読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

漢字の構造部分の口の意味は

2007-10-28 14:23:11 | Weblog

白川文字学の本を読んでいて驚くことの一つに漢字の構成要素の一つの口の意味だ。この口はものを食べる口を意味するものは殆ど無く、∪という記号の中に━を引いた”さい”と言う祝詞を入れる容器を表しているのだと言うことだ。甲骨文、金文を通じてものを食べる口を意味すると思われる字形は「鳴」と「唯」だけだと白川文字学は言う。しかもこの両文字とも鳥の鳴き声を意味するものであるかどうかは決めがたいそうだ。古代において鳥は霊が鳥の形を取って現れたものとする考えが一般に有ったからだ。この”さい”に祝詞を入れて鳥の鳴き声などの状態で神の意思を尋ねたのではないかと言う事だ。唯の隹も鳥を意味する。「進」は鳥の状態によって進行を導く意で有るらしく、従って唯、雖、進は鳥占いを示す字であろうとするのである。