営業マンの殺し文句にご用心…賃貸住宅サブリース問題とは?

2018年07月13日 | 消費者情報
まとめ

1,営業マンはノルマ達成にために良いことしか言わない。

2,契約書を読まない側の問題が有る。

3,節税になるとは、更地の場合の土地評価額と土地上に建物評価額の差額でしかない。

4,バンクが無責任に貸し出して金利えお得ることと抵当権が有るので差し押さえの利を得ることが目的。

5,そもそも欺罔を用いてオーナーを錯誤にいたしめ利益を得る行為の企業は「刑法上の詐欺」に当たる蓋然性が高い。

6,政府がこういう詐欺企業を野放しにしている。







営業マンの殺し文句にご用心…賃貸住宅サブリース問題とは?
7/13(金) 7:02配信 読売新聞(ヨミウリオンライン)
 「安定収入が得られます」「大事な土地、守りたいでしょう?」――。バラ色の収支予測に、感情を揺さぶる殺し文句。住宅メーカーが土地のオーナーに賃貸アパートの建設を勧め、関連の不動産管理会社などがそのまま借り上げて居住者に「又貸し」する「サブリース契約」。しかし、営業マンの甘い言葉に乗って建ててみたものの、借り手がつかないなどの理由から、契約を「途中解約」されるケースなどが相次いでいる。不動産業界に詳しいフリーライターの小野悠史さんが警鐘を鳴らす。

営業マンの殺し文句にご用心…賃貸住宅サブリース問題とは?
写真はイメージです
◆「相続税対策」の落とし穴……
 「(家賃収入が変わらないなんて)約束しましたっけ?」

 東京都内の50代の男性アパートオーナーは、ある住宅メーカーの担当者から浴びせられたひと言に耳を疑った。

 この男性は、住宅メーカーの勧めで、母親が所有する都内の土地にアパートを1棟建築した。さらに翌年、同じ住宅メーカーの提案に乗る形で新たに土地を購入し、もう1棟建てた。どちらも住宅メーカーの子会社である管理会社とサブリース契約を結んだ。2棟あわせて2億円近い購入・建築費を銀行から借り入れていた。

 アパート建築は「相続税対策になるうえ、安定した家賃収入も得られる」と、住宅メーカーや銀行から言われ、安心しきっていた。しかし、2棟目のアパートが完成してから2年後、借り上げ家賃の減額を提案されるようになった。

 建築時に提示されていた条件なら、建築から契約期間の40年間は、家賃が変わらないはず。男性はそう思い込んでいた。

 「話が違うじゃないか!」

 抗議した時に、担当者から言われたのが冒頭の言葉だという。

◆住宅メーカーの「手のひら返し」
 元々、母親が持っていた土地は駐車場にしており、その経営で安定した収入があった。そこに銀行経由で賃貸住宅建築の計画を持ってきたのは住宅メーカー側だ。「私から家賃保証を無理強いしたわけではなく、住宅メーカーから条件として提示された」と男性は主張し、憤る。

 しかし、実際に交わした書面によれば、40年にもわたる借り上げ契約はいつでも見直しが可能で、折り合いがつかなければ管理会社側は契約を打ち切ることもできる。管理会社にとってかなり有利な内容になっており、経営計画と実態に大きな開きが出た場合も、全てオーナー側が責任を負うことに合意した形になっていた。

 追加で建築したアパートは、2年ごとに家賃の値下げを提案され、当初、1室あたり5万4000円だった家賃は、5万2000円に下げられてしまい、その後も値下げの提案が続いたという。男性は、ズルズルと家賃が下がり続ける恐怖から、建築から10年目になる一昨年にアパートを売却した。

 建築後に知り合った別の住宅メーカーの社員から「(追加で建築したアパートは)最寄り駅から徒歩で20分以上と遠い。単身者向けの間取りで作られた計画自体に無理がある」と指摘されたことも売却の決め手になった。

 初めはメーカー側から「一緒に経営しましょう」と誘われて決意したアパートオーナーの道。家賃の減額に納得できず、担当者に詰め寄っても「判例があるので、裁判をやってもらってもかまわない」と、冷たくあしらわれたという。

 最初に建てたアパートは、駅からも近く好立地にある。それでも昨年から家賃の減額を提案されている。亡くなった父親が残した土地で、売却も決断できず、悩ましい日々が続いているそうだ。


