千葉や茨木で小屋生活すれば良かったのに、、、
ひよこ、ヤギ飼育して育てれば悠々自適だったなあ、、夫婦でにごり酒飲んで楽しかったのに。
移住し夫婦でカフェ経営を始めたが…早期リタイア後の暮らしに潜む落とし穴
10/5(金) 18:30配信
FNN PRIME
移住し夫婦でカフェ経営を始めたが…早期リタイア後の暮らしに潜む落とし穴
(画像:FNN PRIME)
時間に縛られず、悠々自適な生活がしたいーー。
そんな想いから、早期リタイアを選択する人も少なくない。実際、ブログなどで早期リタイア後の生活を発信する人も多く、そのどれもが自由で、楽しそうに見えないだろうか。
早期リタイアで失敗しないためのコツ
しかし、そうした人たちの陰で、残念ながら早期リタイアに失敗してしまった人もいる。
今回は、『べビー社員―職場をイライラさせる幼稚な人の深層心理』や『「シュガー社員」から会社を守れ!組織を溶かす問題社員への対処法』(いずれもPHPビジネス新書)などの著者で、社会保険労務士の田北百樹子さんに、早期リタイア失敗談を聞いた。
“準備万端”のはずが失敗してしまったAさん
田北さんが教えてくれた失敗談の主人公は、55歳で商社を辞め、離島に移住したAさん。
都内の自宅を売却し、早期退職制度によって割り増しされた退職金と預貯金で、贅沢な暮らしをしなければ十分にやっていける余裕があったという。
「Aさんは周囲の人たちから、『急に何もしなくなると退屈になって都会が恋しくなるから』と言われ、移住先の古民家を改造して、1階をカフェ、2階を居住スペースにし、ハーブなどを栽培するための小さな畑も作りました。カフェといっても、8人で満席になるような小さいお店ですが、物珍しさもあってか初日から大賑わいでした」(田北さん、以下同)
念願の移住を果たし、資金も十分、移住後にオープンしたカフェも繁盛と順風満帆のようにも思えるが、ここからAさんの“失敗”が次々と明らかになる。
まずひとつ目は、「妻との関係性」。
夫婦で穏やかな時間を過ごすはずだったが、カフェの経営を通して予想外に妻の社交性が開花してしまったことで、すれ違いが生じたのだとか。
「元々、カフェを経営するというよりも、趣味の延長くらいの感覚でやっていたAさんは、いずれ客足が途絶え、妻との穏やかな時間がやってくると信じていました。しかし、2カ月、3カ月経っても客足は途絶えることはありません。飲食店での経験がないAさんは、料理上手な妻の足手まといになることが増え、次第に2階に引きこもりがちになってしまったのです。
毎日楽しそうにしているのは、妻だけ。商社時代は、寝ずに夫の帰りを待っていた献身的な妻が、今ではAさんを邪魔もの扱い。『何のための移住だったのか』とふさぎ込む自分とは対照的に、地域の人たちにすっかり溶け込んで楽しそうな妻との関係はギクシャクしていきました」
追い打ちをかけるように、余裕があるはずだった「お金」の面でもトラブルが発生した。
「税理士から『仕入れに対して売り上げが少なく、このままだと預貯金を崩しながらの経営になる』と言われてしまったのです。商社時代は家計管理をAさんが行い、生活費のみを妻に渡す生活をしていました。
しかし早期リタイア後は夫婦で家計管理をするようになり、通帳やキャッシュカードを妻に渡し、Aさんは定期預金の通帳のみ管理。今まで夫の年収や貯金額を知らずにいた妻は、『自分が自由に使えるお金』と思い込んでしまい、オシャレな食器を買ったり、全国各地から食材を取り寄せたり、あっという間に残高が減っていったのです」
Aさんが失敗してしまった3つの要因
「妻との関係性」と「お金」の失敗。早期リタイアした当初、明るい未来が見えていたはずのAさんが失敗した要因は「3つある」と田北さん。それぞれの要因について、説明してもらった。
(1)環境の変化で夫婦の立場も変化
