大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 9月28日 深憂(7)

2018-09-28 18:51:22 | B,日々の恐怖






  日々の恐怖 9月28日 深憂(7)






 彼女は、懐中電灯で押入れの天井を照らすと天板の1枚を押し上げた。
その板だけ、張り付いたお札が切れていた。

「 どうぞ・・・・。」

覗く様に促される。
 俺は逃げ出したかった。
でも、既に理解不能な状態と、展開に頭がついていけてなく、今思うと朦朧としたような形で押入れに入り、その天井の穴に顔を入れた。
 人が住んでいたのだから当然なのだろうが、天井裏のスペースにも小窓がついていることに驚いた。
 薄暗い。
けど見える。
 後ろで何かが動いた気配がした。
慌てて振り返ったが、何もおらず彼女は押入れの外にいる。
 霊感などはまったく無い自分だから、恐怖から来る幻覚だったのだと思ったが、それでも震えは強くなった。
 何かに押されるようにして完全にその部屋に上がり、見渡してみた。
小学校の教科書、テディベア、外国製らしい女の子の人形、漫画が何シリーズか、その辺りが置かれていたのは覚えている。














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日々の出来事 9月28日 ダッカ日航機ハイジャック事件

2018-09-28 10:04:36 | A,日々の出来事_






 日々の出来事 9月28日 ダッカ日航機ハイジャック事件






 今日は、ダッカ日航機ハイジャック事件があった日です。(1977年9月28日)
1977年9月28日、日本赤軍の犯人グループ5人が、フランスのシャルル・ド・ゴール国際空港発、羽田行きの日本航空機472便をハイジャック、そして、同機をバングラデシュのダッカ国際空港に強行着陸させました。
 犯人グループは、乗員14名、乗客137名を人質にとり、600万ドル(約16億円)を身代金として要求すると共に、あらかじめ日本赤軍に加えようと目をつけていた日本で服役中の囚人9名の釈放も要求しました。
そして、これが拒否された場合は人質を順次殺害すると警告しました。
 これに対し、福田赳夫首相は、“人命は地球より重い”と身代金の支払いと超法規的措置として囚人の引き渡しを決断します。
日本政府は、身代金と釈放に応じた囚人6名を日本航空特別機でダッカへ輸送、交換に日本航空機472便の乗員乗客のうち118名が解放されました。
 その後、ハイジャック機は残りの人質を乗せたまま離陸、クウェートとシリアのダマスカスを経て人質17名が解放され、最終的にはアルジェリアのダル・エル・ペイダ空港で残りの乗客乗員も全員解放されました。
この事件の日本の対応は、諸外国から“日本はテロまで輸出するのか“などと大きく非難されました。
 また、後に、この対応については、アメリカから日本に強い圧力があったことが言われています。
日本航空機472便には、カーター大統領の友人で、アメリカの有力銀行の頭取であったジョン・ガブリエルが乗っており、ハイジャック犯はこの米国人に眼を付け、真っ先に殺害することを宣言していました。
“人命は地球より重い”は、“アメリカ人の命は地球より重い”と言う訳だったのです。







  ダッカ日航機ハイジャック事件


















☆今日の壺々話







     ロンドンテロ誤射殺事件が他の国で起きていたら



・アメリカ
   とりあえず必死で隠し通そうとする。でも結局バレる。
   警官は裁判にかけられ、涙ながらに“愛する国家のための行為”を主張。
   当然無罪。同僚に肩車をされて『国を護った英雄』を讃えるパレード。

・中国
   射殺されたのはテロ犯だったと意地でも言い張る。
   もちろんマスコミは疑問をもたずに報道。
   ネット上で“実は誤射では?”と書いた男性が、テロ犯の仲間だとして投獄。

・韓国
   なんかよくわかんないけど、日本のせいでいいんじゃね?