◆サブリース問題の実態とは?
 この「貸家の建築請負・サブリース」は、住宅メーカーや不動産管理会社などが、オーナーの土地に賃貸アパートやマンションを建ててもらい、オーナーから土地・建物ごと借り上げて、借り主に「転貸(又貸し)」する契約を結ぶ仕組みだ。

 ここ数年、サブリース契約を業者に一方的に解約されたと訴えるオーナーの声がクローズアップされるようになり、その問題点が広く知られるようになった。

 トラブルとなるケースの多くは、思うように空室が埋まらず、転貸によって得られる賃料より、オーナーに支払う賃料のほうが高くなるなどして業者側の採算が合わなくなった場合、家賃の減額や中途解約を迫る、というものだ。
 土地のオーナーにとっては、賃貸住宅を建て、サブリース契約することで、少ないリスクで相続税を減らす対策になるとされてきた。住宅メーカーの現役営業社員によると、オーナーが「税金対策になる」という営業トークを聞き、アパート建築を決断するケースも多いという。

 一方、最近、サブリース物件を手がける大手住宅メーカーの「違法建築」が問題になったのも記憶に新しい。

◆理解困難な課税の仕組み……
 不動産コンサルティングなどを手掛けるファルベ(東京)の石川真樹社長は「相続税対策になる、という言葉が独り歩きしているのでは」と疑問を投げかける。所有地に賃貸住宅を建てることは、結果的に相続税の節税効果があることはよく知られているが、その仕組みを理解しているオーナーは少ないそうだ。

 相続する不動産に対する課税評価の仕組みはやや複雑だ。実際に売り買いされる価格(時価)とは違い、土地の活用状況によって課税する際の評価額が変わるからだ。

 特別な場合を除いて、不動産の課税評価額は時価よりも低く設定されている。賃貸住宅を建てた土地は「貸家貸付地」として評価され、時価より6~7割安く見なされる。この時価と評価額の差額が、結果的に「節税」につながるというわけだ。

 石川氏は「土地を売却しようにも、アパートに借り手がいれば簡単には進まない。こうしたリスクがあるから、税金が安くなる。さらに、建築した賃貸住宅が不人気で、借り手がつかず家賃が入ってこなければ(ローンの場合)建築費の借金だけが残る。土地の資産価値を減少させたうえ、さらにローンの支払いを子どもたちに押しつけることになる恐れもある。それが相続対策といえるのか」と疑問を呈する。


◆「大切な土地、守りたいですよね」
 ある住宅メーカーの営業マンによると、

 「先祖代々の大切な土地、守りたいですよね」

 ……といった言葉に強く反応するオーナーも多いという。先祖が戦後の混乱期に入植、開墾した農地を手放すのは「自身のルーツの否定につながる」と感じる人もいるそうだ。

 感情が先走り、将来的に安定した賃貸住宅の経営が本当にできるかどうか、という重要なポイントを慎重に見極めず、安易に契約してしまうケースも多いそうだ。

 オーナー側の相談に応じているNPO法人「日本住宅性能検査協会」などが運営する「サブリース問題解決センター」(東京)の大谷昭二センター長は「賃貸住宅に対する需要は、地域の人口と世帯数によって差がある。人口が減少している地域では、安易に建築を決めてはいけない」と警告する。

 サブリースに関わる業者は、建築後、数十年にわたっての「経営収支表」を作成し、オーナーに提示する。収支表は建設するエリアの人口動態や周辺物件での入居率などを予測したもので、賃貸住宅経営が成り立つかどうかを判断するうえでとても重要なものだ。

 この「収支表」が曲者なのだという。業者側が提示する予測は極めて甘く「実態とはかけ離れた『バラ色の収支予測』を見せられ、契約してしまった人も多い。『サブリースするので空室の心配はない』といった甘い言葉で契約を迫ることもある」(大谷センター長)そうだ。

◆「オーナーは何もしなくていい」という誤解
 ただ、サブリース自体が「悪い仕組み」とも言い切れないのは事実だ。

 住宅需要が高い都市部などでは、複数の賃貸住宅を業者が管理することで、近接したエリア内で入居者をうまく紹介し、空室のリスクを分散することもできるはずだ。

 にもかかわらず、サブリースが問題になるのは、その運用にあるといってよい。

 「オーナーは何もしなくていい」「家賃を将来にわたって保証する」などと勘違いさせてしまう営業手法が問題の根底にある。当然だが、金融機関から数千万~数億円を借り入れて始める規模の事業が「他人任せ」でいいわけがない。

