まなびの途中

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学んだことを書いてまいります。

遅いけど、「国家の罠」を読みました。

2008年01月18日 | 本・映画
久々に理解をしながら読んでいった。
そういう気持ちを持って向かえた本。
「国家の罠」。文庫化されていたので、大変ありがたかった。
だって、また最近、ハードカバー、高いと感じるようになっちゃって。

こういうノンフィクションは、特に文庫化される際に、
巻末に作者が「その後」をかいてくれたり、
サービス版が追記されたりすることがあるので、
非常にお得感があります。

とはいえ、当事者が書かれたものだけに、
かなり、筆者に「力」がないと、読む方も、感情的な部分を察知して、
ひどく冷めることもあるのだが、
この本には、ほとんど見当たらない。

で、よく理解できました。
そんじょそこらのマスコミさんが、最近、この「案件」に
コメントも解説も加えないし、鈴木むねおさんに、
当時のことを蒸し返すこともしなくなった訳を。
今さら何ですが、遅いですが、よおく理解できました。

例の外務省をめぐる、鈴木氏と田中氏。
むねおハウスと呼ばれた案件に関しての三井の偽計取引など、
有罪か無罪か、さらに、国策捜査が是か非かという、
これは、もはや表層の出来事であって、
我々が知ることができなかった、いわゆる外交の「作業」なり「仕事」というものが
どういうものか、どういうリアリティーを経ていくのか、
非常に興味深く、得難い「経験」をさせてもらいました。

作者が、その時、その状況下で、それぞれの立場があって、その背景があって、
それを思い馳せながら、
まさに自分にふりかかった「状況」を分析していく。
これは、相当にタフな精神力。
さらに、相当、そんじょそこらじゃ得られない「経験」をされている。
もしくは、依拠する精神世界を持たれている。
じゃないと、できません。

それに、この記憶力。どこまでノンフィクションなのかフィクションなのか、
そう思わせるくらい、緻密。明晰。

もちろん、関係者にとって、是非もあろうし、
「意見」もあろうことなんだろうけど、
この本を読んで、不思議と、出演される方々に、嫌な感情を持てない。
作者の被告人を、踏み台にした方々など、
作者に肩入れするなら、なじゃそりゃ!なんて感想を持ってもいいのだが、
そういう書き方になっていない。

この本は、そういう意味で、人間関係を「生業」にする関係者にとっては、
なんだか、面白い参考書になるかもしれない。くらい。

多分、相当量の、裏打ちされたリアリティーがあってこそのもので、
読み解くことができる「利害」の関係に、焦点をあてられる、
そういう作業ができるからこそ、からかもしれない。
ええ、利害関係に無頓着になると、
おおよそ、人間関係に関する対応、評価は、ほぼ一方的になりますから。

えっつ?こういう内容の本ではない?
だって、ベストセラーだし、みんなとっくに読んでいるだろうから、
なぞっても、自分より「うまい」人なんか、ごまんといるから....。

ただ、国策捜査を位置づける、いくつかのファクターをお考えになられていたが、
この作業こそは、ご本人が仰っていたように、
その後の「歴史」が明確にしていくのであろう。
作者が書いている、日本の構造変化に関する記述は、自分には、今一度
読み直さないと腑に落ちない、ことも、あった。
が、結局、日露平和条約が不成立で、北方領土に関する展開が、
遅滞せざるを得なくなって、
その「犠牲」として、祭られた。

ご本人にとって「嫌」かもしれないけど、あまりにも平凡すぎるこの「見方」こそが、
この日本の「捜査」の限界点として、特に、記憶しておいた方が
良いのかもしれない。
がっかりだけどね。

でも、田中真紀子氏。
あの当時、熱狂してしまった有識者なり、マスコミの方々。
支持を繰り返し、あげく、本まで上梓してしまった文筆家の方々。
しばらく、表を歩けないね。
今でも、ブックオフに行くと、結構、その手の本が並びまくっているけど、
残るんだよね、活字って、怖いよね。


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