恩師２人

弓を始めたときの、最初の恩師はご夫婦だった。
Ｈ先生 （当時は範士八段、のちに範士十段）
Ｍ先生 （当時は教士六段、のちに教士八段）
内輪では、親しみを込めて 「おとうちゃん」 「マコちゃん」 と呼んでいた。

講習会で直に指導を受けた方々は、口をそろえて「厳しい先生だった」と言う。
その一方で、私たちのような学生の “若い弓” を大いに応援してくださった。
目を閉じれば、その姿が思い浮かぶ。

「小さな体でも、大きな弓を引けばいいのよ」
そう言って、初心者の私を導いてくださったＭ先生。

「そこ （会） からが弓なんだよ！」
「Ａさんの会は素晴らしい。みんなも見習うといい」
そう言って、私の個性に光を当ててくださったＨ先生。

羅針盤は、マコちゃんが与えてくれた。
自信となる種火は、おとうちゃんが点火してくれた。
それは、私の中の大きな財産となっている。

３年前、Ｈ先生が亡くなられて。
昨日、Ｍ先生がＨ先生のもとへと逝かれた。

矢筒に付けられたスヌーピーが、いろんな記憶を呼び起こす。
注がれた愛情と言葉が、再び私を包んでくれる。
先生方のもとで弓を始められて、私は幸せだったと思う。

本当にありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。