恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

イラク人質事件 各党の対応策

2004年04月10日 | 外交・国際
 イラクで日本人3名が拘束され、犯行組織が自衛隊の撤退を要求している事件についての自民・公明・民主・共産・社民、各党の「どう対処すべきか」の、2日間にわたる意見を検証し、私なりに評価をしたいと思います。

 まず、自民党・公明党は、「人質の無事救出を」としつつも、犯行組織が要求している「自衛隊撤退」については「テロの思うつぼ」だとして、「撤退する理由はない」と、即座に否定しました。私は、こんなに矛盾した愚かな決断はないと思います。
 例えば、子供を誘拐された母親が「無事に返ってきて」と訴えながら、誘拐犯からの「子供は預かった。返してほしければ身代金を用意しろ」との要求に、電話口で「金は払いません。」と言って電話を叩き切る行為です。「子の命」より「身代金」を惜しんだとして、この子が殺される可能性は大変高まります。自民・公明、すなわち与党の策は、まったく説得力もなければ効果もありません。現実問題として、状況の悪化を招くだけの「愚策」です。
 来日を予定している米国のチェイニー副大統領を意識し、「対米追従」を最優先したものとしか考えられません。

 民主党では、岡田克也幹事長が「無条件・即時の人質解放を求める」とコメントしました。「無条件」という条件ほど実現が難しい条件はありません。自民党の安倍晋三幹事長と同じ「夢物語」です。犯行組織と交渉して「帰しなさい」「はい、帰します。」などということがありますか。少しは現実を認識してほしいものです。
 続いて菅直人代表も「小泉総理の責任は重大だが、人命を第一に、政府に協力する。」と国会で発言しました。私はこの野党第一党を大変情けなく思いました。政府の判断は上記の通り「人質を殺しても構わない」と言うに等しい態度です。それが「人命を第一」に反しているのに、さらに「政府に協力」とは、単なる「判断から逃げている」に過ぎません。無責任にも程があります。

 共産党は「自衛隊の即時撤退」を求め、社民党は同じく「自衛隊の即時撤退」と併せ、今日の党大会で、福島瑞穂党首が「今回の件を招いたのは自衛隊を派遣した小泉首相の責任」として「首相の退陣」も要求しました。
 この両党の掲げる「自衛隊の即時撤退」について、人命尊重を第一とするとき、やはり犯行組織の唱える「自衛隊撤退」が条件である限り、5党の中では最善でしょう。

 しかし、私の意見は全党の意見と異なりますので、少し、対応策を述べたいと思います。

 ・まず、「人命尊重」が第一である。
 ・要求が「自衛隊撤退」である以上、「撤退」の選択肢を排除するべきではない。
 ・ しかし、「撤退」が「テロに屈した」とする風評と、「日米関係」悪化を招く。
 ・ 自衛隊派遣の根拠としてきた「人道復興支援」を放棄したことになる。

 以上を踏まえ、私が首相ならば、次のようにするでしょう。
○「即時撤退」を表明し、中東の全メディアを通じ犯行組織に伝わるようアピールする。(これで犯人は「要求を受け入れた」と安心しますし、今後の交渉に道が残ります。)
○「撤退」は、大部分の撤退に見せかけながら、主な任務とする「給水」に「宿営地警備」に必要な人員とを残し、「少しずつ」クウェートに撤退させる。(給水に550人は必要ありません。第一陣として3分の1程度を撤退させます。相手は「イラクからの撤退」を要求していますので、半日ほどで移動できるクウェートであれば充分に今からでも間に合います。給水人員を残すことで、とりあえず人道支援・国際貢献の面目は保たれます。)
○ その上で、犯行組織の実態を探り、「米国色の薄い」赤十字社や現地部族長・現地宗教組織指導者などを通じての交渉の糸口を探る。
○ それでも交渉に時間が、かかるようならば、もう少しずつ撤退させ、時間を稼ぐ。

 犯行組織の指定した期限まで約20時間。クウェートへの移動なら間に合います。政府は最善を尽くしてほしいものです。

 と同時に、自民党・公明党の「人命より米国」、民主党の「いざとなったら政府任せ」、共産党・社民党の「人名尊重が第一」と、姿勢が明確となりました。
 国民が選挙を通じ「どこに政権を担当させるか」ということは「どこに命を預けるか」ということが今、突きつけられている気がします。

 暫定統治当局(CPA)が日本政府の意向を受け「テロ組織とは交渉しない。逮捕か殺害だ」としています。犯行組織を追い詰めれば、「殺害して逃亡」の危険も高まります。これ以上「人命軽視」を見過ごしてはなりません。「国民の生命尊重」以上の「人道」もなければ「国益」もありえないのです。


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