日々の出来事 9月21日 クマのぬいぐるみ
今日は、タモリに話しかけた観客がクマのぬいぐるみになった日です。(2005年9月21日)
2005年9月21日、“笑っていいとも!”のテレホンショッキングで、タモリと山崎邦正の会話を突如遮り、観客が大声でタモリに話し掛けました。
「 タモリさん!」
「 ん??」
「 いいとも年内で終了するって本当なんすかね?」
「 いや、聞いてないですよ。」
「 ちょっと、本当なんですかね?」
「 いや、聞いてないですけど・・。
違うんじゃないですかァ。」
CMに入ります。
・・・・・・・。
CMが終わって会場が映ると男の席には、クマのぬいぐるみが座っていました。
番組は何事も無かったかのように進行して行きます。
ロンパールームのクマのぬいぐるみ事件を知っている、気の利いたスタッフの仕業です。
クマのぬいぐるみ
☆今日の壺々話
クマのぬいぐるみに変身できる呪文
(幼児テレビ番組“ロンパールーム”のクマのぬいぐるみ事件)
うつみみどりと子供たちが言葉遊びをしていました。
「 それじゃみんな!
“き”のつく言葉を言ってみましょう!」
「 は~い!」
「 はい、たかし君!
どんな答えかなァ?」
「 キンタマ!」
「 ・・・・もっと綺麗なものを言いましょうね!」
「 綺麗なキンタマ!」
「 Σ(゚Д゚;)ノ・・・!!」
テレビ画面は“しばらくお待ち下さい”の静止画面になります。
・・・・・・・。
再開されたテレビには、たかし君の姿は無く、椅子にはクマのぬいぐるみが座っていました。
番組は何事も無かったかのように進行して行きました。
変身
友人が闇の力を手に入れたみたいです。
「 フハハハー、俺は最強の力を手に入れたぜー!」
とか言いつつ、RPGのラスボスばりの化け物に変身してました。
禍々しい角の生えた鬼のごとき形相は万人を震え上がらせ、全身の鱗でどんな攻撃も受け付けず背中の羽根で万里を駆け巡り、ビヤ樽ほどもある腕から繰り出される腕力は鋼鉄をもやすやすと千切り、口まで裂け牙が生え揃ったひとたび呪文を唱えれば辺り一帯荒れ野原。
「 これで世界は俺のものだ!」
闇から轟く亡者の声で彼は叫びました。
これで彼には世界に何一つ怖いものはなくなり、世界中の誰一人として彼に意見できなくなり、金なんか欲しいだけ手に入れられるようになりました。
俺は人間をやめたんだ、弱くて面倒な人間なんかまっぴらだ。
彼は心底嬉しそうに笑いました。
そんな友が今朝泣いて帰ってきました。
なんかコンビニ入った時点で通報されたみたいです。
ぬいぐるみ
今日は娘の誕生日なんで、記念に話します。
もう随分昔の話しになるけど、俺がまだ3歳くらいの時に、俺の姉ちゃんが親に買ってもらった犬のぬいぐるみを俺は何故かやたら欲しがったらしく、姉は泣く泣く俺に譲ってくれた。
いつもニコニコしてるぬいぐるみ。
一緒に居て安心できるぬいぐるみ。
俺が泣いてもいつもニコニコやさしいぬいぐるみ。
俺はそのぬいぐるみを羊と勘違いしていて「ひっちゃん」って読んで、毎晩一緒に寝て、凄く大切にした。
マジで情けない話しだけど、小学校にあがっても、6年生になっても俺は友達に内緒で(当然だが)いつもひっちゃんと一緒に寝てた。
ほんと大好きだったから。
だけど、親はさすがにヤバイと思ったんだろう。
俺が学校に行ってる間に捨ててしまった。
学校から帰るとひっちゃんがいない事に気付いた俺は、親を問い詰めてみると捨てた事を告げられた。
「 あんたはもう大きいんだから、いい加減にしなさい!」
俺は怒りと悲しみで、
「 なんで捨てたんだよ!バカヤロー!」
って泣きながら外へ飛び出しゴミ捨て場へと走った。
沢山ゴミ袋が積み重なっているなか、俺は人目も気にせずゴミの袋の山を必死で探しまくった。
何分くらい探しただろう。
とあるゴミ袋を開けると、色んなゴミに埋もれたひっちゃんを見つけた。
俺は泣きながら「ごめんね…ごめんね」って言った。
でも、ひっちゃんはいつものやさしい顔でニコニコしていた。
だが、俺はその日を境に、ぬいぐるみで親とけんかした事を恥ずかしく感じるようになり、ひっちゃんと接する事が減っていった。
中学生になるとまったく気にかけなくなり、やがて高校へと進学して、彼女が出来る頃には存在すら忘れていた。
それから何年か経った。
いくつかの出会いの喜びと、別れの辛さを経験し、凄く好きな人と結婚して、やがて子供ができた。
出産が近づいたある日、カミさんが倒れて病院に運ばれた。
カミさんは元々体が弱かったんだけど、難産で母子共に予断を許せない状態だった。
病院で、俺は一晩中寝ないで病院でカミさんと、生まれてくる赤ん坊の無事を願った。