「妻が専業主婦だったことも関係していますが、『自分は働いて家族を養っている』という自覚が強いほど、環境の変化による立場の変化を予見するのは至難の業。退職をきっかけに、夫ファーストの生活から少しずつ精神的自立を図る女性が増えていく一方で、男性は『自分が退職したら妻は喜び、毎日かいがいしく自分の世話をしてくれるに違いない』と過信しているのです。
おそらく、Aさんの妻もはじめは『夫との時間』を楽しみにしていたはず。しかし、思った以上にカフェが繁盛し、『面倒を見てくれない』とすねる夫よりも、近所の方々との交流が楽しく、“眠っていた社交性”が開花したのではないでしょうか」
(2)「会社人間」であるほど組織から離れると弱い
「日本企業は『異動』や『転勤』によって組織の活性化を図ってきました。新しい場所で新しい人とイチから人間関係を構築するスキルを身に付けていき、『自分はどこへ行っても人と上手に人間関係を作ることができる』と思いがちですが、よく考えると仕事や会社内で出会う人は、採用の段階で基準に適合した人たち。
そのため、周囲の人たちの種類が変わると、今まで自分の周りにはいなかった人とも距離を縮める必要があり、『農村地帯で素朴な街並みにひかれて移住したけど、現地の人の金銭感覚や諸々が違いすぎて人付き合いがしんどい』となってしまうのは、よくあることです」
(3)田舎=レベルダウンと勘違い
「経済的にはすぐに困窮しないAさんは、『趣味の延長カフェ』として、商社時代の仲間にお店の写真などを送っていたようです。仲間たちからは、各国を飛び回って培ったセンスのよさが光ったオシャレなお店の内装に、『うらやましい』『さすが』と称賛の言葉が飛び交います。しかし結果として、商社時代のプライドからオシャレな店を作り、趣味の延長とはいえないほど繁盛。
趣味の延長というなら、『そこまでオシャレにする必要はあったのか』『カフェとしてオープンする必要があったのか』など疑問が残ります。田舎に引越したことを『レベルダウン』ととらえ、無意識のうちに『現役時代に周囲にいた人の目』を気にして、仲間に見せても恥ずかしくないようなものを作ろうと考えてしまったのだと思います」
こうしたAさんの失敗談から見えてくるのは、早期リタイアで失敗しないためのコツ。
(1)過去の人間関係に縛られず、(2)自分の周りで今起きている環境変化に素早く対応でき、(3)想定外のことが起きても動じない。
また、(4)“妻だけ”が人間関係を開拓しているなら、それを妬み、落ち込むのではなく自分もその努力をする。
そうしていれば、Aさんの暮らしは今よりもさらに充実したものになっていたのかもしれない。
取材・文=明日陽樹/考務店
取材協力=田北百樹子
51歳で早期リタイアし、沖縄で民宿経営【人生100年時代の選択】
FNN.jp編集部
カテゴリ:国内
2018年5月29日 火曜 午前11:30
製品開発の仕事を退職し、夫婦で沖縄県今帰仁村に移住
早期リタイア直前の年収に対し40%ほど減少したが、現在の生活に満足
「前後の生活では、それぞれ基準となる“時計”が異なる」
科学や医療の進歩の恩恵か、人々の寿命は過去200年ほど伸び続けているという。
これまで「人生80年」などと言われてきたが、それも今は昔。「人生100年時代」に突入した。
「人生100年時代」という言葉は、イギリスのリンダ・グラットン氏の著書『LIFE SHIFT』の中で使われているものだが、グラットン氏によれば、「人生100年時代」において、1.「教育」、2.「多様な働き方」、3.「無形資産」が重要とのこと。
我々にとって身近な存在である「多様な働き方」。
最近では、「定年までひとつの会社で勤め上げる」のではなく、定年を待たずして退職する「早期リタイア」という言葉も一般的になってきた。
“悠々自適”というイメージもあるが、退職後どんな生活をし、そして自身の選択に満足しているのか?
