ナショナルジオグラフィックニュースによると、数千万年前、ヒトの祖先のゲノムに侵入したウイルス
が、今では人体のすべての細胞の元である胚性幹細胞(ES細胞)において重要な役割を果たしているこ
とが、最新研究で明らかになったという。今回の発見は、ウイルスが人類の進化に果たしている役割を
明らかにするもので、幹細胞を先進医療に利用する方法、さらには、通常の細胞を幹細胞に転換する方
法を見出す手がかりとなる可能性があるという。ES細胞は多能性を有し、体のあらゆる細胞になること
ができる。この能力を病気やけがの治療に利用しようと、世界中で研究が進められている。多能性の仕
組みは、数十年の研究を経てもなお解明されていない。しかし今回の研究によって、「ヒトES細胞がそ
の能力を有する上で、ウイルス由来の物質が不可欠である」ことが明らかになったとは、研究の共著者
でモントリオールにあるマギル大学の計算生物学者ギヨーム・ブルク(Guillaume Bourque)の話。
ウイルスは自己を複製するために、生物の細胞内に入り込んで、その構造を利用する。レトロウイルス
という種類のウイルスは、これを行う際に、自らの遺伝子を宿主細胞のDNAに組み込み、それによって
細胞にレトロウイルスの新たな複製を作らせる。このレトロウイルスで最も悪名高いのは、後天性免疫
不全症候群(AIDS)を発症させるヒト免疫不全(HIV)ウイルスだ。レトロウイルスは、まれに生物の
精子や卵細胞に感染する。感染した精子や卵細胞がヒトになると、その細胞にはレトロウイルスのDNA
が含まれ、それが子孫へ受け継がれる場合がある。既存研究によると、ヒトゲノムの少なくとも8%を、
これら内在性レトロウイルス(ERV)が占めるという。ERVは、ヒトの祖先が太古の昔にレトロウイルス
に感染した名残だとされている。ERVは長らく、ヒトゲノムの中でなんの機能ももたないジャンクDNA
だと考えられてきたが、最近の研究によって、ヒト内因性レトロウイルス(HERV)の一種であるHERV
-Hに関しては、この説が当てはまらない可能性が浮上。HERV-HのDNAは、通常のヒト細胞では不活性
化されているが、ヒトES細胞においては驚くほど活発だという。ES細胞が多能性を維持するのに重要な
役割を果たしていることが明らかになる。
※ HERV-Hの働きが詳しく解明されれば、通常の細胞を多能性のある幹細胞に戻し、それを使って「
再生医療を行うことが可能になるかもしれない」と、ブルク氏は述べる。そのような再生医療は、
糖尿病、脳卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、脳や脊髄の損傷などの治療に利用できる。
ヒトES細胞は、200種類を超す人体の細胞の大元だ。それほど重要なヒトの基本材料が、ヒト以外の、
それもウイルス由来の遺伝物質に依存しているというのは直感的には受け入れがたいが、長い進化の過
程で、ウイルスが宿主細胞の働きを操作する能力は磨かれてきた。今回の研究成果は、レトロウイルス
を取り込んだ生物が、自らの生体機能をよりよく制御するのに、ウイルス由来の物質を利用している可
能性を示唆している。役に立つかもしれない機能を、突然変異のみに頼るより早く手に入れられると期
待されている。そこで一言、俄に信じられないが、進化とそういうこと含まれていることに二度びっく
り!