・日本
   射殺された男性がいかに素晴らしい人間だったかを特集。
   “殺された奴の自己責任論”が唱えられる。警官は戒告処分。
   一週間後、逆立ちするアライグマが見つかり、みんな事件のことを忘れる。
















テロリスト



テロA:日本でテロをやるぞ!
テロB:どんな?
テロA:そうだな・・・地下鉄で強力な毒ガスを撒く!
テロB:もうそのネタやられ済みだ。しかも俺たちよりマイナーな宗教団体に。
テロA:夏は祭りの時期!潜入して食い物に毒を入れる!
テロB:それに至っては一介の主婦がやったらしい。
テロA:繁華街で車を暴走させ、無差別に通行人をひき殺す!
テロB:単にむしゃくしゃした奴とみなされるのがオチだな。
テロA:じゃあ、高速道路でバスを乗っ取って・・・。
テロB:どこかの17歳と同レベルに思われるからやめてくれ。
テロA:めんどうだ。人の多いところで爆弾をボン!
テロB:それもあの国じゃ高校生クラスの犯罪だ。
テロA:ならもう、ハイジャックだ、ハイジャック!
テロB:またゲーム脳かよ!湾岸橋くぐりは仮想現実の中だけでやれ!・・・と呆れられるだけだな。
テロA:なんなんだよ日本て!いっそ核ミサイルぶちこんでやるぞ。
テロリB:それをやった国といちばん仲良くしてんだぞ日本は・・・。


















ハイジャック防止法




 ここは、某国の議会。
ハイジャック防止に関する議題を、連日のように話あっていた。

「・・・金属探知機等で武器は見つけられるのかもしれんが、武器になる物など日常生活にあふれている。
例えばボールペン。
これを首筋にぐさりとされればイチコロさ。」
「 突起物さえあれば、どんな物でも武器に成り代わりますね・・・。」
「 突き詰めていけば、ベルトも洋服も首を絞める武器となるな・・・。」

結論が出ることはなかった。
 突如、ある若手議員が発言した。

「 いっそのこと、”飛行機に乗るときは服を全部脱がなくてはならない”という法律をつくったらどうでしょう?」
「 なるほど!」

 法案は順調に採決され、新しい法律が生まれた。
その後、ハイジャックが起こることは無かった。
しかし、ある日、一人のスチュワーデスが政府に直訴した。

「 私たちはまだ、突起物に悩まされています!!」


















確率





問題

あなたが旅行で飛行機に乗るとして、爆弾を持ったハイジャック犯と同じ飛行機に乗り合わせてしまう危険を避けるにはどうしたらよいか?


答え

“あなたも爆弾を持って乗り込む”、である。



 ある飛行機に爆弾を持った人間が一人乗っている確率をpとすると、爆弾を持った人間が二人乗っている確率は、統計的独立性から p×pとなる。
明らかに p <<1 であるから、p×p は無視しうるほどに小さくなるであろう。
よってあなたは安心して旅行ができる!

 これは数学者 Mark Kacの自伝 Enigmas of Chance に載っていた小話です。
これはジョークなんですが、私達は、これに類した間違いを日常生活ではしばしば犯しています。
 先日も、ある作家の随筆を読んでいたら、ちょうどガルーダ・インドネシア航空機の墜落事故があった頃の話で、“家族の一人がニューヨークに出かけたが、飛行機が落ちたばかりなので確率的に今は安全だ”と書いてありました。
つまり、2度も続けて飛行機が落ちる確率は p×p ≒0 だと言うことです。
本気で言っているのか、ジョークで言っているのか、さて、さて。




問題

さいころ賭博をします。
二つのサイコロを投げて、目の和が偶数なら“丁”、奇数なら“半”です。
あなたは、丁、半にお金を賭けます。
 さて、今までに丁の目が10回続けて出ました。
あなたは、次に“丁”か“半”、どちらに賭けますか?

(1)、11回も続けて丁が出るはずがない、次ぎは半だ!
(2)、勢いってものがあら~な、この調子なら次も丁!





正解

どちらも正しくありません。
これはイカサマです。
すぐにやめましょう。

















テロリスト “傘取りババアと俺”




 うちの地元に傘取りババアっつう変わり者のババアがいた。
何をするかっていったらその名の通り、誰かれ構わず歩いてる人を襲撃して傘をかっぱらってくって言うタチの悪い盗賊みたいな事してる。
ババアの出没地帯が不確定だったから、実際の被害数は解らんけど小学校の通学路あたりだけでもクラスの5分の1ぐらいは被害にあってた。
学校でも結構マークされてた人で、帰りの会とか長い休みの前には先生から「○○で不審者が出るので無視するか近くの家に逃げなさい」ってお触れが出てたわけです。

