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(今はFTISLAND、いろいろ)

キル公演 観てきました。ネタバレあり

2012年08月18日 | 世界
キルは、秋子という女子学生が主人公のお芝居です。

広島原爆投下の前日の暮らしから、物語は始まりました。

学徒勤労動員で働いていた工場で、秋子は目に何かゴミを入れてしまいます。
それまでも何かと助けてくれていた吉川さんという先輩の女性に、通院と休養を勧められ、秋子は8月6日の朝は休みをとり家で姉とゆっくり過ごしていました。

キル編では描写がありませんが、他の姉妹編や母親編では、姉も勤労動員されていた友人の朝子も原爆で死んでしまいます。家にいた秋子はかろうじて生き延びたので、休みを取ることを勧めてくれた吉川さんに感謝していました。

吉川さんも生きていました。

ある日、防空壕に避難すると、既に避難していた吉川さんとその家族を見つけます。あとから逃げて入ってきた人に場所を開けろと、朝鮮人は防空壕を出て行けと差別を受けている吉川さんとその家族に、秋子は、うつむいて声を出せません。

それから、別の日にチマチョゴリを着ている吉川さんを山で見かけます。朝鮮人は漢字1字の名前が多いのに、吉川さんはなぜ吉川さんなの?と秋子はつい尋ねます。

「うちゃ吉(キル)ゆうんよ。ほんまはね」
これが本編のお芝居のキーワードになっているセリフです。吉川さんは、キルという朝鮮名を創氏改名で日本名に変えていたのでした。

吉川さんは、日本を非難し、いずれ祖国に帰るつもりだと、秋子に告げます。
そのとき、敗戦で戻ってきた兵に吉川さんは追われて、二人は別れます。敗戦まで一つの国ということでしたが、朝鮮人への差別があったことをお芝居が伝えています。

このお芝居の一番のハイライトは、その後台風が来る場面です。広島は、原爆投下後に、黒い雨だけでなく、台風にも襲われているんですね。このお芝居は作者の実体験をもとに作られているのだから。

このとき、吉川さんは命の恩人だからと秋子が母に伝え、川辺に住む吉川さん一家を高台の家にいた秋子とその親族が迎え入れます。川辺の吉川さんの住まいは、洪水で流されてしまうのです。

今、日本と韓国、日本と香港・中国と穏やかならぬ動きがあり、行方を見守っています。このお芝居のように、いろいろあってもなお、隣人として助け合えることができるようになれたらと切に思います。











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