この時の恐怖感と絶望感って言葉では言い表せない。
もの凄く辛かった。
朝になって医師から、
「 今は大丈夫だから、とにかく一度帰って休みなさい。」
て言われて、実家から色々と持ってくる物もあったから、
「 すぐ戻ってきます。」
と伝え一旦実家へと戻った。
実家に戻ると母親が心配そうに話し掛けてくるけど、気持ちの整理もついてないのと、心配かけたくないので、俺は平静を装った。
タオルやらなんやら必要なものを準備していると、部屋のすみっこにやさしいくて懐かしいニコニコ笑顔の「ひっちゃん」を見つけた。
俺は10数年降りに心を許せる友達に会った気がした。
そのなつかしい笑顔に押さえていた涙が溢れた。
危機的状況で、藁にもすがりたい気持ちってまさしくこんな感覚なんだろう。
俺が唯一心の弱さを晒せるひっちゃんに、
「 助けて!どうかカミさんと子供を助けて!」
って心の中で叫び続けた。
ひっちゃんは昔と変わらずニコニコしてた。
次の日、子供が生まれた。
暫くは集中看護で、入院が必要ではあるが、母子共に命に別状はなく、まさに奇跡的だったと医師も驚いていた。
緊張の糸がやっとほどけた。
俺は医師とスタッフに御礼を言って、その後の為の準備にまた実家へ戻った。
カバンに荷物を詰め込んだり、車に運んだりしているなか、ふと部屋のすみっこのひっちゃんを見ると、何故かひっちゃんはいなかった。
「 あれ?ひっちゃんどこやった?」
母に聞くと、母はキョトンとした顔で、
「 知らないよ。」
暫く入院だなんだでバタバタしてたから、どこかに紛れこんじゃったかと思ったので、家中探し回ったけどやはり見つからなかった。
俺は母にひっちゃんに神頼みならぬ、ぬいぐるみ頼みした事を話した。
「 まあ、シャレでだけどさっ。」
って茶化してみたけど、母は、
「 もしかしたら、ひっちゃんか身代わりになってくれたのかもね。
ほら、昔あんたにあんなに大切にしてもらったから。」
「 ちょ~、んな訳ないじゃん。」
って、俺はまた茶化した。
病院へ向かうクルマの中で、俺は久し振りに声を出してないた。
「 ひっちゃん…ありがとう…、今までひとりぼっちにさせてごめんね…。」
あれからひっちゃんの姿を見る事は二度とない。
当然、カミさんもこの話は知らないし、人に話したら笑われるだろう。
馬鹿げてるかもしれないけど、俺はひっちゃんが助けてくれたと信じている。
今、家族3人で幸せに暮らしている。
それで、娘のニコニコ笑顔を見ると、ひっちゃんの事思い出して胸がギュってする。
暇な校長
お化け電話って知らないかな。
小学校くらいのときに友達に教えてもらったんだけど、その番号に電話すると、オッサンの声で延々怪談を語ってくれるの。
市外局番なしで通じたから、きっとウチの街の中にあったのかも知れない。
一体誰が、何の目的でやってるのか全くの謎で、俺はむしろそっちの謎に恐怖を覚えた。
俺もかけてみた事あるけど、オッサンの声がマジ不気味で、ヒュ~デロデロデロ~と音楽もなかなか凝った演出だった。
でもある時、とんでもない事実を知ったんだ。
友達が言うには、オッサンの話が終わった後、
「 も~う一回聞くか~い?
どうするか~い?」
って、アンコールを尋ねられるらしい。
“いらない”って言うと、そのまま別れを告げて電話が切れるらしい。
ん?ちょっと待てよ、これはおかしいぞ、と。
「 あれテープじゃないの?」
オッサンが、毎回直に生電話してるわけじゃないだろwww。
俺の友達はアホばっかだったから、俺がいくら説明しても聞いてくれなかった。
「 あのオッサン、一日中電話で怪談してるだけだったら、お仕事してない人だよ。」
「 どうやって生きてんの!」
とか・・・・。
“一日中電話するとか無理やからw”と俺が言っても、友達は、
「 あのオッチャン、霊界から電話しとる。」
「 死んでるんだから、働かなくても平気やろ~。」
とか、平気で言い出す。
ピュアすぎwww。
「 んじゃー、確かめようぜ!」
ってなって、放課後友達の家へ。
で、怪談の最中は、オッサン絶対にこっちの声に反応してくれないから、話が終わった瞬間に、俺が“おっちゃん仕事何してんの?”って聞く事に決まった。
いつものように怪談が始まり、やっと話し終えるオッサン。
オッサンが、もう一回聞くか尋ねて来る前に、俺が突然、
「 おっちゃん!仕事何してんの!!?生きてんの!!」
って大きな声で聞いた。
長い沈黙の後、電話は突然切れた。
アンコールするかどうか聞かずに切った・・・。
オッサンはガチで生電話で怪談してたのだ。
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