の説明に追われる状況にもなった。

 今回の福島第一原発事故でも保安院は4月、全国の原発の運用に支障を来すとして原発作業員の被曝(ひばく)線量の規制緩和を厚生労働省に求めた。作業員の安全を守る観点に立てば、緩和せずに全国の原発を止めるという判断もありえたが、原発の運転を重視したという。

 保安院の広報担当者は「保安院は安全だけを考え仕事する規制機関。保安院としてそういう(やらせの)ニーズがあると思えない」と釈明する。

■官民一体で「賛成世論」づくり

 ある電力会社幹部は明かす。「原発の説明会といえば、昔は反対派の発言が多かった。それが『世論』とは言いたくないので、動員で社員が参加したり、電力側の意見を言ってくれる人を用意したりするのは当たり前だった」。いまの時代、「とがめられても仕方ない」と思うが、慣習はずっと続いてきた。

 電力会社には、原発は嫌われやすいという認識がある。東北電力が新潟県で計画した巻原発は、1996年の巻町(現新潟市)の住民投票で反対が賛成を大きく上回った。最近では、イタリアでの原発再開をめぐる住民投票で反対が9割超を占めた。別の電力会社幹部は「投票のような形をとったら、原発なんてできなくなる。それでは経済発展もできない」。

 四国電力によると、東京支社の副社長らは、シンポジウムを翌々月に控えた2006年4月、保安院の広報担当者に「議論を活性化させるよう、質問や意見が多く出るように」などと頼まれ、素直に従った。

 住民らには、丁寧なことに29の例文をつくって選んでもらう形で、「やらせ質問」を依頼した。プルトニウムは危険というがはっきりした根拠はあるのか、石油がなくなっても困らないようにどうしようとしているのか、原子力に対する「負」のイメージ一新に努めて――。例文の大半は、原発推進に結びつく答えを誘うものだ。

 29日の記者会見で、四電の広報担当者は質問依頼は謝罪したが、動員は「プルサーマルについて国にわざわざ説明してもらえる機会。要請がなくても多くの参加者を集めていた」と語った。業界内にすら「動員を疑問に思わないのが、古い体質から抜け切れていない証拠か。自分も含めて反省材料」との指摘がある。

 やらせ質問はなくても、調査対象の7社すべてがシンポへの動員はしていた。北海道電力は「お知らせ」としての情報提供にとどまっていたと説明したが、ほかは社員や関連会社、地元住民などに参加を要請していた。東京電力でも課長級以上の1割が、参加を要請したり、要請されたりしたと調査に答えた。

 保安院の質問要請を断った中部電力も、動員はかけていた。調査対象のシンポは07年8月。政府主催のタウンミーティングであった大量の「やらせ質問」が、06年11月に発覚したばかりだった。記者会見で、この問題と要請を断ったことは表向き「関係ない」と説明したが、ある幹部は「意識がなかったとは言えない」と漏らす。

 この機に業界の体質は変わらなかったようだ。その後も中国電力や九州電力でやらせが発覚した。(小堀龍之、佐々木英輔)
---------

「規制官庁として論外」吉岡斉・九州大副学長
 東電福島第一原発事故の政府の事故調査・検証委員会メンバーを務める吉岡斉・九州大副学長(科学史)の話 資源エネルギー庁と原子力安全・保安院がともに経済産業省の組織であることが問題の原点だ。シンポジウムで、保安院が民間に賛成に回るよう要請しているとすれば、規制官庁としての道を踏み外しており論外だ。今後、経産省から保安院の分離がなされるだろうが、今回の問題にかかわった保安院の関係者は、新しくできる安全監視機関へは移ってほしくない。


ブログ内・関連記事

よろしければ、下のマークをクリックして!


よろしければ、もう一回!
人気ブログランキングへ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。