そのリアルな本音を知りたいと思い、実際に早期リタイアを選択した人に話を聞いた。
今回ご協力いただいたのは、約5年前に51歳で会社員を辞め、夫婦で愛知県から沖縄県今帰仁村に移住した杉本達哉さんだ。
杉本達哉さん
季節の移ろいを五感で感じられる喜び
「早期リタイア」と聞いて多くの人が気になるのは、やはり「生活の変化」だろう。
現在は、今帰仁村にある民宿を夫婦二人三脚で営む杉本さん。まずは早期リタイア前後のタイムスケジュールを教えてもらった。
タイムスケジュールだけを見ると、起床・就寝時間にそれほど大きな差はないように思えるが、杉本さんは、早期リタイア以前の生活について以下のように話す。
「当時は、よく言う“家と会社の往復”という生活が基本でした。会社の中では、10名弱のグループのリーダーとして製品開発に携わっていましたが、開発は非常に多くの部署と関わりながら仕事を進めるので、時間に追われながらの会議や打ち合わせ、出張、資料づくりの連続。休日に出社することも、ごく当たり前となっていました。」(杉本さん、以下同)
毎日忙しい日々を過ごし、会社のために身を粉にして働いていた杉本さん。
「早期リタイア前後の生活では、それぞれ基準となる“時計”が異なる」とも続ける。
「決定的に異なるのは、時計が示す時刻のみで動いていた会社員時代(早期リタイア前)に対して、現在は体内時計に素直に動いていること。
お客さま相手の仕事なので、もちろん時計が示す時刻で仕事は進めますが、生活全体の大きな流れが自然のサイクルに順応した、体内時計で流れていることを感じています。日の出・日の入りの時間や位置、風向き、星の種類や位置、さえずる鳥の種類、飛来する渡り鳥、虫の音など、カレンダーやニュースではなく五感で季節を感じ、目の前の自然の変化で季節を感じる生活になりました。」
また、収入面では「早期リタイア直前の年収に対し40%ほど減少した」とのことだが、それでも「夫婦2人で協業し共に生き、『1+1>2』であること」の実感のほうが大きいという。
具体的な課題に落とし込み、不安を解消
杉本さんの話しぶりから現在の生活に満足していることが窺えるが、51歳で早期リタイアを決断し、移住した当時はまだ子どもも一緒に暮らしていた。
早期リタイアするにあたって、何か不安はなかったのだろうか?
「移住による新しい生き方を具現化する際に、漠然とした多くの不安があったのですが、それらを具体的な課題に落とし込んで、一つひとつ対応を考えました。しかし、それでも最後に残ったのが、“民宿を始めてもお客さんが来なかったらどうしよう”という『考えても仕方ない不安』でした。」
長い時間をかけて不安を解消していくことで、早期リタイアへの不安はあまり感じなかったと杉本さん。どちらかというと、早期リタイアすることよりも、いつリタイアするかのほうが気がかりだったそうだ。
「ストレスのない生活などありません」
最後に、早期リタイア経験者として、今後早期リタイアを検討している人にアドバイスはないか聞いてみた。
「大切なことは、早期リタイア後にどのような生き方をするかを明確にすることです。早期リタイアは、その生き方を実現するための手段に過ぎません。
『早期リタイア』という言葉には、『ストレスのない悠々自適な生活』というイメージがありますが、ストレスのない生活などありません。どのような生き方をするにせよ、何らかのストレスはあり、それが会社員時代とは種類が異なるだけ。
早期リタイアを考えているのであれば、『覚悟』を持つこと、そしてそのために『準備』をすることが大切だと思います。『覚悟』ができている人には、必要なときに必要な人が手を差し延べてくれるはずです。応援してます!!」
1.「どのような生き方をしたいかを明確にする」
2.「その生き方を実現するためには何をすべきか考え、実行する」
この2つのプロセスに真剣に取り組むことで「覚悟」が生まれる。
今の仕事の辞め時、お金、家族etc.…早期リタイアには様々な不安がつきまとう。