 んで、梅雨とか傘を使う日が多い時は頻度が半端無くて、その時期がババアがすごく活動的になる頃なわけ。
そんとき俺が通ってた学校の男児が、通学中に傘取りババアに襲われて傘取られて頭に怪我して泣きながら学校に来たって事件があった。
流石にまずかったんだ。
学校と警察と男児の親が傘取りババアの家に行ってババアを捕らえに行ったんだ。

 ババアvs警察のくだりは聞いた情報だから断定した話はできないんで「だとさ」ってことにする。
ここからは聞いた話になるが、警察と親の後を追って、vsババアのやりとりを隠れて覗いてた奴の話によると、

・ババアは子供も孫もいない。
・縁側からちょっと見えただけでもババアの家の中にはすごい量の傘。
・ババアは「昔は傘がどうのこうの~」で悪びれる様子は無かった
・「むしろ傘を持ってたお前の息子が悪い」と逆ギレ
・傘を振り回して警官と親に応戦

結局、傘を振り回して暴れたのがまずかったらしくババアはそのまま警察に連行。
その後はぱったりと姿を見せなくなった。

 書き忘れたが書き忘れたが、ババアは襲撃する時にいつも傘を持って現れて傘の先で脅して人の傘を奪っていくスタイルの盗賊。
ババアが捕まったのが、俺が小学3年の頃。
 そん時はクラスの奴らで傘ババアが捕まった話で暫く盛り上がってたが、その後はババアの存在を忘れたかのように鎮静化。
というか俺はババアをすっかり忘れてた。

 それから4年後、俺が中学生になった頃にまた不審者情報が出回り始めた。
もともと地元は変なのが通学路に出没しやすくてさ、「女児を手招きして喉元をくすぐって逃走する奴」「無言で道端に座り込んで、通る子供の特徴をもとにひたすら絵を描きつづける奴」とか変人率がいやに多かったから不審者に関してはまたかよ…って感じだったわけ。
 中学は隣の町から来てたり色んなのが混じってたから「へぇ~」とか「変なのーwww」って感じの奴も多かったけど、俺はその話を聞いて記憶がよみがえった。

「 突然現れて、先のとがった傘で相手を突いて、傘を盗んで逃げるおばさんが最近いるらしいよー。」、って。

ビックリした。
 ババアが4年の時を経て、再び世に名を轟かせはじめたんだもん、そりゃビックリするよ。
しかも、今度はパワーアップしたらしく、今までは傘で脅すだけだったのに、今回は傘の先を人を刺せる程鋭く研いで、その強化傘で人を突いて奪ってくんだ。
昔のやり方じゃ、傘を盗れなくなったんだろうか。

 昔は、出没する時間は不確定だったが、日の出てる明るいうちに現れて傘を取っていってたが、今度は情け無用の暗闇からの襲撃も追加。
しかも相手の流血もお構いなし。
 実際刺されて、靭帯をやられて大会に出られなくなった野球部の奴もいた。
あの時はただの盗賊ババアだったけど、今回は完全に情け無用ババアになって帰ってきたわけ。
リアルでやばくなった学校は、会議とかホームルームでババアに対する策を練る時間を授業を潰して作ってたレベルだった。

 余談だけど中学の頃ってクラス内で粋がってるアホっているじゃん、いわゆるDQNみたいなやつ。
そいつがクラスで大声で「俺そいつ捕まえて警察に突き出すわwwww」とか「ババア一人に中学生様が負けるわけねえしwwww」とか言って、わざとババアに勝負を挑みにいった。
 そしたら捕らえに行った次の日から一週間ほどそいつは学校をお休み。
そのまま転校。
同窓会で友達に詳しい話を聞いたら、「(そのDQN)がババアに肩とか腹、足を何十回と刺されまくって大怪我、足は刺された場所が悪くて一生車椅子、頑張ってリハビリしても松葉杖なしじゃ歩けなくて今は親の介護で生きてる」って。

 しかし、DQNはやられながらも最後の抵抗を見せたよ。
ババアがつけた傷の量と深さが決め手になって今度こそババア逮捕確定。
俺があいつに感謝する点といったらそれぐらいだ。
 ちなみに、中学時代に俺も一度だけババアと遭遇。
傘で突かれる前に、傘投げてそのまま回り道して帰った。
持ってて良かった折り畳み傘。
 その後、ババアは檻へ輸送。
奪った傘は全部警察が押収、その数8千強(地元紙で小さな記事になってた情報)。
ババアに前科二犯が付き、再び世に平和が訪れ、俺は残りの中学生活を静かに過ごし、高校もうまく立ち回り不良に目をつけられる事無く卒業。

