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ゆるキャン△の聖地を行く17 その13  再び金山博物館へ

2021年06月18日 | ゆるキャン△

 15時8分、湯之奥金山博物館に着きました。本来の予定にはありませんでしたが、今日の巡礼行動が午前中で終わったので、ここへの再訪と温泉入浴を思いつきで追加して、ラストをここでゆっくり過ごす事にしました。

 

 本来の見学コースに入りました。前回の訪問時にはここからのコーナーの一部が展示調整期間にあたっていて見られなかったのでした。なので、何の展示コーナーであるのかは、今回の見学で初めて知りました。上図のように金山の坑道へ入っていくような雰囲気の導入路から始まっていて、なかなか良い感じでした。ワクワクしてしまいました。

 

 最初の展示室の中央ケース内で燦然と輝きを放っていた甲州金の本物です。碁石の形をしているので碁石金と呼ばれます。こういうのがジャラジャラと甲斐武田氏の懐に入っていたわけですか・・・。

 

 次の展示室は、湯之奥金山の活動期の金山村の大きな模型でした。初めて見ましたが、模型好きには最高の展示で色々と楽しめました。奥の金山の山々も遠近法による縮小で再現され、実際よりも距離感や奥行き感が感じられるように演出されていました。

 

 見事なジオラマです。常々博物館の立体模型展示に触れる機会を持つ私ですが、模型展示はどこの博物館でも精密に作ってありますので、いわゆる一般的なプラモデルのジオラマ作品を見るよりも楽しく、参考になります。こうした立体模型の専門の業者が製作しているので、プロのモデラーのジオラマ作品よりも優れた点が色々とあります。

 

 どこの歴史系博物館でもそうですが、こうした立体模型展示は、研究者や郷土史家や学識者らによる委員会での考証検討を前提としてまとめられる学術成果を細部まで反映させて製作されるのが一般的です。なので、製作する業者も歴史に関してはプロ級の方が殆どで、模型の細部まで実物と同じ材料や技法を用いて再現するケースが多いです。

 

 なので、上図のような作業小屋などの建物に関しても、発掘調査の成果や遺物遺構の実態を踏まえて推定復原を試みたうえで考証を重ねて基本設計がなされます。歴史上の出来事を立体的に再現して示すことで見学者に説明するのが目的なので、厳密なほどに史実が反映され、推定部分にしても類似の事例を引用してそれらしく再現しています。

 

 なので、模型全体だけでなく、各所の一コマのような上図の金山職人の表現だけを見ていても、存在感があって歴史的雰囲気を疑似体験出来るような見事な仕上がりです。採掘された原石を木箱に入れて下の作業小屋に運んでいる場面と思われますが、この手の肉体労働の実際はあまりよく分かっていませんから、模型でいかにもそれらしく作ってあるのは見事です。

 

 作業小屋の一つです。金山における作業の一つ、「粉成(こなし)」の場面の再現です。「粉成」とは、採掘した鉱石を、搗く、磨る、挽くなどの方法で細かく粉砕して、 鉱石中に含まれる金を単体とさせ、水の中で比重選鉱を行い、金を採取するまでの 一連の作業の総称です。
 上の作業は、鉱石を焼いて粗砕きにしたものを、磨り臼と磨り石および挽き臼を用いてさらに細かい粉にしてゆく過程を示しています。

 

 立体模型展示の全容です。手前の広場から奥の山々まで約5メートルぐらいの規模がありますが、遠近法で奥の建物などを縮小して作ってあるため、一見すると奥行きが深く感じられます。縮小部分も細部に至るまで精密に作ってあるので、見どころが豊富です。

 

 こちらの作業は、金山作業での道具の一種「セリ板」と「フネ」を用いていますので、「汰り分け(ゆりわけ)」と呼ばれた比重選鉱の過程です。比重選鉱とは、比重の重い金を細かく粉化された鉱石から取り出す際に、比重の軽い鉱石の滓だけを水とともに流し出して取り除く方法です。この作業時に使用されたのが「セリ板」「フネ」「ユリ板(盆)」などの用具ですが、上図の模型では「ユリ板」が見当たりませんので、「汰り分け」の第一段階の作業風景を再現しているようです。

 

 上図は金山村には必ず設けてあった焼き窯です。中世戦国期までの金山では、露頭掘りが主でした。それによって採掘された鉱石は、作業所に運ばれ品位別に選別されます。鉱石の色や模様などを見定めて何種類にも分類し、それらを焼き窯の中で焼くのでした。鉱石そのものは硬いので、焼くことによる熱収縮作用を加えて、鉱石を脆くしました。焼いた後の鉱石は砕いて磨り潰して粉になるまで繰り返して磨ります。

 なので、ここ湯之奥金山に限らず、全国の鉱山遺跡には必ず焼き窯の遺構が伴います。焼成によって窯本体が硬くなっているので遺跡のなかでも残存度が高く、その位置が分かれば鉱山村の規模がだいたいおさえられると聞きます。

 とにかくどこを見ても興味深くて楽しい立体模型展示でした。一時間余りじっくりと眺めていました。  (続く)

 


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