※ The retrovirus HERVH is a long noncoding RNA required for human embryonic stem cell identity, Received09
November 2013, Nature Structural & Molecular BiologyVolume:21,Pages:423–425Year published:(2014)DOI:
消費税があわただしく引き上げられた(わたしの増税論はこのブログにほとんど掲載されている。コス
ト下落にかかわる技術革新が続く限りこのデフレはなくなることはない。ところで、彼女はスパーの食
品を買って帰ってきて、小さくなった食パンを見せながら、やっぱり、値上げは堪えると言う。そこで
自営ということにはなるが、先日のフジッ子の和風カレーの素ではないが、電子レンジで解凍と加熱調
理できる冷凍パスタは1袋3百円+αの値段で入手できるのではないかと考え、行動を起こすことにし
た。感想は後日。
・特開2013-017399 電子レンジ調理用容器入り濃厚クリームスープ載置冷凍麺及びその調理方法
・特開2012-249586 パスタ用熱処理デュラム小麦粉及びその製造方法並びにこれを使用したパスタ
・特開2012-244972 植物油を含む冷凍クリームソース類の製造方法
・特開2012-183044 冷凍麺製造における茹で上げた麺の冷却方法
・特開2010-246466 電子レンジ解凍調理麺用高油分乳化油脂組成物及びその製造方法 並びにこれを使
用した電子レンジ解凍調理麺用ソース及び電子レンジ解凍調理麺
●スピン反転励起が可能な新色素で有機系太陽電池の大幅な広帯域化を実現
田中貴金属グループの2013年度「貴金属に関わる研究助成金」の「プラチナ賞」に東京大学の瀬川浩司
教授らの「新規ルテニウム錯体のスピン反転励起を用いた広帯域有機系太陽電池」が選ばれた(2014.0
4.01)。受賞理由は、世界的に高効率な再生可能エネルギー源が求められている中、資源資材を浪費せ
ず、安価で使いやすい太陽光発電を実現のため、先進的な貴金属色素開発と有機色素の組み合わせによ
り、世界最高レベルの効率を得たのは画期的な技術革新であり、貴金属の特性を最大限生かした研究で
あるとし評価された。発明の概要は以下の通りである。
色素の光吸収を発電に利用する有機系太陽電池は、低コストが特徴であるが、使われる色素の光の吸収
帯域が狭くエネルギー変換効率が低いという問題を抱えていた。東京大学先端科学技術研究センターの
瀬川浩司教授、木下卓巳特任助教らの研究チームは、分子が光を吸収する際に電子の持つスピン(電子
が持つ、磁石のような性質、通常、分子が光吸収を行う過程でその向きは保存され変化しないとされて
いる)の向きを反転させることができる新色素(DX)を合成し、DXを用いた有機系太陽電池で可視光
から目に見えない1ミクロン以上の近赤外光まで非常に高い効率で発電させることに世界初成功。
これまで色素増感太陽電池で使われてきたルテニウム錯体色素は、最も長波長帯のMLCT(金属-配位
子間電価移動遷移)吸収帯で光吸収が起こると、まず励起一重項状態を生成し、ルテニウムの重原子効
果により、直ちに励起三重項状態へと項間交差(熱的にエネルギーを放出しながら電子の持つスピンが
反転する現象。金属を含む化合物でしばしば観測される)を起こす。この一重項と三重項のエネルギー
差(スピン交換エネルギー)は、多くのルテニウム錯体では数百meVもある。この錯体の酸化チタンへ
の電子注入過程の多くが励起三重項状態からの電子注入である。このため、既存のルテニウム錯体色素
ではスピン交換エネルギー分相当のエネルギー損失が避けられない。このエネルギー損失の低減を目的
とし、基底一重項から励起三重項へ直接遷移するスピン禁制遷移(通常、分子が光を吸収する際はスピ
ンの向きが保たれたままになるが、それが反転する遷移。通常は観測されず、一部の分子では非常に弱
い強度で観測されることがある)を利用し、高効率な近赤外光電変換の実現を目指してきたという。
一部のルテニウム錯体は中心の重原子による強いスピン軌道相互作用(原子核の周囲を軌道運動する電
子が、電子から見た原子核の相対的な運動により磁場を受けるという相対論的効果)で、長波長領域に
スピン禁制遷移が見られることがあるが、その吸収強度はとても弱いものの、ビピリジルなどの窒素原
子を有する配位子の代わりに、リン原子など電気陰性度の小さな原子を配位させた錯体を合成。リン配
位子を有するルテニウム錯体は、通常の窒素原子が配位した錯体と比べ、錯体に働く内部重原子効果(
分子の中に重原子が存在すると、分子に働くスピン軌道相互作用を大きくする効果)が増強する。これ
は、リン配位子が配位することによって金属-配位子間の結合の分極が反転し、ルテニウム原子が非常
に大きな電子的寄与を持つことによるものと考えられる。これにより、中心金属の原子量を増加させる