 大学は地元のじゃなくて、上京した大学に下宿で通ってたからババアとは無縁。
というかババアは檻の中だから追いかけてこねーよと、大学ではババアを完全に忘れてた。
しかも、二度目に捕まった時は結構な高齢だったから、完全に死んでると思ってたからまるでババアの存在自体が無かったかのように大学生活を送っていた。
ババアと戦ったのが今から8、9年前だから完全に昔の話だ。
 大学3年目、夏休みは実家に帰ってのんびり過ごす事にしてたから、その年もやっぱり地元に帰って散歩したり本読んだり、高校の友達と飲んでたりして夜も遅くまで遊んでた。

 その日は友達と飲んで、歩きながら話し込んだ後、橋の上で別れて一人夜風に当たってた。
当日は蒸し暑いくせに曇り空だったから、母親から傘を借りて遊びに行った。
街頭で辺りは明るくはなってたけど、やっぱり少し離れるとまだまだ暗かった。
 もともと近視だったから、先の暗闇に何があるのか全然見えてなかったのがやっぱり危なかった。
橋にもたれて川を眺めてると、なんか右の方から砂利が擦れるような音がする。
 そん時は、

「 あー、誰か来てるなぁ。」

程度でしか考えて無くて、ちょっとそっちの方を軽く見たわけ。
 暗闇でジャリジャリ鳴ってるけど、全貌が見えないと、ただ何かがモゴモゴ動いてこっちに向かってる。
じっと目を凝らして見てると、腰の曲がりようから年寄りだと解った。
 そんで、杖ついて歩いてるなってのも解った。
だけどね、ついてるのは杖じゃなかったんだ。
傘だった。

うん、ババアだったよ。

 中学で遭遇した時は、腰は曲がってなかったし、ただの人違いかと思ってたけど、皺だらけでたるみきったその顔は、間違いなく傘取りババア本人。
 つまり、あれだ。
俺が高校、大学と過ごしてた頃に、ババアは檻から解き放たれてたんだ。
で、また傘取り稼業を始めたんだ。
俺に近づいてくるババア、傘は杖の代わりだと思っていたら立派な武器でした。

 先制攻撃はババア。
一撃目は大きく振り被ってのスイング。
いきなりの攻撃に、対処できず腕でガードが精一杯の俺。
 そのまま二撃目に入るババア。
今度はとがった傘の先で斬り裂くように横振り。
そのまま後ろに下がってかわす俺。
 カーチャンの傘をなんとか守ろうと、カーチャンの傘を片手に構える。
ババアは攻撃の度にモゴモゴ呻きながら攻撃してくる。
何て言ってたんだろう。
とにかく、こわかった。
 三撃目、左に振り抜いた傘をそのまま右にスイングするババア。
傘でババアの傘を止めて押し返す。
 四撃目、中学時代にDQNを沈めたという伝説の突きが入る。
一突目は傘で、残りは後ろに下がって射程範囲内から外れて対処。
 五撃目、ババア、得物の傘を俺に向かって投擲。
腕をかすめてシャツが破れる。
一瞬怯むが、そのまま傘を橋の下に落とす。
 武器を失ったババアは、叫びながら素手で近づいてカーチャンの傘を奪おうと体当たり。
酒で酔ってた俺は、バランスを崩し転倒。
 馬乗りになって傘を取ろうとするババア、させまいと傘を掴んで離さない俺。
外の騒ぎを聞きつけた近くの家の明かりが灯る。
窓を開けて様子をうかがうおっさんが現れる。
 たまらず「助けてください!!助けてください!!」と叫ぶ俺。
おっさん無言で姿を消す。
望みが断たれた俺は一度傘から手を放す。
 お互い力強く引っ張りあい、俺が急に力を抜いたせいでバランスを崩し後ろに転がるババア。
馬乗りから解放された俺はババアからカーチャンの傘を奪い返し抑え込みにかかる。
 が、ババア、俺の脛を蹴っ飛ばして抵抗。
痛みで腕の力を緩めた時にババア脱出。
立ちあがり、そのまま腕を振り回しながら俺に再び体当たり。
しかし怪人とはいえ老人、えらくモッサリしたスピードのパンチを受け止める俺。
 そのまま関節を決めてババアの動きを封じ、ようとしたらババア噛みついてきた。
ビックリしてババアの頭を腕で押して噛みつきから放す。
ババア、離れる瞬間に俺の顔を思いっきしビンタ。
 ババア、三度目の体当たり。
鍔迫り合いの要領で、カーチャンの傘で体当たりに真っ向から体当たりで返す。
意外と軽かったババアはバランスを崩して横倒しに。
 そのまま身体全体で抑え込んでたら、さっきのおっさんが通報したのであろうパトカーがすっ飛んできて、中から警官Aと警官Bが飛び出してきた。
 警官に引きはがされ、ババアは警官に掴まりながらも抵抗。
パトカーの陰に連れ込まれていった。
パトカーの裏で警官が「うわ!」とか金属を蹴ったような音がするまま、俺はもう一人の警官に事情を説明。
 警官B、話の中盤辺りで「またか…」と呟く。
どうも傘取りババア、今回の襲撃が初めてで無いらしい。
 そのまま警察に行き事情を聞く。
傘取りババア、檻から出所した後は傘を押収されていた事を知り一時期は静かにしていたものの、再び傘を集め始めたという。
 今度は子供襲撃に加え、ゴミ捨て場や駅のホームに置き忘れた傘にも手を出していたらしく、何度か警察に注意、マークをされてたそうな。

