〔音楽療法〕ヴァイオリン協奏曲第5番はトルコ風

2010-07-23 10:12:37 | 音楽療法
今日は聴いていて楽しくなる曲のことを書きたいと思います。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲5番の第3楽章です。
ヴァイオリンの独奏がとても楽しい曲なのですが、
なぜか途中の展開部でトルコ民族舞踊風のメロディが鳴り出します。
思わず踊りだしたくなるような軽快なテンポなのですが、
この主旋律をヴァイオリンが奏でるところに面白さがあります。
ノーマルな感じならオーケストラ全体で舞踊風の旋律を
担当するはず(?)かもしれませんが、ヴァイオリンが小気味よく
オーケストラを引っ張っているところに妙味があります。

さらに、ユニークなのは、トルコ風のメロディが出てくるまでは、小川の
せせらぎのようなヴァイオリンの主旋律がずっと流れ、突然、
トルコ風に変化するところです。脳の刺激にはいいかもしれませんが、
モーツァルトの意図はよく分かりません。突然変異のような曲です。

オーストリアやその周囲を支配していたハプスブルク家は、当時、オスマントルコ
との抗争をくり返していました。あのドナウ川が戦争で血に染まったという話も
あるくらい、血なまぐさい時代もありました。でも、その戦争状態の時代に
トルコ軍がウイーンにコーヒー(これが本当のトルココーヒー?)を伝えたとも
言われます。それくらいトルコとは、愛憎ある隣国だったようです。
モーツァルトもオペラ『後宮からの誘拐』やトルコ行進曲など、トルコ風を
音楽に取り入れています。でも、ヴァイオリンでトルコ風を演出したのは
初めて!ユニークで刺激の多い曲ですね。