
サンダース大学付属高校チーム隊長のケイは、M4シャーマンの初期型を搭乗車としています。いわゆる無印のM4で、初期型であるから一番最初に登場したように言われがちですが、実際の生産開始や実戦配備はM4A1の方が早かったそうです。M4A1の76ミリ砲搭載型が、副隊長アリサの搭乗車ですね。

テレビシリーズの第5話にて初登場した無印M4の勇姿です。車体前面の傾斜が緩い前期タイプで、ドライバーズハッチなどが張り出しているのが特徴です。ファインモールドから出されている公式キットも、この無印M4の姿をほぼ再現しています。というよりも、ガルパンの劇中車がタミヤキットをモデルにしているそうなので、外見の形状に共通項が多くて当然です。
ところが、アーマーモデリングの2016年3月号が発売される三日前の晩、模型サークル仲間のTさんが、電話を掛けてきて、劇場版のケイのM4シャーマンはA3だという情報がネット上にあるが本当なのか、と尋ねてきました。
「A3?・・・M4A3ですか?」
「うん、劇場版のおケイさん車をM4A3のプラモで作った人がネットに画像投稿しているのを見たんやけどね・・・」
「A3って、車体前面の傾斜が急になってて一枚板になってるタイプでしたか。劇場版のはテレビシリーズの車輌とあんまり変わらない雰囲気なので、A3ってのはたぶん無いんじゃないですかね」
「そうやろうと僕も思うけどね、劇場版を何度も観てるけど、おケイさん車はテレビ版とあんまり変わってない気がする」
「私もそう思いますが・・・、でも劇場版の3Dデータは全て作り直されてるって話ですんで、ケイのM4も細部がどこか変わってるかもしれませんね。でも劇場で観てる限りでは、動きがスピーディなんで、細部とかが全然把握出来てないんですよ・・・。後部のハンマーが一つ無くなってるのと、左側にあったクリーニングロッドが無くなってるのは確認したんですが・・・」
「そうなんか、よく見てるねえ、僕は動態視力が衰えてるから、いくら見ても違いとか全然分からんねえ。むしろ同じに見えるのよ・・・」
「少なくとも、正面観の形状は無印のM4のままみたいですよ」
「そうか、そんならええんや。これでちょっと安心したで」
このやり取りを通じて改めて感じたのですが、ガルパンの戦車におけるテレビ版と劇場版との相違点は幾つかあるのでしょうが、型式までが変わるというのは考えにくい気がします。
無印M4とM4A3は、同じシャーマンではありますが、姿が全然違いますから別々の車輌と言っても過言ではありません。そこまでの変更がなされるとはとても思えませんので、劇場版に登場するケイ搭乗車が、M4シャーマンの初期型のままであることはまず間違い無い、と思いました。
その考えは、三日後に発売されたアーマーモデリングの2016年3月号の記事によって正しいことが裏付けられました。劇場版のケイ搭乗車は、M4シャーマンの初期型のままでした。劇場版仕様への変更点は四ヶ所挙げられていましたが、結果的にはタミヤキットOEMによる公式キットの形状になっています。つまり、公式キットをストレートに組むと、劇場版劇中車の姿をほぼ再現出来るわけです。
また、アリサ搭乗車M4A1(76)wも、同程度の変更が四ヶ所あり、総じてドラゴンのキットの形状に近くなっています。アーマーモデリングの2016年3月号の記事では依然としてイタレリの古いキットを紹介していますが、以前の記事で紹介したドラゴンの「M4A1(76)wシャーマン オペレーションコブラ」が最適のキットと思われます。そのキットの形状が、履帯と転輪を除いて劇場版仕様にほぼ一致するからです。
あと、ナオミ搭乗車ファイアフライの劇場版仕様も、既にアーマーモデリング2016年2月号の記事誌上に公開されていますが、テレビ版からの変更点は、車長とトラベルロックの位置、牽引フックの厚み、尾灯の色分け、の四ヶ所です。これまたアスカのキットの形状に近くなっています。
したがって、サンダース大学付属高校チームの三種の戦車の公式および適応キットをそのまま組めば、劇場版仕様の姿を楽に再現することが出来るわけです。Tさんはその点を大喜びで評価しておられましたが、私も同じ思いでした。
三種の車輌のキットを買い揃えたら、まずは劇場版のサンダース小隊を再現してみたい、大学選抜チームの三副官の華麗なる連携攻撃に対峙したトリプルシャーマンの勇姿を再現してみたい、という気持が、劇場版の視聴を重ねるたびに強くなってきております。