読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

続「名詞+する」

2007-10-06 10:38:31 | Weblog

国語学者、松井利彦氏の「漢語サ変動詞の表現」(明治書院)によれば動詞の三分の二以上が「~する」型の動詞で更にその80%以上が「漢語+する」なのだそうだ。特に新聞記事にこの型の動詞が多く、国立国語研究所の調査では記事中、90%がこの「漢語+する」になっている。「(和語、漢語、外来語)+する」と言う動詞製造法で日本語に不足し勝ちな動詞を補うというやり方は過去にも幾度が流行した事が有ったそうだが、文学者の佐藤春夫は1941年、太平洋戦争が始まった年、「文学する」などと言う言葉は大嫌いだと書いているそうだ。日本人の生活様式に変化が有るときにこの手の動詞が増加するようだ、と小説家、井上ひさし氏が「日本語相談室」で。

名詞+する

2007-10-05 14:03:51 | Weblog

井上ひさし氏の「私家版日本語文法」と言う本を昔読んだ。記憶に残っていることが一つ有った。明治期、多くの文物が大量に日本に入ってきたがその文物一つ一つに対応する動詞が圧倒的に不足したと言う事である。最近また同氏の「日本語相談室」なる本を読んだ。不足した動詞にどう対応したかが記されてある。「~する。と言うサ行変格活用と言う独特の活用変化をする語をご飯粒のように殆どあらゆる名詞につけてそれを動詞に変えてそれに対処したのだ。」その名詞が漢語であろうと和語であろうと外来語であろうとかまわない。「~する」型の複合動詞は国語辞典の中で一大勢力を成し、辞典の中の動詞の67.9%になると言う事だ。洗濯する、バイトする、お茶するなども聞いた事が有る。

種を蒔く

2007-10-04 10:13:02 | Weblog

種は確かに適切なときに蒔かないと、例えば白菜などでも順調に成長しないなどと家内と話していた。「そう言えば、種を蒔くと言う漢字は草冠に時と書くな。」などと思っていたが、本当に「蒔く」と言う漢字はそう言う意味で成り立っているのかが気になって調べて見ると少し違っていた。白川静著の「字統」による。声符は時(じ)で「説文解字」では「更(あらた)めて別に穜(う)うるなり」とあり、植え替える事を言うと有る。わが国では蒔(ま)くと読み種蒔きの意に用いる。本来の意味とは異なる用法で使われているが「万葉集」に既にその用法で使われていると記されている。同氏の「字訓」では、「適当な間隔を置いて植える事が字の本義」と有る。

続「町はマチかチョウか」

2007-10-03 13:49:13 | Weblog

ここから日本を更に西へ行くとチョウが圧倒的に多くなるそうだ。岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、岡山、山口、徳島、香川、愛媛にはマチと読ませる町は一つも無い。九州は宮崎、鹿児島、佐賀、長崎にチョウが多く、福岡、熊本、大分ではマチが多い。沖縄は全てチョウ。以上、要するに北海道ではチョウと読み、東日本ではマチと読めばだいたい良いようだ。名古屋から西では四国、九州、沖縄までチョウの天下。只し、九州にマチの多い県が三つある。以上だが地方公共団体としての町意外での町の読み方は不規則でばらばらだそうである。