読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

言語種>文字種

2009-01-09 09:30:46 | 読書

文字の種類が言語の種類に比べれば可なり少ない事は、言語は有るが文字の無い社会が有ったと言う事情も有る。日本なども平安中期まで大和言葉はあったがそれを表現する文字は無かった。隣国の漢字を借用していたのだ。このように一つも文字種で複数の言語を表現すると言う事が有ったからである。西ヨーロッパの諸国は英語、フランス語、ドイツ語、オランダ語、イタリー語、スペイン語などの言語を使っているが、それらの言語を表現する文字はアルファベット、或いはローマ字と言うラテン文字一種である。同様にロシア語、ポーランド語、ハンガリー語はキリル文字で書かれる。元は古代ブルガリア語に使われた文字で九世紀にギリシアの伝道師キリロスがギリシア正教の布教の為に福音書を翻訳するのに使った文字である。そのためキリル文字と呼ばれる。他にセルビア語、マケドニア語にも使われる。漢字と言う文字種は中国語、日本語、韓国語、そして以前はベトナム語でも使われた。このように一つの文字種で複数の言語が書かれた為に文字種の数より言語種の数の方が多いのである。