種から芽が出て花が咲き

はまっているあれこれ
(今はFTISLAND、いろいろ)

違和感と直感

2012年08月21日 | 世界
●世界級キャリアのつくり方 黒川清 石倉洋子 東洋経済新報社

サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」という著書は、世界を八つの文明圏に分け、しかも日本は日本一国で成る孤立文明と位置づけているそうです。日本の文化をユニークで豊かなものであるという証明のごとく、引用された本を多数読んで、私は知りました。

そういう考え方もあるなあと思いつつ、あまり説明できないちょっとした違和感もあり、私自身はまだこの著書を読んでいません。そんな折、やはり勧められて読んだ黒川清さんと石倉洋子さんの共著である「世界級キャリアのつくり方」という著書で、こんな件りがありました。

アメリカ式の「結論先にありき」ではない、また、恥をかかせたりバカにするのではなく、相手にそこまでは考えていなかったと気づかせるような、洗練された表現方法・コミュニケーション方法があるという趣旨のなかで、取り上げられていたエピソードです。

1992年に北京で開催された「パシフィック・リム・フォーラム」で、サミュエル・ハンチントンが主役級の講演者として何らかのテーマで講演したときの話です。その講演に対してマレーシア人のノルディン・ソピー氏が、ハンチントン氏の講演内容がソピー氏の知るアジアの現状と即していないといくつかの質問を交えながらコメントしたそうです。ソピー氏の質問に、ハンチントン氏はまったく答えられなかったとか。

ソピー氏は、相手の文化を理解して、恥をかかせない配慮をしながら、自分の主張は曲げず、明快だったと石倉さんは著述しています。

ハンチントン氏の講演内容の詳細にはまったく触れられていませんが、ハンチントンが「文明の衝突」を書いて脚光を浴びていた時期であることや、ノルディン・ソピー氏はマレーシアのマハティール首相の右腕であったことなどが簡潔に触れられています。

優れた政治家には優れたブレーンがいるようです。

ノルディン・ソピー氏の著書を探してみたら、見当たりませんでした。ないというよりも、日本語に翻訳されていないのでしょうか。評論集に寄稿しているのがあったので、まずはそれから読もうと思います。マハティール首相は、日本語訳された本があり、それもいつかそのうちに。

この「世界級キャリアのつくり方」も私には読めない本でした。その読めないというか、読むのが進まない本でフォトリーディングしていたら、取り付くシマをみつけられました。こういうシマの部分から、全体の理解を進めていくのが、フォトリーディングで得たスキルです。

そして、違和感は、実は直感の姿を変えたものです。本との相性もあるのですが、相性の合わない本は読まなくてもいいのです。この本から、私の違和感が正しい直感であるというメッセージをもらった気がします。

日本を誣いる人々

2012年08月18日 | 和のこと 日本
日本を誣いる人々―祖国を売り渡す徒輩を名指しで糺す
呉善花 他
PHP研究所


●日本を誣いる人々―祖国を売り渡す徒輩を名指しで糺す 渡部昇一 呉善花 八木秀次 PHP研究所

呉善花さんの著書をよく読んでいます。この本は、渡部昇一さんと八木秀次さんと、もう1人のゲストによる鼎談のシリーズで、今回は呉善花さんがゲストです。

韓流にはまり、いろいろな本を読んでいくうちに、呉善花さんのことが実はとても心配になってきました。この予感が的中していたことが、鼎談の中で語られています。

韓国では、韓国人に向けて自国批判をするのはよいけれど、他国に向けて自国批判をするのは、良くないことのようなのです。ご自身の体験をもとに、日本人にもわかりやすく、韓国のいろいろな面を紹介してくれている著書は、日本語で書かれていますから、読者の対象は日本人です。呉善花さんの著書は批判といっても、異文化間コミュニケーション論というようなジャンルのもので、日本では好意的な評価を得ていますが、韓国的発想から見たら、他国に向けて自国批判していることになるのではないかと心配していたのです。

案の定、韓国マスコミから非難を受けたり、日本に帰化してからは韓国政府からも入国拒否されたりしたことが紹介されています。呉善花さんのお母さんの葬式のために、日本帰化後に韓国へ向かったら、入国拒否されたというのです。今は日本人ですから、日本領事館へ連絡し、その他の活動をしないということで、葬式参列はできたということでしたが、外国の大学の教授になった女性を誇りに思ったりはしないのでしょうか。

この本の主題は、それではなくて、日本人の中で、日本にとって良くないことをしている政治家だったり政策だったりを批評する鼎談です。話題は多岐に渡っており、私などはあまり知らないことが多数ありました。マスコミは報道する内容を取捨選択していますから、報道されていないことにも注目しなければと思いました。

もっと本を読んだり、人の話を聴いたり、視野を広げなくちゃ。素直にそう思います。

キル公演 観てきました。ネタバレあり

2012年08月18日 | 世界
キルは、秋子という女子学生が主人公のお芝居です。

広島原爆投下の前日の暮らしから、物語は始まりました。

学徒勤労動員で働いていた工場で、秋子は目に何かゴミを入れてしまいます。
それまでも何かと助けてくれていた吉川さんという先輩の女性に、通院と休養を勧められ、秋子は8月6日の朝は休みをとり家で姉とゆっくり過ごしていました。

キル編では描写がありませんが、他の姉妹編や母親編では、姉も勤労動員されていた友人の朝子も原爆で死んでしまいます。家にいた秋子はかろうじて生き延びたので、休みを取ることを勧めてくれた吉川さんに感謝していました。

吉川さんも生きていました。

ある日、防空壕に避難すると、既に避難していた吉川さんとその家族を見つけます。あとから逃げて入ってきた人に場所を開けろと、朝鮮人は防空壕を出て行けと差別を受けている吉川さんとその家族に、秋子は、うつむいて声を出せません。

それから、別の日にチマチョゴリを着ている吉川さんを山で見かけます。朝鮮人は漢字1字の名前が多いのに、吉川さんはなぜ吉川さんなの?と秋子はつい尋ねます。

「うちゃ吉(キル)ゆうんよ。ほんまはね」
これが本編のお芝居のキーワードになっているセリフです。吉川さんは、キルという朝鮮名を創氏改名で日本名に変えていたのでした。

吉川さんは、日本を非難し、いずれ祖国に帰るつもりだと、秋子に告げます。
そのとき、敗戦で戻ってきた兵に吉川さんは追われて、二人は別れます。敗戦まで一つの国ということでしたが、朝鮮人への差別があったことをお芝居が伝えています。

このお芝居の一番のハイライトは、その後台風が来る場面です。広島は、原爆投下後に、黒い雨だけでなく、台風にも襲われているんですね。このお芝居は作者の実体験をもとに作られているのだから。

このとき、吉川さんは命の恩人だからと秋子が母に伝え、川辺に住む吉川さん一家を高台の家にいた秋子とその親族が迎え入れます。川辺の吉川さんの住まいは、洪水で流されてしまうのです。

今、日本と韓国、日本と香港・中国と穏やかならぬ動きがあり、行方を見守っています。このお芝居のように、いろいろあってもなお、隣人として助け合えることができるようになれたらと切に思います。