零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング

2018年09月27日 | 日記
零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング

9/27(木) 7:02配信 エイ出版社
零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング
ベアメタルの輝きは、大戦末期になって迷彩塗装で機体を隠す必要さえなくなったから。
第二次世界大戦随一の傑作機は、じつは急造機だった
違うタイミングに開発された機体で、開発された目的も異なり、基本的には違う空域で戦った戦闘機を比較するのは愚かしいかもしれない。しかし、『第二次世界大戦の傑作機』として括るなら、私は筆頭に上がるのはやはりアメリカのP-51Dマスタングだと思う。

P-51マスタングのフライト動画はこちら!

1,450馬力を誇るロールスロイスマーリンエンジン。そのV型12気筒エンジンが形作るスリムな機首。胴体下に設けられた冷却気取り入れ口のもたらす抑揚のあるボディライン。そして高速性能を支えた層流翼という特徴的な翼型と端正な平面形を持つ主翼。高速性能に優れたレシプロ戦闘機であったことは、今もなおリノのエアレーサーのベース機として多数が使われていることからもよく分かる。

しかし、意外なことに、その出自は戦闘機の生産に不慣れなメーカーが、わずか120日で開発した急造機であった。

しかも、発注元は米軍ではなくイギリスだった。

零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング
故障が少なく高性能で、高い高度まで上昇できるスーパーチャージャーを備えたロールスロイス・マーリンエンジンの採用がマスタングの強さを決定的にした。
英国からの発注、120日での完成。ロールスロイスエンジンとの出会いがマスタングを傑作機にした
1939年から40年にかけて、イギリスはドイツ軍の急速な進攻により、非常な窮地に立たされていた。

そういう経緯もあり、イギリスの兵器購入使節団がアメリカのノースアメリカン社に、カーチス社が生産していた『P-40ウォーホーク』を作れないかと打診した。ノースアメリカン社の返答は『我々は、同じエンジンを搭載しても、もっといい飛行機を作れる』というものだった。その提案が受け入れられ、わずか120日の開発期間で作られたのがマスタングMk.Iだった。

そんな伝説だけを聞くと、あたかも急造機が奇跡的に高性能を発揮したように思えるが、実際にはノースアメリカン社の社長はその前の1938~9年にイギリス、フランス、ドイツの各航空機メーカーを視察したり、他社から優秀な設計者を引き抜いたりと、着々と準備を進めていたのだそうだ。

さて、そのMk.Iの改良版であるマスタング Mk.IAを米軍が引き取り、P-51の名前で実戦に配備したのが、米軍戦闘機としてのマスタングの歴史の始まりだった。

アリソン V-1710は優れた水冷エンジンだったが、ロールスロイスがそれよりはるかに優れたスーパーチャージャーを搭載したエンジンを作った。そのロールスロイス・マーリンとの出会いがマスタングを最高傑作にした。

水冷エンジンの細い機首は、層流翼と合わせて高速性能の実現におおいに役立ったし、優れたスーパーチャージャーは後にマスタングをB-29などの爆撃機として超高空まで上昇させるのにも役に立った。有効なスーパーチャージャーを持たなかった日本軍の戦闘機が、B-29を迎撃できる高度まで上がれなかったのとは大きな違いだ。


ロールスロイス・マーリンを積んだ、B型、C型はドイツ軍を攻撃する爆撃機の護衛として大いに役に立ったが、後方視界の悪さが問題ではあった。そこで使われたのが写真のような『マルコムフード』という膨らんだ風防だったが、後方視界の完全な改善は続くD型を待たねばならなかった。

零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング
下側からで見にくいが、ティアドロップタイプの風防がP-51Dの傑作機としての呼び声を高くしている。
ティアドロップ型風防を得て完成したP-51Dマスタング
後方視界を改善するために水滴型の風防を備え、胴体後半をスリムに絞った機体がP-51Dマスタングで、戦時中一番活躍した機体であり、戦後のエアレースなどで活躍した機体の多くもD型をベースとしている。多くの人のイメージするマスタングもD型だろう。

零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング
パイロットの背中を守る防弾鋼板も厚いものが使われており、12.7mm機銃弾程度までは防御できたと言われている。
マスタングの強さは、米国の圧倒的国力が支えていた
D型以降のマスタングの銀色のベアメタルの輝きは、圧倒的制空権を持っているからこその仕上げだった。迷彩塗装を施して隠れる必要などなかったのだ。

白と黒の太い帯を入れる『インベイジョン・ストライプ』も、友軍の対空砲火による誤射を防ぐためのもので、敵に撃たれるより味方に撃たれることを心配しなければならないほど圧倒的兵力があってこそのカラーリングだ。

ノルマンディ上陸作戦にあたって、インベイジョン・ストライプを施した米英軍の機体は、その航空兵力で海岸線で死闘を繰り広げる上陸部隊を支援した。

この大量生産も、高精度な工作を必要とされる水冷V12エンジンや、スーパーチャージャーの製造もアメリカの国力あってのことだ。また、外板のジュラルミンも厚いものが使われていた。もっとも薄い部分でも0.8mm、厚い部分では2mmの板が使われた。零戦の胴体外鈑厚は大半が0.5mmだったことを考えると、いかにしっかりとした作りだったかがよく分かる。

零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング
機銃は翼内に左右それぞれ12.7mm機銃を3門ずつを内蔵していた。
外板までギリギリの薄さにして、軽快な運動性能に賭けねばならなかった零戦は、マスタングに対して、戦闘機の優劣ではなく、国力で敗北していたのかもしれない。

零戦より圧倒的に傑作。史上最高のレシプロ機、P-51マスタング
現存する機体の多いマスタングは、さまざまな航空ショーなどで見ることができる。
零戦は大半が破棄され、米軍の航空機もジェット化の折りに多くが世代交代として処分されたが、マスタングは180機程度が現存して飛行可能だと言われている。


もし優秀なパイロットが乗った、完全な状態の零戦と会敵していたら
元々欧州戦線の要望で作られ、陸軍航空隊の所属機として活用されたマスタングはかなり後期になるまで対日戦には使われていなかった。対日戦に使われる頃にはB-29の護衛として使われることが多かったようだ。

そして、その頃には日本軍には優秀なパイロットも少なかったろうし、満足な整備状態で飛べる零戦も少なかったことだろう。

開発時期も1年半ほど異なる両機を比較するのは愚かなことかもしれないが、完全なコンディションの両機に、同等の技量のパイロットが乗って戦ったらどちらが有利だったのだろうか?

歴史に『IF』はないとはいえ、戦闘機好きにとっては気になるテーマである。

(出典:『P-51マスタング』https://www.ei-publishing.co.jp/magazines/detail/mook-472710/ )

(村上タクタ)



sdk***** | 31分前
防弾設備を持たず機体を軽くした零戦、コクピットやガソリンタンクに防弾設備を施し重くなった分は大馬力のエンジンでカバーするマスタング。
日米の設計思想の違いがよく分かる。
人間使い捨ての日本 VS 人命最優先のアメリカ。
戦闘機という観点から見ると零戦は必ずしも傑作機ではない。

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返信0
xxxxxxxxxxxx | 5時間前
目的違う機体を比べても
それより、工作技術や基礎技術を比べては?
日本との差が明確にでるし、

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返信1
jyu***** | 2時間前
日本の本当の傑作機は疾風じゃねの?

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返信1
zai***** | 6時間前
低高度なら零戦でも対抗出来るだろ?

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