しかし、時間をかけて一つひとつ対処していくことで不安は消えていき、“新しい生き方”への道が開けるのかもしれない。
取材・文=明日陽樹/考務店
取材協力 杉本達哉
http://www.agaiteeda.jp/index.html
ひよこ、ヤギ飼育して育てれば悠々自適だったなあ、、夫婦でにごり酒飲んで楽しかったのに。
移住し夫婦でカフェ経営を始めたが…早期リタイア後の暮らしに潜む落とし穴
10/5(金) 18:30配信
FNN PRIME
移住し夫婦でカフェ経営を始めたが…早期リタイア後の暮らしに潜む落とし穴
(画像:FNN PRIME)
時間に縛られず、悠々自適な生活がしたいーー。
そんな想いから、早期リタイアを選択する人も少なくない。実際、ブログなどで早期リタイア後の生活を発信する人も多く、そのどれもが自由で、楽しそうに見えないだろうか。
早期リタイアで失敗しないためのコツ
しかし、そうした人たちの陰で、残念ながら早期リタイアに失敗してしまった人もいる。
今回は、『べビー社員―職場をイライラさせる幼稚な人の深層心理』や『「シュガー社員」から会社を守れ!組織を溶かす問題社員への対処法』(いずれもPHPビジネス新書)などの著者で、社会保険労務士の田北百樹子さんに、早期リタイア失敗談を聞いた。
“準備万端”のはずが失敗してしまったAさん
田北さんが教えてくれた失敗談の主人公は、55歳で商社を辞め、離島に移住したAさん。
都内の自宅を売却し、早期退職制度によって割り増しされた退職金と預貯金で、贅沢な暮らしをしなければ十分にやっていける余裕があったという。
「Aさんは周囲の人たちから、『急に何もしなくなると退屈になって都会が恋しくなるから』と言われ、移住先の古民家を改造して、1階をカフェ、2階を居住スペースにし、ハーブなどを栽培するための小さな畑も作りました。カフェといっても、8人で満席になるような小さいお店ですが、物珍しさもあってか初日から大賑わいでした」(田北さん、以下同)
念願の移住を果たし、資金も十分、移住後にオープンしたカフェも繁盛と順風満帆のようにも思えるが、ここからAさんの“失敗”が次々と明らかになる。
まずひとつ目は、「妻との関係性」。
夫婦で穏やかな時間を過ごすはずだったが、カフェの経営を通して予想外に妻の社交性が開花してしまったことで、すれ違いが生じたのだとか。
「元々、カフェを経営するというよりも、趣味の延長くらいの感覚でやっていたAさんは、いずれ客足が途絶え、妻との穏やかな時間がやってくると信じていました。しかし、2カ月、3カ月経っても客足は途絶えることはありません。飲食店での経験がないAさんは、料理上手な妻の足手まといになることが増え、次第に2階に引きこもりがちになってしまったのです。
毎日楽しそうにしているのは、妻だけ。商社時代は、寝ずに夫の帰りを待っていた献身的な妻が、今ではAさんを邪魔もの扱い。『何のための移住だったのか』とふさぎ込む自分とは対照的に、地域の人たちにすっかり溶け込んで楽しそうな妻との関係はギクシャクしていきました」
追い打ちをかけるように、余裕があるはずだった「お金」の面でもトラブルが発生した。
「税理士から『仕入れに対して売り上げが少なく、このままだと預貯金を崩しながらの経営になる』と言われてしまったのです。商社時代は家計管理をAさんが行い、生活費のみを妻に渡す生活をしていました。
しかし早期リタイア後は夫婦で家計管理をするようになり、通帳やキャッシュカードを妻に渡し、Aさんは定期預金の通帳のみ管理。今まで夫の年収や貯金額を知らずにいた妻は、『自分が自由に使えるお金』と思い込んでしまい、オシャレな食器を買ったり、全国各地から食材を取り寄せたり、あっという間に残高が減っていったのです」
Aさんが失敗してしまった3つの要因
「妻との関係性」と「お金」の失敗。早期リタイアした当初、明るい未来が見えていたはずのAさんが失敗した要因は「3つある」と田北さん。それぞれの要因について、説明してもらった。
