IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか

2021年05月30日 | 政治社会問題

IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか

5/28(金) 6:01配信
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JBpress

IOCのジョン・コーツ副会長(モニター内)と東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長(2021年5月19日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 (池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

 昨年(2020年)の延期から新型コロナに翻弄されてきた東京オリンピックが、いよいよ瀬戸際に追い詰められている。野党がそろって「オリンピック反対」を打ち出し、公式スポンサーの朝日新聞も中止を求める社説を出し、世論調査でも「中止か延期」を求める意見が8割を超えた。

 そんな中でIOC(国際オリンピック委員会)の委員が、無神経な発言を繰り返している。「緊急事態宣言が出ても大会は決行する」とか「首相が中止するといっても開催する」という発言は、日本の国家主権を侵害するものだ。今のところ日本政府は沈黙しているが、この状況でオリンピックは開催できるのか。

■ 「首相が中止を求めても開催する」

 今年も東京オリンピック・パラリンピックは、開催が危ぶまれていた。新型コロナの感染が収まらず、緊急事態宣言が出される状況で、今年7月23日に開催できる条件がそろうとは思えないからだ。普通ならそれに対して、日本国民の健康に配慮して協力を求めるのが(外交辞令としても)常識だが、IOCのコメントは常識外れだった。

 5月21日の記者会見で、IOCのジョン・コーツ副会長は「緊急事態宣言が出ていてもオリンピックは開催できるのか」という質問に「絶対できる」(absolutely yes)と答えた。

 24日には、IOCのトーマス・バッハ会長が、ビデオメッセージで「東京大会を実現するために、われわれはいくつかの犠牲(sacrifice)を払わなければならない」と述べたが、この「われわれ」は「日本国民のことではない」と後に説明した。

 そして27日発売の文春オンラインでは、ディック・パウンド元副会長が「菅首相が中止を求めたとしても、それは個人的な意見に過ぎない。大会は開催される」と答えた。

 この一連のIOC幹部の発言で特徴的なのは「開催に日本政府の協力をお願いする」というのではなく、「われわれが開催する」とIOCを主語にして語っていることだ。IOCはなぜこのように強気になれるのだろうか? 



■ 不平等な「開催都市契約」

 この背景には、開催都市契約という特殊な契約がある。ここでは大会の開催はIOCが各都市に「委任」するもので、主催者はIOCだけである。したがってその中止を決定する権限をもつのもIOCだけだ。

 契約には「IOCによる本大会の中止またはIOCによる本契約の解除が生じた場合、開催都市、NOC(各国オリンピック委員会)およびOCOG(オリンピック組織委員会)は、いかなる形態の補償、損害賠償の権利も放棄」すると書かれている。

 だから日本政府も東京都も中止を決定できる当事者ではない、という人がいるが、それは誤りである。これは国家間の条約ではないので、日本政府はそれを履行する国際法上の義務を負わない。IOCは国際機関ではなく、放映権料やスポンサー料などの収入で運営される民間団体なので、この契約を執行する権限は日本政府にあるのだ。

 たとえば国立競技場をオリンピックに使わせるかどうかは、文部科学省が決定できる。そのためには法改正は必要なく、「新型コロナの感染拡大を防ぐため国立競技場の利用を禁止する」という閣議決定で十分である。

 それに対してIOCが異議を申し立てて行政訴訟を起こすことができるが、7月末までには間に合わない。IOCが日本政府に違約金の支払いを求めて訴訟を起こすこともできるが、それも日本の裁判所に起こすしかない。内閣の正式決定に対して裁判所が賠償を認めることは考えられない。

 この場合に大事なのは契約上だれが決めるかではなく、中止の決定が妥当かどうかである。もし開会式の段階で緊急事態宣言が発令されており、デパートや映画館に休業要請しているとすれば、国立競技場だけをIOCに使わせることは不当である。IOCが「選手には特別に安全対策を講じたので例外にしてほしい」と東京都に要求しても都は拒否できる。

 最終決定権はIOCではなく、日本政府と東京都にあるのだ。それなのにIOCが無神経な発言を続ける背景には、もっと複雑な事情がある。

■ 日本政府はIOCの「腐敗のサイクル」を断て

 その理由は、IOCが日本政府に報復する手段をもっているからだ。東京都がIOCから委任されたオリンピックを中止したら、日本は二度とオリンピックを開催できないだろう。IOCは今後の大会で日本の選手団を拒否するかもしれない。

 さらにIOCはオリンピックの放映権料を各競技団体に配分する権限をもっている。これはサッカーやバスケットボールなどのプロスポーツでは問題ではないが、大部分のアマチュアスポーツはIOCの分配する放送権料が最大の資金源である。