 どうやらババア、俺が上京していた時もかなりの戦場を乗り越えていたらしく、小学生からはその戦闘能力と身軽さから「ニンジャババア」と新たな称号を手に入れたという。
 その後、身よりの無いババアは役所の職員の説得により老人ホームに行く事となったらしい。その際にも職員をそうとう痛めつけたらしく、職員は心労により家族で引っ越したらしい。
老人ホームでは傘は集める事はできずにいたらしいが、傘取りババア、かなりの凶暴老人だったそうで職員を殴る蹴る、他の老人を脅かし、夜は勝手に出歩いては今回のような襲撃を繰り返していたという。

警官B「 あの人はだいぶ昔から揉めてたらしいけど・・・。」
俺「 小学生の頃からです。」
警官B「 えっ。」
俺「 自分が小学生の頃からやってました。」
警官B「 ・・・・・・。(警官B、呻く)」


 しばらくして、老人ホームの職員の女性が登場。
着いた途端大泣きで俺に謝罪「本当に申し訳ないです!すみません!すみません!」。
 警官曰くこの展開も初めてでは無く、被害者に泣いて謝罪の繰り返しで相当気が参っているそうだ。
しかもこの職員、最近入ってきたばかりで心労で相当ボロボロらしい。
 それから十数分後、警察から連絡の入った親が到着。
何故かトーチャンとカーチャンからも謝られる。
「せっかく実家に帰ってきてくれたのにこんなことになって……」的な感じだったと記憶している。
 謝る必要は無いだろうと宥める俺。
とりあえずトーチャンは、傘取りババアと警官に話をしに行き、俺はカーチャンに謝った。

「 カーチャン、借りた傘さ、壊しちゃった。ごめん。」
「 カーチャンの傘より、アンタの心配しなさい!」

カーチャン、傘壊してゴメン。


 ある程度話がまとまったらしく、警官の話では、

・とりあえず示談。
・傘代と俺の医療費は老人ホーム側が負担。
・ババアを夜は部屋から出さない。
・老人ホームはババアをちゃんと見張ってるように。
・俺も夜遅くまで出歩くな。

との事。
 夏休みが終わり、下宿先に戻り大学生活に戻った後、そこの老人ホームはどこかの老人ホームと合併した事はその後親から聞いた。


 それから時が経ち現在に至る。
ババアと対決したのが丁度、今ぐらいの時期だったから毎年この時期になると思い出す。
今でこそ親や友達とその話をして笑い話になるが、当時の傘取りババアの存在はあまりにも大きく、当時の小学生たちに大きなトラウマを植え付けたんだろうなと思う。
ババアの生死は不明。
なんか生きてそうで怖い。
















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9月27日(木)のつぶやき

2018-09-28 07:57:08 | _HOMEページ_



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