〔音楽療法〕音楽の力について分かった事

2010-12-13 06:30:15 | 音楽療法
私事ですが、先月、末期がんの父が、ついに寝たきりになって
しまいました。個室に移され、酸素吸入器と
点滴だけで生きている状態です。口から管を入れて呼吸しているので、
しゃべることはできませんし、食べることもできません。
でも、以前にも書きましたが、耳は聴こえているのです。
人間の聴覚は、五感の中でも最後まで残るものなのですね。
それは、何か語りかけたりした時に、軽くうなずいたり手を動かしたりして
反応することで分かりました!!

そんな状態ですが、これまで自分でしか試してこなかった
モーツァルトの音楽を病室内でかけてみることにしたのです。
少しでも心拍や血圧にいい反応がでればいい、と祈りながら
11月末の晴れた日の午後でした。
前日には、心拍が200くらいいく時もあり、とても見ていられないくらい
苦しんでいました(心臓にものすごい負担がかかっていたはずです)が、
この日は、心拍が100~110くらい、血圧が160前後と、決して
いい状態とは言えませんでしたが、前日に比べれば、まだましでした。
個室に設置されたモニターで数値をリアルタイムで確認できるため、
音楽をかけながらモニターを見て改善させることを期待していました。
10曲ばかりモーツァルトの音楽を流しましたが、少し分かった事が
ありましたので、ここで思い切って記します。

①バイオリンソナタ第40番 K.454 第3楽章
②ホルン五重奏曲 K.407 第2楽章
③バイオリン協奏曲 第4番 K.218 第3楽章

10曲のうち、上記3曲をかけた時は、効果が出ました。
心拍数が100~90くらいに下がったのです。他の7曲では、
さほど変化が見られなかったのに・・・・・・・この3曲は、
いずれもシンプルで穏やかな曲です。アップテンポで軽快な曲では
ありません。それと、バイオリンやホルンなどで高い音が多い曲です。
集中して聴けば、心が落ち着いたり、眠くなりそうな曲だと思います。
しかも、③のバイオリン協奏曲 第4番では、血圧も下がりました。
160くらいあったのが、147くらいにそれに合わせて、
心拍数も80台まで下がったのです。これには、正直驚きました。
本人の熱が38度くらいあった時ですから、ビックリです。
このときに音楽の力を本当に実感できました。

その後、父は、睡眠導入剤を入れられたり、疼痛ケアをされたりし、
音楽の効果が単にモニターだけで測れない状態になってしまいましたので、
音楽は流し続けていますが、残念ながら効果を調べるのは止めました。
心拍や血圧が、本当に音楽だけの効果なのか分からなくなったためです。
薬の力も借りていると感じたためです。

でも、少し前に書きました「危篤状態の男性が、自分の好きな三波春男の
曲に声を出して反応したとか・・・」という話も合わせますと、
確実に音楽効果はあるようです。聴覚から生きていることを実感できるのは、
素晴らしいことではないでしょうか?
こんなことから、音楽にはストレスを軽減する力があるのを実感したのです。