 IOCの資料によれば、2013年から2016年までのIOCの収入は約57億ドル(約6200億円)で、その73%が放映権料である。収入の90%が世界各国に、アマチュアスポーツの強化費用として分配されている。JOC(日本オリンピック委員会)も年間112億円を受け取っている。

 オリンピック開催地を決めるとき、賄賂でIOC委員を買収しないと当選できないことは、周知の事実である。JOCの竹田恒和前会長は、IOCの委員を280万シンガポールドル(約2億2000万円)で買収した容疑でフランス司法当局の追及を受け、竹田会長もJOCも金を払った事実は認めた。

 要するにIOCが企業から集めた放映権料が各国に分配され、それが賄賂としてIOCの「五輪貴族」に環流する腐敗のサイクルができているのだ。しかもJOCがIOC委員に金を贈っても、日本の刑法では贈賄罪に問われない。IOCは国際機関ではなく、その委員は「外国公務員」ではないからだ。竹田前会長の容疑も、曖昧なまま終わった。

 IOCが異常に強気の発言を続けるのは、このような歪んだガバナンスを利用して、日本政府や東京都が中止したら、今後オリンピック利権は分配しないと脅しているのだ。

 こんな脅しでIOCのいうことを聞いたら、菅政権は世界から「IOCのようなヤクザに屈服したのか」と笑い物になる。緊急事態宣言の中でオリンピックだけを特別扱いしたら、国民は自粛要請にも従わないだろう。

 IOCは「再延期は認めない」としているので、日本政府の選択肢は開催か中止かの二択である。開催するなら政府は緊急事態宣言を解除し、国民生活を正常に戻すべきだ。

 それと同時にIOCと交渉して暴言を撤回させ、ガバナンス改革を要求すべきだ。法的正統性のない五輪貴族に私物化されている組織を、法にもとづく国際機関に変える必要がある。

池田 信夫

失言相次ぐバッハ会長「ホテルは5つ星」のVIP来日に冷視線

5/27(木) 6:10配信
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女性自身

(写真:アフロ)

東京五輪の開会式まで残り58日と迫るなか、IOCトップの失言が相次いでいる。

「五輪の夢を実現するために、誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」

5月22日に開かれた国際ホッケー連盟のオンライン総会で、こう挨拶したトーマス・バッハ会長。“誰に向けたのか”が物議を醸し、後にIOC側は「日本国民にではなく、五輪関係者、五輪運動に向けた発言」と釈明。

しかしバッハ会長はこれまでも、日本国民から反感を買うような発言をしてきた。

4月22日には、緊急事態宣言が発出される方針を受けて「五輪とは関係ない」と発言。同月28日にも、「日本の社会は連帯感をもって、しなやかに対応している。日本国民の精神は賞賛の的です」などとコメント。そして、「今回の五輪についても非常に厳しい状況であるなかで、乗り越えることが可能になってきます」と“精神論”を展開した。

さらにジョン・コーツ副会長も5月21日に、「緊急事態宣言下でも五輪を実施する」と強調し批判が相次いだ。

そんな強腰のバッハ会長とコーツ副会長の訪日も近づいている。各紙によると、まずコーツ氏が6月15日に来日予定。当初5月に来日する予定だったバッハ会長も、6月中旬に来日すると報じられている。その後、開幕10日前の7月12日に改めて来日するという。

■指摘されてきたIOC役員のセレブ体質

現在10都道府県に発令されている緊急事態宣言は、再延長される見通しだ。変異株の感染拡大や医療逼迫、ワクチン接種の拡大は喫緊の課題となっている。また百貨店や映画館など休業要請を強いられている業界もあり、経済活動面でも厳しい状況が続いている。

国内では五輪の「中止論」が高まるいっぽう、“厚待遇”とされるバッハ会長らの訪日には冷視線が注がれている。

大会計画の「立候補ファイル」によると、IOC関係者は5つ星ホテルでの宿泊が提供されるという。

そのホテルとは、「The Okura Tokyo」「ANAインターコンチネンタルホテル東京」「ザ・プリンス パークタワー東京」「グランドハイアット東京」の4つのホテル。提供率は「100%」と記載されており、全室貸切となるようだ。