(1)環境の変化で夫婦の立場も変化
「妻が専業主婦だったことも関係していますが、『自分は働いて家族を養っている』という自覚が強いほど、環境の変化による立場の変化を予見するのは至難の業。退職をきっかけに、夫ファーストの生活から少しずつ精神的自立を図る女性が増えていく一方で、男性は『自分が退職したら妻は喜び、毎日かいがいしく自分の世話をしてくれるに違いない』と過信しているのです。
おそらく、Aさんの妻もはじめは『夫との時間』を楽しみにしていたはず。しかし、思った以上にカフェが繁盛し、『面倒を見てくれない』とすねる夫よりも、近所の方々との交流が楽しく、“眠っていた社交性”が開花したのではないでしょうか」
(2)「会社人間」であるほど組織から離れると弱い
「日本企業は『異動』や『転勤』によって組織の活性化を図ってきました。新しい場所で新しい人とイチから人間関係を構築するスキルを身に付けていき、『自分はどこへ行っても人と上手に人間関係を作ることができる』と思いがちですが、よく考えると仕事や会社内で出会う人は、採用の段階で基準に適合した人たち。
そのため、周囲の人たちの種類が変わると、今まで自分の周りにはいなかった人とも距離を縮める必要があり、『農村地帯で素朴な街並みにひかれて移住したけど、現地の人の金銭感覚や諸々が違いすぎて人付き合いがしんどい』となってしまうのは、よくあることです」
(3)田舎=レベルダウンと勘違い
「経済的にはすぐに困窮しないAさんは、『趣味の延長カフェ』として、商社時代の仲間にお店の写真などを送っていたようです。仲間たちからは、各国を飛び回って培ったセンスのよさが光ったオシャレなお店の内装に、『うらやましい』『さすが』と称賛の言葉が飛び交います。しかし結果として、商社時代のプライドからオシャレな店を作り、趣味の延長とはいえないほど繁盛。
趣味の延長というなら、『そこまでオシャレにする必要はあったのか』『カフェとしてオープンする必要があったのか』など疑問が残ります。田舎に引越したことを『レベルダウン』ととらえ、無意識のうちに『現役時代に周囲にいた人の目』を気にして、仲間に見せても恥ずかしくないようなものを作ろうと考えてしまったのだと思います」
こうしたAさんの失敗談から見えてくるのは、早期リタイアで失敗しないためのコツ。
(1)過去の人間関係に縛られず、(2)自分の周りで今起きている環境変化に素早く対応でき、(3)想定外のことが起きても動じない。
また、(4)“妻だけ”が人間関係を開拓しているなら、それを妬み、落ち込むのではなく自分もその努力をする。
そうしていれば、Aさんの暮らしは今よりもさらに充実したものになっていたのかもしれない。
取材・文=明日陽樹/考務店
取材協力=田北百樹子
51歳で早期リタイアし、沖縄で民宿経営【人生100年時代の選択】
FNN.jp編集部
カテゴリ:国内
2018年5月29日 火曜 午前11:30
製品開発の仕事を退職し、夫婦で沖縄県今帰仁村に移住
早期リタイア直前の年収に対し40%ほど減少したが、現在の生活に満足
「前後の生活では、それぞれ基準となる“時計”が異なる」
科学や医療の進歩の恩恵か、人々の寿命は過去200年ほど伸び続けているという。
これまで「人生80年」などと言われてきたが、それも今は昔。「人生100年時代」に突入した。
「人生100年時代」という言葉は、イギリスのリンダ・グラットン氏の著書『LIFE SHIFT』の中で使われているものだが、グラットン氏によれば、「人生100年時代」において、1.「教育」、2.「多様な働き方」、3.「無形資産」が重要とのこと。
我々にとって身近な存在である「多様な働き方」。
最近では、「定年までひとつの会社で勤め上げる」のではなく、定年を待たずして退職する「早期リタイア」という言葉も一般的になってきた。
“悠々自適”というイメージもあるが、退職後どんな生活をし、そして自身の選択に満足しているのか?
