窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

脱税はコスパ最悪ー第155回YMS

2023年09月14日 | YMS情報


 冒頭のタイトルは僕が言ったのではなく、今回のセミナーの結言です。

 9月13日、「夢・あいホール」にて第155回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 今回の講師はエンリベル株式会社代表取締役、中尾俊貴様。東京国税局ご出身の中尾様より、「税務調査セミナー」と題して、どんな会社が国税局や税務署から狙われるのか、どうやって不正がバレるのか、税務調査対策はどうすればいいのかなど企業経営者にとってためになるお話をいただきました。

 早速ですが、国税局から狙われる会社とは、どういう会社なのでしょう?大きく分けると3つあり、

① 決算書に異常な数値が見られる(例えば粗利が不自然な変化をしている)場合
② 申告書の計算の誤りや記載されている取引先の内容などに不審な点が見られる場合
③ 退職者や経理担当者からの密告があった場合

だそうです。巷間信じられているような、国税が不正を把握していながらあえて泳がせておくというようなことはないとのこと。

 そして税務調査を受けた法人の内、何割の法人が誤りを指摘されているか?実に80%にも及ぶそうです。指摘するのが役目ですから当然と言えば当然かもしれません。そして査察が告発した場合、ほぼ100%有罪になるそうです。不正が指摘された場合の追徴課税の平均金額は570万円(個人事業主で250万円)。

 税理士に帳簿を作ってもらっているにも拘らず、80%もの確率で指摘が起こるのは、税法の解釈に幅があるためです。そしてよくある節税商品には、中尾さんからみるとかなり危険なものが多いとのこと。

 次に税務調査の基本的な流れです。事前調査→内観調査→日程調整→実地調査→銀行調査→反面調査→交渉→調査まとめ→調査終了という流れで進み、平均2カ月ほどかかります。この内、「実地調査」は2日間で、

・1日目
AM 概況聴取、社内現況確認
PM 帳簿書類調査、宿題
・2日目
AM 前日の宿題聴取、帳簿書類調査
PM 帳簿書類調査、まとめ

という流れで行われます。社長へのヒアリングは主に初日に行われます。

 さて、税務調査における「不正」とは、一言で言えば二重帳簿のような「隠蔽、仮装」行為を指します。帳簿の誤りは、意図的に収入の一部を帳簿に記載していなかったというような場合が「不正」で、管理不足で誤って計上が漏れていたような場合は「申告漏れ」になります。両者の違いは意図的だったか否かで、追徴課税の率に大きな差が出ます(30%と10%)。しかしながら、実際には現金収入の計上が漏れていた場合は、ほぼ確実に不正として認定されるそうです。

 また、税務調査は帳簿の確認だけとは限りません。様々な角度から不正に繋がる有形無形の証拠が調べられます。今回のセミナーでは、そのいくつかの具体的な事例が挙げられ、非常に興味深いものでした。

 こうした財務会計上のリスクは故意でなくとも病気と同じように経時的に進行していくものだそうです。だからこそ早期の対処が重要で、中尾さんの会社では税務リスクを事前診断するサービスを提供しているそうです。

 脱税など不正が疑われる場合は、最大7年までさかのぼって調べられます。その結果多額の追徴課税される代償は大きく、結局のところ割に合いません。つまり、冒頭に述べたように「脱税はコスパ最悪」というのが今回の結びでした。いつもより質疑応答の時間が長く設けられたのですが、次々と挙がる質問のため時間の長さが感じられることはありませんでした。参加された皆さんの関心の高さがうかがわれました。



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

過去のセミナーレポートはこちら

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