法律の周辺

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堀籠裁判長の心配りについて

2006-10-11 19:26:10 | Weblog
傍聴できなかった「判決」,最高裁が遺族に届ける YOMIURI ONLINE

 堀籠裁判長の「4人の裁判官全員一致の意見です」という言葉には,ちょっと感動。

 断片的・付随的だった被害者等に対する配慮が変わり始めたのは,平成12年の「刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律」及び「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」が成立した辺りから。「被害者等通知制度」もこの流れにある。
この制度の実施要領には,「通知は,口頭又は文書その他適宜の方法により行う。」とある。「口頭又は文書その他適宜の方法」の並びからすれば,「刑事局幹部が遺族の自宅を訪れて判決文を手渡し,内容を説明する」は,異例に違いない。

 転居先の引き継ぎが行われなかったこと自体は失態。しかし,そのおかげで,と言うのも変な言い方になるが,良い話しを聞くことができた。

法務省 被害者等通知制度実施要領


犯罪被害者等基本法の関連条文

前文

  安全で安心して暮らせる社会を実現することは,国民すべての願いであるとともに,国の重要な責務であり,我が国においては,犯罪等を抑止するためのたゆみない努力が重ねられてきた。
 しかしながら,近年,様々な犯罪等が跡を絶たず,それらに巻き込まれた犯罪被害者等の多くは,これまでその権利が尊重されてきたとは言い難いばかりか,十分な支援を受けられず,社会において孤立することを余儀なくされてきた。さらに,犯罪等による直接的な被害にとどまらず,その後も副次的な被害に苦しめられることも少なくなかった。
 もとより,犯罪等による被害について第一義的責任を負うのは,加害者である。しかしながら,犯罪等を抑止し,安全で安心して暮らせる社会の実現を図る責務を有する我々もまた,犯罪被害者等の声に耳を傾けなければならない。国民の誰もが犯罪被害者等となる可能性が高まっている今こそ,犯罪被害者等の視点に立った施策を講じ,その権利利益の保護が図られる社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。
 ここに,犯罪被害者等のための施策の基本理念を明らかにしてその方向を示し,国,地方公共団体及びその他の関係機関並びに民間の団体等の連携の下,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため,この法律を制定する。

(目的)
第一条  この法律は,犯罪被害者等のための施策に関し,基本理念を定め,並びに国,地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに,犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し,もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「犯罪等」とは,犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
2  この法律において「犯罪被害者等」とは,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。
3  この法律において「犯罪被害者等のための施策」とは,犯罪被害者等が,その受けた被害を回復し,又は軽減し,再び平穏な生活を営むことができるよう支援し,及び犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするための施策をいう。

(基本理念)
第三条  すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。
2  犯罪被害者等のための施策は,被害の状況及び原因,犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。
3  犯罪被害者等のための施策は,犯罪被害者等が,被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間,必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう,講ぜられるものとする。

(国の責務)
第四条  国は,前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり,犯罪被害者等のための施策を総合的に策定し,及び実施する責務を有する。

(犯罪被害者等基本計画)
第八条  政府は,犯罪被害者等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,犯罪被害者等のための施策に関する基本的な計画(以下「犯罪被害者等基本計画」という。)を定めなければならない。
2  犯罪被害者等基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。
一  総合的かつ長期的に講ずべき犯罪被害者等のための施策の大綱
二  前号に掲げるもののほか,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3  内閣総理大臣は,犯罪被害者等基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
4  内閣総理大臣は,前項の規定による閣議の決定があったときは,遅滞なく,犯罪被害者等基本計画を公表しなければならない。
5  前二項の規定は,犯罪被害者等基本計画の変更について準用する。

(相談及び情報の提供等)
第十一条  国及び地方公共団体は,犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため,犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ,必要な情報の提供及び助言を行い,犯罪被害者等の援助に精通している者を紹介する等必要な施策を講ずるものとする。

(刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等)
第十八条  国及び地方公共団体は,犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするため,刑事に関する手続の進捗状況等に関する情報の提供,刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等必要な施策を講ずるものとする。

(保護,捜査,公判等の過程における配慮等)
第十九条  国及び地方公共団体は,犯罪被害者等の保護,その被害に係る刑事事件の捜査又は公判等の過程において,名誉又は生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ,犯罪被害者等の負担が軽減されるよう,犯罪被害者等の心身の状況,その置かれている環境等に関する理解を深めるための訓練及び啓発,専門的知識又は技能を有する職員の配置,必要な施設の整備等必要な施策を講ずるものとする。

(国民の理解の増進)
第二十条  国及び地方公共団体は,教育活動,広報活動等を通じて,犯罪被害者等が置かれている状況,犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。

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