銀座にあるシェリーとスペイン料理の専門店です。シェリーとは、スペイン南部の酒精強化ワインのことですが、今までそれほど本格的に飲んだことがありませんでした。どちらかというと苦手なお酒でしたが、一口にシェリーと言っても非常に幅広いと聞いていたので、いずれは色々と試してみたいと思っていたのです。
樽からシェリーを注ぐパフォーマンス(横向きですみません)
上の動画はヴァネンシアドールといって、鯨のひげでできた、しなる棒の先にカップのついたヴァネンシアという汲み取り具を使い、高いところから糸を引くようにして注ぐパフォーマンスです。元々はシェリーを選別鑑定するために行うものですが、これによってシェリーが空気に触れ、より香りが立つのだそうです。
さて、今回飲んだシェリーと料理を併行してご紹介していきたいと思います。
最初は恐る恐る甘口から入ることにして、ミディアムのソラナ(手前)。奥は辛口でやや軽いタイプのバロン・マンサニージャパサダです。
甘口は辛口のシェリーと天日干ししたブドウから作られる、糖度の高い極甘口のチェリーをブレンドして作られペールクリーム、ミディアム、クリームといったタイプに分けられます。因みに手前のソラナは褐色をしていますが、シェリーはいずれもパロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテルの3種の白ブドウから作られます。口当たりが良くて飲みやすく、食事にも合い、スタートとしては良かったと思います。
一方、辛口は大きく分けてフィノタイプとオロロソタイプに分類されます。シェリーの特徴として、アルコール発酵が終わると表面にフロール(花)と呼ばれる産膜酵母が繁殖し表面に白い膜ができます。その後、酒精強化といってブランデーを添加するのですが、この時、フロールの成育限界(アルコール度数18度位)を超えないようにアルコール度数を調整されたものをフィノタイプ、超えるように調整されたものをオロロソタイプといいます。
フィノタイプはこのフロールによって酸素と遮断されるため、上の写真のように淡い色になります。マンサニージャはシェリーの産地の中では北西部のサンルーカル・デ・パラメダ産の辛口でマンサニージャパサダはより希少なものらしいです。ドライですが、天然水のような非常に軽い感じの味わいでした。
右の写真は、イベリコ・ベジョータ、ハモン・セラーノ、チョリソーの生ハム3種盛り合わせです。
続いて、手前がベルトラ・ミディアム、奥がディオス・バコ・ミディアムです。今回のんだ中では一番しっくりきました。干しイチジクのような香りとほどよい酸味があり、口当たりも滑らかで飲みやすかったです。ディオス・バコ・ミディアムはそれに比べるとやや軽い感じがしました。
料理は鱧のアヒージョ。アヒージョというのは「ニンニク風味」という位の意味らしいですが、その名の通り、オリーブオイルとニンニク・赤唐辛子で鱧を煮たもの。おつまみにはピッタリです。
さらに、地鶏のピンチョス。ピンチョとは「串」のことで、軽いおつまみを想像していましたが、大きな串焼きが出てきました。
そして冒頭の動画で登場した、ラ・ゴヤ。こちらはマンサニージャです。甘口のシェリーを続けた後だったので、そろそろドライな方に移行することにしました。その隣はアモンティリヤードのプリンシペ。アモンティリヤードはフィノとしてフロールによる熟成を経た後、ブランデーを添加してアルコール度数を上げ、酸化熟成したもので、より強い感じになります。慣れてきたのか、この辺でも十分いけるのではないかなという気がしてきました。
料理は、名前を忘れてしまいましたが、スルメイカの墨煮です。
最後はオロロソのアルフォンソ。オロロソはアルコール度数を上げたためにフロールができなくなります。そのことによってシェリーが酸素に触れ、酸化熟成が進んで濃い琥珀色になります。甘口から順序良く進んできたのが幸いしたのか、かえってドライで香り高いタイプのシェリーを楽しむことができました。
料理はカジョス。上ミノとハチノスのスペイン風モツ煮込みです。
まだまだシェリー初心者ですが、これから機会を見つけ少しずつ覚えて行きたいと思わせる、魅力的なお酒でした。
しぇりークラブ 銀座店
東京都中央区銀座6-3-17 悠玄ビル2階・3階
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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