読書など徒然に

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ヒトの遺伝子バリエーションの大半を解明―国際研究協力チーム

2010-11-04 09:50:18 | 新聞
ヒトの遺伝的多様性の解明を進めている国際的な研究協力チームは先月27日、ヒトの遺伝子のバリエーションの大半について識別と分類が終わったことを明らかにした。ほぼすべてのヒトの遺伝情報の差異を解読するという最終目標に向けて大きく前進した事になる。

 「1000ゲノムプロジェクト」と呼ばれるこのプロジェクトは、5年間で1億2000万ドル(約98億円)を投じて行われているもので、糖尿病や冠動脈疾患などといった多くの病気について遺伝子が果たす役割に関する研究の促進につながるとみられている。

 1000ゲノムプロジェクトに参加している研究者らは、最新の技術を用いて179人のゲノム(全遺伝情報)と697人のタンパク質コード遺伝子を解析した。欧州、西アフリカ、それに東アジアの系統のヒトの遺伝子を解析し、個人間だけでなく、系統間でも遺伝情報を比較することができたと言う。

 研究結果は科学誌ネイチャーとサイエンスに掲載され、ネイチャーに掲載された論文によると、予備段階の研究では、被験者から1500万の遺伝的差異を発見した。このうち半分以上がこれまでに発見されていないもので、プロジェクト運営委員会の共同委員長である、ウェルカム・トラスト・サンガー研究所のリチャード・ダービン氏によると、世界の研究者に公開される予定のこのデータベースに、ヒトにみられる95%の遺伝子バリエーションが含まれることになるという。
 このコンソーシアムは中国、ドイツ、米国、それに英国の民間ないし公的な研究機関の集まりで、世界の5地域に住んでいる人々の遺伝子を用いてデータを作成した。最終的には2500人の遺伝子解析を行いたいと考えている。コンソーシアムは10月末までに少なくとも2700人のゲノム解析を終え、2011年末までの解析総数が3万人を超える可能性があると推測している。

 10年前、正確なヒト遺伝子情報の解読結果が発表された。しかし、このヒト・リファレンスゲノムと呼ばれるものには、個人間に存在する遺伝的差異の多くが含まれていなかった。これらの差異は病気をもたらす複雑な遺伝的、環境的、それに偶発的な要因を理解するのに重要であると言われる。

 これまでに他の研究で糖尿病や冠動脈疾患といった患者数の多い病気に関連する100を超えるゲノム領域が発見されている。このプロジェクトの狙いはこれらのゲノム領域における遺伝的変異にスポットを当てることだ。