■おろしや間諜伝説(第127話) 発表1978年1月
評価 ★★★★
依頼人 KGB
ターゲット ①リビア政府活動家モネイム②自衛隊幕僚庁特別調査局 岩淵二佐
報酬 不明
今回弾丸発射数 2/ 通算弾丸発射数 883
今回殺害人数 2/ 通算殺害人数 785
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 65
<ストーリー>
ロシア人「アレクセイ・スメルジャコフ」と日本人「小柳美沙」の間に生まれたのがゴルゴ13なのか?ゴルゴ出生の謎に迫る自衛隊幹部が次々と殺されていく・・・
<この一言>
科白なし
<解説>
『日本人・東研作』(第14巻-1) 、 『芹沢家殺人事件』(第27巻-1) に続く、「ルーツもの」第3弾。
内閣調査室海外保安局・若槻局長は確度85%のゴルゴルーツを掴み、自衛隊上層部に披露する。父はロシア人の『アレクセイ・スメルジャコフ』、母は日本人の『小柳美沙』。自衛隊上層部はさらなる調査のために幹部を派遣する。
[アレクセイ・スメルジャコフ/小柳美沙 年表]
1913年 スメルジャコフ:帝政ロシア陸軍少尉100m競争、水泳、馬術、射撃のオリンピック候補
1917年 スメルジャコフ:日本へ亡命。反ソ活動を展開。
1939年 スメルジャコフ:逆スパイと疑われ、函館に軟禁される。
小柳美沙:外務省の20数カ国語を話す間諜。監視役としてスメルジャコフと結婚。
1940年 スメルジャコフと美沙の間に男子出生
1945年 スメルジャコフ一家行方不明
1956年 スメルジャコフ一家、舞鶴に現れナホトカへ向かいスメルジャコフの弟を訪ねる。
この時の写真の少年がゴルゴに酷似。
<スメルジャコフの弟証言>
①スメルジャコフは息子に、国家・民族・イデオロギーを信用するなと教えていた。
②スメルジャコフは息子に、自分の腕一本で世界に通用する人間になれと指導。
③ゴルゴダの丘でイエスが処刑される話を少年は目を輝かせて聞いていた
1963年 スメルジャコフ一家、カザフ共和国に移住。
1975年 スメルジャコフ死去(実は生存しており、息子の遺体を埋葬)。小柳美沙行方不明。
父・スメルジャコフの身体能力や射撃術、母・小柳美沙の語学力を考えるとゴルゴが二人の子どもである、というのは確度の高い推論であろう。加えて、スメルジャコフには一年に一度右半身がマヒするという持病があるが、ゴルゴにも右手が突然しびれだすという持病があり、遺伝的な繋がりが疑われる。
しかし、ソ連のスパイになっていた「自衛隊幕僚庁特別調査局 岩淵二佐」は、スメルジャコフの息子はスメルジャコフによって殺されており、ゴルゴはスメルジャコフの息子ではないと発言、直後に岩淵二佐は狙撃される。
確度85%のゴルゴルーツ。しかし、スメルジャコフの持病は右半身のマヒが一年に一度、ゴルゴの持病は右手のしびれが不定期、という違いがある。岩淵二佐の発言は真実を語っているのではなかろうか?しかし、死人に口なし、真相はゴルゴが知るのみである・・・
ズキューン
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この話は、スメルジャコフが、絵を見る限り、左手がしびれているように見えるんですよね。
何か、特殊な遺伝で、ゴルゴが右手がしびれるのかもしれませんが。
>左手がしびれているように見える
本当ですね!最期の運転シーンでは左手がしびれています(笑)
「人民」「芹沢家」の2作品が突出した人気があり、他の6作品にも固定の支持者がいるという状況のはずなんですが…本作がルーツ編で一番好きという話にはほとんど出会っおりません…。
個人的に考えるところ、本作は他のルーツ編に比べ、゛突出した魅力゛が感じられ難いのが理由ではないでしょうか?
まずルーツ編の絶対評価尺度と思われる゛信頼性゛において、本作には穴があります。スメルジャコフが本当にゴルゴの父親ならば、KGBに洗脳された際に、彼の家族について情報が聞き出された可能性があると思います。少なくとも自衛隊言うところの゛確度85%のゴルゴルーツ゛をKGBがスルーしたとは考え難い。故に「蒼狼」「毛沢東」「河豚」のような゛悩ましい゛作品には及ばない部分があります。
さらには、作品単体としての面白さでも他より少し弱いかな?とも感じます。
「ゴルゴのルーツを握り、子飼いにする」という設定には大変魅力を感じますが、結果的にはそれによってゴルゴが追い詰められることはありませんでした。また、スメルジャコフが黒幕として登場したはいいのですが、あっさりと゛自滅゛してしまう点も多少残念ではあります。設定や人物がもう少し絡み合えば、伝説的な作品になり得たかも、と若干口惜しいです。
「人民」や「芹沢家」はルーツ編としての評価以上にミステリーや歴史ロマンとしての完成度、ゴルゴファンでなくても楽しめる作品単体の面白さで傑作としての地位を獲得しています。「禿鷲」や「東研作」には長尺の割に読みやすい印象がありますし………本作はそういった様々な理由で゛ファンのイチ押し゛のルーツ編に成り切れなかった不遇の一編に感じられます。私も「蒼狼」がイチ押しですし……。
でも本作前半の緊迫感はなかなかのものがあり、それが理由で私の中では二番目に好きなルーツ編です。
以上長々と偉そうに駄文をたいへん失礼しました…。なんとなく地味なルーツ編と言われがちな(私がそう思いこんでるだけかもしれませんが…)本作が以前から不憫でしかたなくて…つい長々と書き込んでしまいました……。
言われてみれば、このルーツ編、他と比べると地味ですね(笑)まずはタイトルからして地味です。その時の気分で★をつけていますが、★×4つの評価ですね(笑)他のルーツものは★×5つなのですが・・・
私も一言コメントを(笑)
最近、こればっか(笑)
本エピソードは、以前に私が散々ケチを付けた外浦吾郎脚本物なので、神聖なルーツ編にまでケチを付けるのは控えていたのですが(笑)
他のルーツ編と本エピソードの一番の違いは、本作だけが父親が日本人ではないと云う事でしょうか!!
