自分自身の体験から書きます。
100人くらいのコンペで優勝の
可能性があった日のことです。
最終ホールで、その日一番のピンチに
見舞われました。
ティショットが大きくスライスし、右の
がけ下へ。OBゾーンはなかったので、
がけ下から2打目を迎えることに。
「やってしまった!」と正直、思いました。
神様のいたずらって、こういうことかな?
とも感じましたが、心の余裕はありませんでした。
とにかく、このピンチからどう脱出するか?
そこに集中!
すると、短時間の間にいろんなことを
人間って考え判断するものなんですね。
7~8mくらい打ち上げで、グリーン方向へは、
高い木々が聳え立ち、フェアウェイ上へ
脱出できれば御の字の状況でした。
幸い、フェアウェイに出すだけだったら、
3mくらい木と木にすき間がありました。
私は、ここでとにかくボギー(パー4)で
上がる作戦へ変更。
では、フェアウェイに脱出する
ベストな方法は?
ボールのライは、左足上がりの上り斜面か?
それとも、比較的平らな
ライからの打ち上げか?この差は大きい!!
同じ上り斜面でも、つま先下がりが入るか?
ここでは、フェアウェイに出すことだったので、
7m打ち上げの左足上がり。つま先上がりは
入りませんでした。
では、ここでどんな球で脱出するか?
ふわっと上げる?
低い球を打つ?
ゴロで転がし上げる?
3つの選択肢の中から2番目をチョイス。
イチバン目は、距離感が難しい。
高さと距離をださないといけないため、
SWだとフルスウィングになり、体の
バランスを崩したりショートして
再びがけ下へ落ちる最悪の結果に
なりやすいため、NG。
3つめは、がけ上まで距離がなければ
イチバン安全なのですが、強さが足らないと
ショーとの恐れがあり撤退。なんせ
7m打ち上げでしたから。
それで、2番目の低い球を選択。これなら
強めに打てば、ワンクッション、2クッションしても
駆け上がってくれるとの見込みからでした。
本能的に一番リスクの少ない策を
チョイスしていました。
ただし、ロフトのあるショートアイアンでは、
上り坂のため、インパクトロフトはクラブの
ロフトにプラスされ、球が高くなり、
ショーとの恐れがあります。でも、ロフトの
少ないロングアイアンでは、球が強くなり過ぎ、
フェアウェイの先へ突き抜け、再トラブルに
なる恐れが・・・。
それで、最終的に6番アイアンを短く持ち、
下半身はインパクトの形を作って固め、
土台をしっかりさせたまま打つことに
集中。上からどんとぶつけて終わり。
距離感、強さは、見た目からの感覚を
出すよう素振りしてショットしました。
すると、予想どおりというか、
ワンクッションしてフェアウェイへ。
3打目でグリーン手前花道へ。
ここから寄せワンを拾い、
予定どおりボギーで上がり、
結果的に優勝できました。
私は、この体験を通じて
2つのことを後々まで
考えていました。
1つは、ピンチになると、人間は
短時間のうちにベスト策を
脳内を神経が駆け巡るように
考え出すということ。
目標に向かって挑戦していく過程で
ピンチになっても、それを乗り越える
知恵と体力を振り絞るエネルギーを
使えるということ。
それと、もう1つは、結果に
一喜一憂して、現実を診尽くす
目が欠けてしまうことです。
前者は、既に述べたように
チャレンジする醍醐味です。
挑戦を辞めては、進歩はありません。
考え抜き実行するから、成功もある
ということです。当たり前のことかも
しれません。
でも、問題は2つめです。
結果オーライならいいのかです。
確かに私の作戦は成功しました。
でも、今になると、あのティショットは、
OBになり、優勝を逃した方が
良かったのでは思っています。
OBになっていれば、なぜ土壇場で
OBを打つほどショットが乱れて
しまったのか?
心と技術的な問題、課題に深く
取り組むことができたかもしれません。
たまたま成功したから、
反省を忘れてしまう。これが、
実は一番怖いことだと思います。
長い目で見た、進歩の過程で
ゴルフが教えてくれること。
「結果に一喜一憂するな!
課題を見つけ、常に考え
身体を動かす。そうすれば、
次の道が開け、努力しろ!
前へ進め!」
そんな声が聞こえてきます。
ゴルフの上級者が謙虚なのは、
こんな姿勢が宿っている結果
なのかもしれません。
仕事にも通ずる
”謙虚で、かつ、日々考えながら
挑戦”の精神。
棺桶に入るまで失いたくない
ことです。