そのリアルな本音を知りたいと思い、実際に早期リタイアを選択した人に話を聞いた。
今回ご協力いただいたのは、約5年前に51歳で会社員を辞め、夫婦で愛知県から沖縄県今帰仁村に移住した杉本達哉さんだ。
杉本達哉さん
季節の移ろいを五感で感じられる喜び
「早期リタイア」と聞いて多くの人が気になるのは、やはり「生活の変化」だろう。
現在は、今帰仁村にある民宿を夫婦二人三脚で営む杉本さん。まずは早期リタイア前後のタイムスケジュールを教えてもらった。
タイムスケジュールだけを見ると、起床・就寝時間にそれほど大きな差はないように思えるが、杉本さんは、早期リタイア以前の生活について以下のように話す。
「当時は、よく言う“家と会社の往復”という生活が基本でした。会社の中では、10名弱のグループのリーダーとして製品開発に携わっていましたが、開発は非常に多くの部署と関わりながら仕事を進めるので、時間に追われながらの会議や打ち合わせ、出張、資料づくりの連続。休日に出社することも、ごく当たり前となっていました。」(杉本さん、以下同)
毎日忙しい日々を過ごし、会社のために身を粉にして働いていた杉本さん。
「早期リタイア前後の生活では、それぞれ基準となる“時計”が異なる」とも続ける。
「決定的に異なるのは、時計が示す時刻のみで動いていた会社員時代(早期リタイア前)に対して、現在は体内時計に素直に動いていること。
お客さま相手の仕事なので、もちろん時計が示す時刻で仕事は進めますが、生活全体の大きな流れが自然のサイクルに順応した、体内時計で流れていることを感じています。日の出・日の入りの時間や位置、風向き、星の種類や位置、さえずる鳥の種類、飛来する渡り鳥、虫の音など、カレンダーやニュースではなく五感で季節を感じ、目の前の自然の変化で季節を感じる生活になりました。」
また、収入面では「早期リタイア直前の年収に対し40%ほど減少した」とのことだが、それでも「夫婦2人で協業し共に生き、『1+1>2』であること」の実感のほうが大きいという。
具体的な課題に落とし込み、不安を解消
杉本さんの話しぶりから現在の生活に満足していることが窺えるが、51歳で早期リタイアを決断し、移住した当時はまだ子どもも一緒に暮らしていた。
早期リタイアするにあたって、何か不安はなかったのだろうか?
「移住による新しい生き方を具現化する際に、漠然とした多くの不安があったのですが、それらを具体的な課題に落とし込んで、一つひとつ対応を考えました。しかし、それでも最後に残ったのが、“民宿を始めてもお客さんが来なかったらどうしよう”という『考えても仕方ない不安』でした。」
長い時間をかけて不安を解消していくことで、早期リタイアへの不安はあまり感じなかったと杉本さん。どちらかというと、早期リタイアすることよりも、いつリタイアするかのほうが気がかりだったそうだ。
「ストレスのない生活などありません」
最後に、早期リタイア経験者として、今後早期リタイアを検討している人にアドバイスはないか聞いてみた。
「大切なことは、早期リタイア後にどのような生き方をするかを明確にすることです。早期リタイアは、その生き方を実現するための手段に過ぎません。
『早期リタイア』という言葉には、『ストレスのない悠々自適な生活』というイメージがありますが、ストレスのない生活などありません。どのような生き方をするにせよ、何らかのストレスはあり、それが会社員時代とは種類が異なるだけ。
早期リタイアを考えているのであれば、『覚悟』を持つこと、そしてそのために『準備』をすることが大切だと思います。『覚悟』ができている人には、必要なときに必要な人が手を差し延べてくれるはずです。応援してます!!」
1.「どのような生き方をしたいかを明確にする」
2.「その生き方を実現するためには何をすべきか考え、実行する」
この2つのプロセスに真剣に取り組むことで「覚悟」が生まれる。
今の仕事の辞め時、お金、家族etc.…早期リタイアには様々な不安がつきまとう。
しかし、時間をかけて一つひとつ対処していくことで不安は消えていき、“新しい生き方”への道が開けるのかもしれない。
取材・文=明日陽樹/考務店
取材協力 杉本達哉
http://www.agaiteeda.jp/index.html