『日本人東研作』と『芹沢家殺人事件』では父親の「影」は見えないのですが、本作以降は父親の「影」がかなり各ルーツ編に色濃く出るようになります!
ある意味、ゴルゴのルーツを調べると云う事はゴルゴの父親を調べると云う事と同義語になります!
コレはルーツ編の最新作『亜細亜の遺産』でも如実に現れていますね。
そういうわけで本作がルーツ編としてはあまり人気がないのは、読者が日本人ではないスメルコフにはあまり感情移入が出来ないからではないでしょうか?
母親とされる小柳美沙、輸送機から飛び降り自殺する位のアッパレな人物なのですから、もっと母親にスポットを当てるべきだったと思います!…って男尊女卑で女性の描写がヘタクソな外浦吾郎には無理か!!(笑)
確かに小柳美沙は少ない登場シーンの割に強い印象を残します。マリヨ神父さまのおっしゃる通り、彼女にもっとスポットを当ててもよかったですね。
エピソードによっては(「ナポリの女」「白い巨人」「ストレンジャー」など)『父性の象徴』とも成り得るゴルゴのアイデンティティーの形成に、゛母親゛小柳美沙が大きく影響していたのでは…?みたいな話であれば…本作は異色ではあれど強烈な印象を残すルーツ編となっていたかもしれません。「人民」や「芹沢」に匹敵する人気を獲得できたやもしれませんね。
ところで話は変わりますが、私は外浦脚本もの、結構好きですよ。「おろしや」「鬼畜の宴」「落日の死影」は純粋に面白いですし…。なんといっても「スキャンダルの未払い金」「タンブル・ウィード」の2作品はあまりにも素晴らしい展開で、何度も読み返してしまいますから(爆笑)。
■マリヨ神父さん
父親がルーツ編のカギ→鋭い指摘です。ゴルゴは純血の日本人であって欲しいという読者心情も分かりますね。
おっと本作も外浦吾郎の脚本なのですね(笑)
■パトリック三平さん
>母親とされる小柳美沙~にスポットを当てるべき[マリヨ神父さん]
>ゴルゴのアイデンティティーの形成に、゛母親゛小柳美沙が大きく影響していた[パトリック三平さん]
同感です。小柳美沙は非常に興味深い女性ですね。実は・・・155巻-3『一射一生』の「弥生」と血縁関係にあるのではないか、と勘ぐっています。
>私は外浦脚本もの、結構好きですよ
私も、そして、きっとマリヨ神父さんも、外浦吾郎脚本、大好きです。愛憎、というより、憎めない面白さがあるんですよね~
外浦吾郎脚本物の評価ねぇ~!!(笑)
真面目に述べますと(笑)彼の長所は、魅力的な男性のゲストキャラ(特に敵キャラ)を数多く創出した事にあると思います!
その中でもスパルタカスとハンス・ユルゲンス(AX-3)に関しては、ゴルゴの全うな敵キャラとしてかなり高い評価を得ています。
その一方、彼に取って不幸な事は、とうとう最後まで女性をステレオタイプの、男性に取っての「まぐあい」の対象(笑)とでしか創出出来なかった事です!
頁数の兼ね合いもあったのでしょうが、同時期の大御所脚本担当の故K・元美津に比べると女性の描写に雲泥の差が有ります!!
と云うか、ある時期から彼は脚本を意図的に、女性を極力排除した「男だけの世界」を構築して行きました!
恐らく彼の持ち味を効率良く出す為には、やむを得ない事だったのでしょう
彼のゴルゴシリーズ最後の作品『ズドロナス・マリヨ』(因みに私の一番好きな作品です!)では、男だけのストーリー展開で完成度の高い作品を残しています!!
もう一度、今度は「船戸与一」として新たなゴルゴ脚本に挑んで貰いたいと考えるのは、私だけでし
外浦吾郎についていうと、時代の流れとともに、劇画・漫画のニーズが変化し、その中で彼の作風も変化していったのでしょう。劇画が男子の”エロ”ニーズを拾っていた時代には、ステレオタイプ的な男性視点からの女性の描き方が求められたのかもしれません。彼自身のハードボイルド志向が深まるとともに「男だけの世界」に傾倒していったのでしょう。彼(船戸与一)の小説は2・3冊しか読んだことがないので、きちんとした評価ではないので、ちゃんと読み込みたいなと思います。