また「特別交渉による宿泊料金」としてシングル、ダブル/ツイン、スイートに関わらず、IOC役員は一泊の上限料金が一律35200円と定められている。

いっぽう立候補ファイルには、《大会組織委員会は、この特別料金と大会時の実際の宿泊料金との差額を保証するため、予算として適切な額を見積もっている》とも明記。

なかでも「The Okura Tokyo」には、720平米で1泊300万円の国内最大級のスイートルームが備えられている。仮に同室にIOC役員が宿泊するとなれば、1泊290万円以上の差額を組織委が負担することに。つまり税金で賄うことになるが、IOCの“VIP扱い”は譲れなかったようだ。

「昨年9月に組織委とIOCはコロナ禍に配慮し、人数削減や運営を簡素化することで合意。IOC関係者が集まる総会の開会式を中止し、彼ら向けのラウンジを縮小するなどしました。いっぽうで感染防止策とはいえ、IOC関係者の移動手段は新幹線の一両借りやハイヤーなど“VIP扱い”のようです。

もともとIOC役員は、“セレブ体質”ともいわれていました。コロナ禍以前にも組織委が『ホテルのグレードを下げる。もしくは全額負担』を提案したところ、IOCは強く反発したそうです。『立候補ファイル』に5つ星ホテルが保証されているのは、彼らが最後まで譲らなかったということなのでしょう。そのため、早くも冷ややかな声が上がっています」(全国紙記者)

各紙によると、招致段階では約7,340億円と見積もられていた五輪大会経費。しかし延長に伴う追加経費や新型コロナ対策費用も追加され、昨年12月に発表された予算は1兆6440億円まで膨らんだ。

日本国民の信頼を失いつつあるなか、“厚待遇”で迎えられるIOCトップには冷視線が注がれそうだ。

東京五輪の来賓セレブ「おもてなし」に43億円も!巨額ムダ出費に批判噴出

5/26(水) 14:00配信
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日刊ゲンダイDIGITAL

国民には我慢を強いて、来賓セレブは高級ホテルで悠々自適(IOCのバッハ会長)/(代表撮影)

 東京五輪を巡って、またフザケた話が発覚した。政府が、東京五輪開催の際、来賓の接遇に約43億円もの費用をかけることが分かり、批判が噴出している。

東京五輪で選手がコロナに感染したら誰が責任を? 「安全配慮義務違反」で裁判沙汰の可能性

 問題の費用は、2020年当初予算に計上された外務省所管の「東京オリンピック・パラリンピック要人接遇関係経費」。10日の参院予算委員会で、立憲民主党の蓮舫議員が関係経費について「圧縮すべきだ」と追及していた。

■「赤じゅうたん」やVIPルーム設置に

 大会関係者からも「簡略化すべき」と声が上がるが、その理由はカネの使途がヒドすぎるからだ。24日付のアエラドットによると、「空港に要人が来た時のVIPルーム」や「赤じゅうたんを敷く」ことなどに使われるというから、あまりにもバカバカしい。このコロナ禍に赤じゅうたんまで敷く必要があるのか。

 超豪華な「おもてなし」を受けるのは各国首脳だけじゃない。“ぼったくり男爵”こと、バッハ会長が君臨するIOC(国際オリンピック委員会)もスゴい接遇を受ける。立候補ファイルによると、大会期間中、東京都はIOC関係者用に「ANAインターコンチネンタル」「グランドハイアット東京」など一流ホテルの部屋を提供する。IOC関係者は格安で利用できるという。

「1泊100万円を超えるような部屋でも、IOC委員や関係者は数万円の負担で宿泊可能と伝えられている。差額は大会組織委員会が負担することになっているようです」(大会関係者)

 コロナ禍のさなか、国民や都民は、菅首相や小池知事から「外食するな」「酒を飲むな」「夜は電気を消せ」と徹底的に自粛しろと迫られている。収入が激減したのに協力金を受け取れない業者もいる。なのに、セレブへの「おもてなし」に巨額のカネを突っ込むのは、おかしいのではないか。他に手当てすべきことがあるはずだ。

 外務省に問い合わると〈外交儀礼上必要な接遇に遺漏なきを期すための接遇経費を計上しています〉(報道課)などと回答。組織委は〈ホテルと大会特別料金で客室契約をしており、組織委員会とIOCの契約に基づきその一部を負担しています〉(戦略広報課)としたが、具体的な金額は明かさなかった。東京五輪関連の著書がある作家の本間龍氏はこう言う。

「今回のような無駄遣いは、コロナ禍だからこそ問題視され、あぶり出されたのです。コロナがなければ、数十億円もの接待費は粛々と使われていたことでしょう。当然ながら、優先すべきはVIP接待ではなく、コロナ対策。無駄な事業に浪費することは許されません」

 セレブたちには「来日を自粛して」「過剰な接待はできない」くらいのことを言うべきだ。
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