【放射線測定機能付スマートフォン】
このブログでも携帯電話のテーマで取り上げたことが2つあった。その1は虫眼鏡機能で、
もうひとつは放射線測定機能の拡張だったが、このほど、ソフトバンクモバイル株式会社
は、2012年7月14日、世界で初めて、放射線測定機能を搭載したスマートフォン「PANTONE®
5 SoftBank 107SH」(シャープ製)を発売しあっさり実現してしまった。で、コンパクト
なデザインで手になじむフォルム。性能面では、“サクサク”動かせる操作感や高い反応
速度を実現したほか、ワンセグやおサイフケータイ®など日本仕様の便利な機能が満載とか。
測定機構や測定精度、特に電磁波の影響などの対策について掘り下げて調べてみたいが、
今夜は時間がなさそうなので別の機会にする。
ところで、東北沿岸の大震災のアウターライズが報じられている(「最大余震アウターラ
イズM9」) 。これは、昨日の「防災の日」のニース特集の関係でそう感じるのだろうが、
今度マグニチュード9クラスの余震がくればそれこそ、日本列島は一貫の終わり、いや世
界を巻き込んでの大惨事となる可能性が充分あると思い定めている。と、いっても、いつ
も通りの生活を続けているのだが、今の国会や政府や関電幹部の動きをみていると何をし
ているんだろうと思う。その点、優先順位を考えると、増税も、構造改革も、竹島・尖閣
も、国会議員選挙も‘レスザンセカンド’。そりゃそうだ、ドカンと一発いけば元も子も
ないのだから。世の中は少し狂っているように見える。そういえば、母の見舞いに車を走
らせているとき、その話をして、同席する彼女に「きみと僕とがここでいっしょにいれる
確率は、2百7拾兆分の1という奇蹟なんだからさ、お互い感じあえるときがあれば、両
手を繋いで二人で愛し合うのが自然なのだよ」と冗談半分にいった。そうすると、しばら
く、考え込んでいるような風だったが、「きみのいうことはきもいのだよ」との返事が戻
ってきた。
【カーボンナノチューブの宇宙】
EETimes で「ダイヤよりも硬く、羽毛よりも軽く-炭素が開く新材料」が特集さ
れていたが、いまでは、当たり前のように炭素の新材料、フラーレンやグラフェン、カ
ーボンナノチューブが新しいエレクトロニクスを支える素材として活躍している。一寸し
た前では考えられないことなのだが、1985年のフラーレン(C60)の発見、1987年のグラ
フェン登場、1991年の飯島澄夫によるカーボンナノチューブの発見と新しい。そして、フ
ラーレンは有機ELや有機薄膜太陽電池の半導体材料として、グラフェンは電子の移動度が
最も高い物質として知られ、デジタル回路に必須のトランジスタを高速動作できる、タッ
チパネルや太陽電池に必要不可欠な透明電極に役立ち、カーボンナノチューブは微細な回
路を接続する電線に役立つ。
上図はドイツKiel University(キール大学)とHamburg University of Technology(ハ
ンブルク工科大学)の研究チームが極度に密度が低い炭素材料を開発したもの。密度が低
いことから「エアログラファイト(Aerographite)」と呼ぶという。nm からμm 規模の
カーボンチューブからなる3次元多孔質が正体だ。発泡スチロールの75分の1の重さしかな
く、1cm3当たりの重量はわずか0.18mg)にすぎない。にもかかわらず機械的な強度があ
るという。エアログラファイトは、密度が極端に低いのにもかかわらず、強度が高い。一
般的に軽量な材料は圧縮には強いが、引っ張りには弱い。エアログラファイトは両方の性
質を兼ね備える。その作り方は、酸化亜鉛粉末を900℃まで加熱して結晶をつくり、この
粉末状の酸化亜鉛(ZnO)(下図)に樹木(酸化亜鉛)に巻き付くツタのようの巻き付い
た後に樹木を取り除くとエアログラファイトが残るという算段だ。
まず、テトラポッドの酸化亜鉛の塊を760℃まで加熱し、炭素を多く含むガス中に塊を置
き、CVD法で蒸着を施すと、酸化亜鉛の表面に炭素原子数層からなるグラファイト薄膜が
形成され、エアログラファイトの網目構造形成する。この操作とほぼ同時に水素を雰囲気
中に導入し、水素は酸化亜鉛の酸素と反応して水蒸気となり、亜鉛はガス状になって取り
除かれる。こうして極細の炭素のチューブが3次元状に広がる構造を作り上げる。亜鉛の
除去速度を高めれば高めるほど、炭素で囲まれた「泡」の比率が高まり、材料の密度が下
がる。つまり、軽くなるという。製造時制御により、エアログラファイトの性質(密度)
を変えられる。酸化亜鉛のテトラポットの形状と、亜鉛の除去速度という2つの操作ポイ
ントがあるという。
これは、リチウムイオン二次電池の電極(負極)に使えそうだ。わずかな電解質を加える
だけで、非常に軽い電池を開発できる可能性がある。電池の軽量化は電気自動車(EV)や
Eバイクでは強く求められる。エアログラファイトは二酸化炭素負荷の移動体開発に役立
つ。また、導電性物質、それも導電性を調整した新材料の開発だ。非導電性の通常のプラ
スチックにエアログラファイトを加えれば、重量を増やすことなく導電性を与えることが
でき、静電気レスのプラスチックとして使える。軽量であるという点を生かしエアログラファ
イトが振動に耐えるという性質と組み合わせれば、航空宇宙分野で使える。難分解性の水質汚
染物質の吸着剤としても機能する(放射性物質の除染にも?)。エアログラファイトの体積当たり
の表面積が非常に大きいことを利用する。吸着した汚染物質を酸化、分解することもできる。
それ以外ではどのようなものがあるだろうか、最近、産総研で「熱電変換性能の高い導電
性高分子薄膜の開発」に成功しているが、新しい熱電変換素子として応用できそうだ。ま
た、パナソニックは太陽光発電パワーコンディショナなどのインバータ電源の入力フィル
タ用や直流平滑用に最適な、長寿命と高い安全性を実現した「パワーエレクトロニクス用
フィルムキャパシタ[1]」を製品化したが、キャパシタとしても応用できるだろう。下の
特許事例は、フィルムキャパシタの製造方法だ。
【符号の説明】
1 押出機 1a 押出スクリュー 1b シリンダー 1c 材料投入口 2 材料投入ホッパー 3 ガス供
給用パイプ 4 接続管 5 フィルター 6 ギヤポンプ 7 Tダイス 7a リップ部 8 フィルム 9 圧
着ロール 10 冷却ロール 11 引取機 12、13 搬送ロール対 14 厚さ測定器 15 巻取機
15a、15b、15c 案内ロール 16 巻取管
カーボンナノチーブへの着目は結構早く、プラズマディスプレイの陰極材の調査(開発)
だし、酸化亜鉛は色素増感型太陽電池の調査開発だから、ベンチャービジネスの実績には
ほど遠いとはいえ、出来るだけ調査開発費を掛けずに先駆けてきたことを思えば、なかな
か良い線だったんではなかろうかと思っている。そこに来て今回の原発事故で、再生可能
エネルギー事業化への追い風だから予感とか予測は的中していたと思っている。このこと
を含め『ネオコンバーテック』『新弥生時代』としてテーマアップしてきたわけで、時代
の中核技術・事業として本格化したと思っている。