鳥肌が立ちました! ラデッキー聴き比べ

2013-01-04 19:38:55 | 音楽の魅力

今年のウィーンフィルの

ニューイヤーコンサートも

盛況に終わりましたけれど、

毎年アンコールでお決まりの曲、

ヨハン・シュトラウス父が作った

『ラデッキー行進曲』の表現にも

指揮者によって色が出ます。

ここ10年間で私が独断と偏見で

選んだベスト3を紹介いたします。

先ず第3位は

2012年(昨年)のマリス・ヤンソンスが

指揮したラデッキーです。

彼は、サービス精神が豊富で、

アンコールということもあり、

音の強弱を相当つけながら

盛り上げていました。聴衆の方を向き、

表情豊かに何かを訴えかけるような

仕草が印象的でした。

音の強弱、メリハリが特徴だと

感じたのですが、テンポは不変な

感じ。これが彼のラデッキーでした。

第2位は、2007年に指揮した

ズーヴィン・メータ。小澤征二さんと

並んで、ウィーンフィルを指揮した

アジア人(インドの方)です。

当ブログでも紹介したことがありますが、

とてもヒューマンな方で、東日本大震災

の直後も来日し、エールを投げかけ、

見事な演奏を披露してくれたマエストロ。

彼の2007年のラデッキーはとにかく

彼のキャラが反映され、明るさ1色

でした。イントロの太鼓、ファンファーレの

金管楽器は、艶のある明るい音で

奏でられ、楽しい気分を堪能できました。

ヤンソンスと少し違うのは、1音1音に

しっかりとした芯があり、強い音だという

印象を持ちました。明るくて強い

演奏だったように感じました。

そしてそして、第1位は、1昨年の

2011年、フランツ・ウェルダーメストが

指揮したラデッキーです。彼を最初に

見た時は、とても冷静沈着な人だと

感じていたのですが、このラデッキーの

演奏は素晴らしかったです。

それまでの演奏の余韻も手伝い、

聴衆が盛り上がる中、太鼓の音。

そして金管楽器などで主旋律が

始まりましたが、音をデクレッシェンド

(徐々に小さくする)のところで、

音を消え入りそうになるまで

極限まで小さくし、

そしてフォルテの音をバーンと

出す。このフォルテはズービン・メータ

ほど大きくはないのですが、

そこに行き着くまでの音が

蚊が泣くくらい小さくなっていたもの

ですから、メリハリが利き、

フォルテの音が生き生きしたのです。

これには、拍手していた聴衆も

一段と乗ってしまいます。

右手を斜め上方に突き上げた

彼らしくない派手な動作を聴衆に

見せた瞬間、もう決まり!と

感じてしまいました。冷静なる

演出なのでしょうか?

オケの団員も幸せそうに

演奏していました。

これが、ウィーンフィルらしい

演奏なのでしょうか?

音のつながりで、優美に

奏でていく。

圧巻でした。

演奏が終わった瞬間、

私は、めったにないのですが、

鳥肌が立ちました。

それくらいマエストロと団員、

聴衆を1つにしてしまったのです。

こういう演奏でこそ『ブラボー!』と

叫ぶべきなのでしょうね。

今年も彼は指揮しましたが、ラデッキー

に関しては、2年前のがベストだと

感じています。

会場全体が音の波の中で

躍動した!という余韻が

残りました。

こんな演奏をまた聴いて

みたいものです。

 


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
行ってきました (さとちゃん)
2013-01-11 14:45:35
はじめまして。
とても詳しい解説をありがとうございます。
実はウイーンフィルHPの抽選にあたり、年末から楽友会館で生の演奏を聴いてきました。
黄金の間は木製で、地下に2重の空洞があるとかで音響が素晴らしく、最初から終わりまで魅了されました。足元から音が身体に響いてくるのです。
メストとウイーンフィルの仲の良さと、自信から生まれるゆとりが感じられ、緊張感の中にもリラックス出来る雰囲気でした。
返信する

コメントを投稿