こと無くスピン軌道相互作用を大幅に増強させることが可能になり、大きなスピン禁制遷移を発現する
ことを発見し、また、この新規増感色素を用いたDSSC(色素増感型太陽電池)は1020 nm付近から立ち
上がるIPCEスペクトル(太陽電池の波長ごとの光電変換量子収率を示したもの。有機系太陽電池の場合、
用いる有機色素の吸収帯域に依存して形状が変化する)を示し、既存の高効率色素と比べ、IPCEを低下
させることなく、分光感度波長を100nm以上長波長化させることに成功。これは近赤外領域のS-T遷移に
よって直接生じた励起三重項状態からの直接的な電子注入に起因するものと考えられるという。
また、擬似太陽光下(100 mW/cm-2, AM1.5G)では、有機系太陽電池史上最も高い短絡電流密度(JSC)と
なる26.8 mA/cm-2が得られ、一般的な無機系太陽電池に匹敵するほどの大電流を得ることにも成功した。
今回の論文には記載されていないが、発表者らは同系統の誘導体をさらに改良し短絡電流密度(JSC)30
mA/cm-2を超える太陽電池の作成にも成功している。
一方、太陽光は非常に広い帯域にフォトン(光子。光など電磁波を媒介する素粒子)を有しており、単
一のセルでの光電変換には理論的な変換効率の限界がある。タンデム型太陽電池は、それぞれ異なる波
長域の光電変換を行うセルを複数積層させることによって熱的なエネルギー損失を最小限に抑えること
ができる。これまでにトップセルに短波長の光を吸収するルテニウム錯体色素や有機色素、ボトムセル
に可視光全域を吸収する増感色素を用いたタンデム型色素増感太陽電池(タンデム型DSSC)などが報
告されているが、増感色素の長波長化が困難なため、ボトムセルの改良が課題だ。今回、新規に合成し
たルテニウム錯体色素は、長波長に高い感度を有し、さらに無機系太陽電池に匹敵するほどの大電流を
得ることができるため、これをボトムセルに用いたタンデム型太陽電池の検討を行っている。
既存のルテニウム錯体色素をトップセルに用いた場合、最大で11.4%のエネルギー変換効率が得られ、
さらに、太陽光の照射強度を通常の1/3程度まで減らした場合、12%を超える非常に高いエネルギー変
換効率を得ることに成功した。さらに、今回の論文には記載されていないが、同系統の誘導体をさらに
改良した色素で最大で12.8%のエネルギー変換効率を得ている。また、太陽光の照射強度を通常の1/3程
度まで減らした場合、エネルギー変換効率は13.5%程度まで上昇することを確認している。このタンデ
ム太陽電池では、原理的には30%を超える光エネルギー変換効率を実現することも可能である。無機
化合物半導体を用いたタンデム型太陽電池の場合、光量の減少に伴い変換効率が低下してしまうのに対
し、タンデム型DSSCは変換効率が向上する。このことから、タンデム型DSSCは、天候が優れない日や
窓際など、光量が不足しがちな場面での運用につながる可能性があるという。
※ "Wideband dye-sensitized solar cells employing a phosphine-coordinated ruthenium sensitizer",Received22 Oc-
tober 2012
●「愚韓新論」の愚?!
ユーチューブで三橋貴明の上図の書物が発刊されていることを知り、翌日、購読する。さらっと、読み
飛ばしてみた感想を一言でいえば、この書物には"ココロ"がない、その地域で移り住み育んできた人達
の共同体史、その地域共同体史の "遺伝子コード"を解読し、それを引き受けそれを未来に展開させて
いく責任というか、意欲といった方がいいのかわからないが、それが著しく欠いているのではとの感想
を抱いた。ところで、彼の主張であるインフレターゲット政策は、リフレ派のわたし(たち)と共鳴す
るところがある。厳密に言えば、わたし(たち)は、複雑系のマクロ経済学にして、ポスト或いはニュ
ーケインジアンの系譜に近いのと考えているが、彼のそれは、軍需産業をも含めた"有効需要喚起"のケ
イジアンや新古典派、ないしは、ネオ・リベラリスム(新自由主義)をない交ぜた計量経済学のように
思っていて、政治的には、国民国家(民主派)主義(石原慎太郎らのようなマキャベリックな国民国家
(共和派)主義とは異なる)系譜のように感じている。が、この図書で引用された数多くの産業経済数
値の豊富さや、韓国憲法を読み解いていること、あるいは、アジア通貨経済危機・リーマンショックな
どの分析など興味を惹いたその一方で、彼の日韓の歴史観(安重根を単なるテロリスト呼ばわりするな
ど)とは随分と意見に隔たりがある(参考『雨森芳洲(1)』『雨森芳洲(2)』@「近江の思想」)。
今夜は時間の都合上、残件扱いとし、後日、興味を惹いた事柄について、個別に考察してみる。
※ 安重根主犯説に対し、ロシア特務機関説が話題(情報源は?→貴族院議員室田義文証言)となり週刊文春
取り上げているという。
※ ”国民国家主義”に対置するカテゴリーとして、わたし(たち)は”国民福祉主義”を想定している。