 本来であれば、オーナーがサブリースによる賃貸住宅経営のメリットとリスクを十分理解した上、主体的に経営に参画すべきだと筆者は考えている。

 このため、オーナーの誤解を招くようなサブリースの営業が行われているのならばすぐに改めるべきだ。また住宅メーカーや管理会社もこうした誤解が広がらないようアナウンスする必要があると思う。


◆金融機関の甘い融資、問題に拍車?
 この問題に関し、金融機関の安易な融資姿勢を指摘する声もある。

 不動産エコノミストの吉野薫氏は「賃貸住宅への融資は、(純粋な)不動産への融資とは言い難い」という。

 日本銀行の「金融システムレポート」(2018年4月)によると、半数以上の地域金融機関では、周辺の物件の家賃相場や、入居率などを調査せずに融資を実行している。さらに、将来的な人口動態を踏まえた住宅の需給バランスを調査している地域金融機関は全体の27%にとどまっている。

 「賃貸住宅やその経営を評価せず、家主の資産状況などをもとに融資している可能性がある」(吉野氏)という。

 「銀行の審査を通過し融資が実行された」という事実が、知識の乏しい家主に、賃貸住宅を経営できるという「お墨付き」を与えている。そう思わせているとしたら問題だ。

◆オーナーへの丁寧な説明が必要
 実は、オーナーの多くが賃貸住宅の経営に必要な知識を十分に持っていないのが実態だ。筆者が取材現場で出会った家主には、固定資産税算定の仕組みや、入居者募集の手法すら理解していない人がいた。不動産経営についての知識が明らかに不足しているといってよい。

 多くの家主からの相談を受けてきた「サブリース被害対策弁護団」は、金融商品と同じように、賃貸住宅の建築・経営にも「適合性の原則」を適用してはどうかと提言する。

 適合性の原則とは、金融機関が、金融商品を販売する相手の知識や経験、資産状況に合わせた説明をし、商品の販売をすることを義務付ける原則だ。金融商品取引法に規定がある。契約書に書かれている内容だけでなく、顧客の知識レベルに合わせ、説明を尽くす必要がある。これを不動産や賃貸住宅にも適用してはどうか、というのだ。

 無秩序な賃貸住宅の建築が続けば、昨今問題化している空き家の増加に拍車をかけ、管理する自治体の負担も増しかねない。将来的な賃貸需要が見込めないエリアでの不動産融資は焦げ付きかねず、金融機関にとっても大きなリスク要因となる。オーナーも自らの役割を認識し、適切に住宅を経営する意識を持たなければ、居住者に不利益を与えかねない。オーナー、住宅メーカー(サブリース業者)、金融機関のそれぞれに努力が求められる。


◆地銀が融資姿勢を転換?
 このところ、賃貸アパート・マンションの着工数は減っている。賃貸住宅の建設市場は「アパートバブル」と呼ばれるほどに過熱していたが、ここにきて陰りが見え始めた。

 国土交通省の発表によると、今年5月の民間資金による新設貸家の着工戸数は3万1083戸で、前年同月比で5.7%の減少となり、12か月続けて前年同月比で減少した。

 不動産業界関係者によると、昨年春頃から地方銀行などが賃貸住宅建設への融資の審査を厳しくしたため、着工数が減り始めたとみられる。

 16年頃までは、賃貸住宅の建設は急増していた。15年の相続税法改正と、大規模な金融緩和の二つが要因とされる。16年7月から11月までの5か月間の着工数は前の年に比べ2ケタ以上の伸びをみせ、17年の5月まで20か月連続で前年同月を上回っていた。

 こうした賃貸住宅市場の過熱に対し、日本銀行が17年4月の金融システムレポートや、同年1月の「地域経済レポート」などで懸念を示した。金融庁も地銀などの経営に厳しい目を向けており、これらが融資に対する前のめりの姿勢を変えた可能性がある。

◆一歩立ち止まって……
 今後は、人口減少に加えて、25年からは世帯数も減少に転じると予想される。しかし、サブリース問題はすぐに解決することはないだろう。過疎化と首都圏への人口一極集中により、今後も地方を中心にさらに空き家が増え、賃貸住宅へのニーズも減少する可能性が高い。サブリース契約のリスクはますます高まる恐れがある。

 もし、読者の中に「相続税対策のために所有地にアパートを建ててみようか……」と検討している人がいたら、一歩立ち止まってよく考えてみてほしい。

フリーライター 小野悠史


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