5月下旬からこの時期は初夏の漬け物づくりで日常が忙しくなります。らっきょうの塩漬けに梅シロップ漬けが私の定番ですが、今年はさらに、小梅の梅干し、南高梅の梅干しにチャレンジしています。よく行くデパ地下で、小梅と南高梅がそれぞれ半額引きだったときに、ついふらふらと買ってしまったのがきっかけです。
小梅は買い慣れていないのでよくわかりませんが、南高梅は粒の大きいこと。半額引きでもよいお値段でしたが、掘り出し物です。
私のは、重石を使わない瓶漬けですが、南高梅は梅酢がかなり上がってきて驚きました。頑張って2キログラム漬けるべきだったとしばし後悔。1キログラムだと幾粒もないから、すぐ食べ終わってしまうなと、嬉しい想像をしています。
小梅は、カリカリ漬けに試したかったのですが、卵の殻を使う漬け方のようで、ただふつうの梅干しにすることにしました。小梅の醤油漬けは何年か前に試したことがありましたが、食べ慣れている味ではなかったので、我が家では好評ではありませんでした。漬け物は慣れている味がよいのですね。
市販の漬け物が多く出回り、各家庭の数ほどあった漬け物の味がだんだん廃れてきています。いつか、家庭の味の保存に貢献するような聞き取り調査など、伝承を残すようなことをやれたら、と思います。
●杵島さんちの梅しごとと保存食―梅干し、梅酒、梅ジャムなどと初夏の保存食 杵島 直美 著 泉書房
この本を読んだら、卵の殻を使わない小梅のカリカリ漬けが紹介されていました。杵島さんは、前の著書では、卵の殻を使うカリカリ漬けのレシピを紹介していたのです。今は、卵の殻を使う根拠がよくわからないということで、紹介していないとありました。でも、加減が難しいみたいで、うまくカリカリにならないこともあるようです。
重石を使わない瓶漬けの梅は、母がずっと作っていました。重石で水が抜けない分、水分量の多いふっくらしっとりした梅漬けになるはずです。土用干しはやってみようと思います。小梅は小さいので、1日ぐらい干せばいいそうです。
もうひとつ参考にしている梅仕事の本があります。
●梅暦、梅料理 乗松 祥子 著 文化出版局
初版が1992年の本ですから、もう20年前の本です。この本は、梅仕事が得意だった母から譲られました。母が参考にしていた梅作りの名人の著書です。この著者の本を読んでいると、日本の豊かさに驚かされます。杵島さんも屋上のような、陽がよくあたる広い場所で、たくさんの梅干しをほしている写真があり、それはそれで豊かな感じではあるけれど、乗松さんの豊かさは半端ではありません。自宅の梅の木によじ登って、ご自身で梅を採取するのです。梅を傷つけないように、ビニール傘に集める写真や、春に、咲いている梅の花を梅酒に入れて、花の香りを移す写真とか、家の階段に並ぶ梅漬けの多数の瓶の写真など、ただただ素敵で、まるで梅のターシャ・デューダーさんみたいです。昭和15年生まれということですが、今もお元気なのでしょうか。
この本によると、1992年当時すでに、水では梅のあくが取れなくなっていて、ホワイトリカーで洗うことにしたと書かれています。梅を洗ったホワイトリカーが真っ黒になるそうです。空気が汚れているということなのでしょうか。今年は試しに、ホワイトリカーでさっと洗ってみましたが、よくわかりませんでした。杵島さんも消毒のためにホワイトリカーの使用を薦めています。
そんなこんなで、この時期はなんとなく忙しくなります。でも毎年の楽しみな忙しさです。