読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

うま味はUMAMI

2010-11-11 21:07:08 | 暮らしの中で
私たち日本人は特に「うま味」においしさを感じる。
この「うま味」、今では甘味、酸味、塩味、苦味に次ぐ第五の基本味
として世界の共通語になっているが、発見から公式に認められるまでになんと100年近く
もかかったそうだ。
うま味を発見したのは旧東京帝国大学(現・東京大学)の池田菊苗教授で、彼は基
本の4つの味(甘味、酸味、塩味、苦味)とは違う基本味を昆布に見出し、その味の主成
分がグルタミン酸であることを突き止めた。1912年の米国シカゴで開かれた国際応用化学会で
「第5の味」として発表したが、うま味は長い間国際的には知られなかったと言う。
その後、味覚や大脳生理学の研究が進み、2000年、舌の味蕾にある感覚細胞にグルタミン酸受容体が発見され、うま味が認知されるようになったと言う事である。「UMAMI」の誕生でである。
そして今では、世界中のシェフが日本のうま味が詰まった「だし」を学んでいる
のだそうだ。
ところで、基本味はヒトが食べる食べないを判断するシグナルだという事は知られているのだろうか。
甘味はエネルギーとしての糖、塩味は体のバランスに必要なミネラル、うま味は
たんぱく質が含まれていることを伝えている。一方、酸味は腐敗や未熟な果物、苦味は毒を示している。つまり、警告の味なのである。
小さな子供が酸っぱいものや苦いものが苦手なのは、自分を守るため。これらは
学習して覚える味なのだと言う。(私の孫は二人とも梅干は大好きなのだが)
ヒトがどのように味を認識しているかについて、分子レベルでの解明も進められて居る。
民族はそれぞれ独自のうま味を持つと言う。それは、幼い頃からの食経験で
育まれ、離れられない味なのだ。さしずめ日本人ならコンブとカツオの「だし」と醤油
と言えるだろう。
イタリアの基本味トマト、実はコンブと同じうま味成分グルタミン酸が豊富である。
日本人のイタメシ好きはこんなところに理由があるのかも知れない。

『御三家』から『御三卿』へ

2010-11-11 11:44:19 | 歴史
徳川家康は、徳川本家に将軍後継者が絶えた場合を想定して、『御三家』
を創設した。

いわば『将軍予備軍』である。

七代将軍・家継が8歳で死去し、二代将軍・秀忠の血統が断絶すると、紀
州徳川家の徳川吉宗が本家を相続して八代将軍となった。

その時、江戸幕府が開設されて120年が経過していた。

吉宗は、本家と『御三家』の間が、血縁としては疎遠になったと考えたか
も知れない。

もはや『御三家』は『将軍予備軍』の資格を喪失したと考えたかもしれず、

そのための処置が『御三卿』の創設であった。

吉宗は自分の子、孫を『御三卿』の当主とし、もし本家の血統が絶えた場
合は、『御三卿』から次期将軍を選ぶことにした。

こうして、紀州徳川家の血統で将軍職を独占する『紀州王朝』が誕生した。