玄語

玄音の弟玄です。日々感じている事、考えている事を語っていきます。そんな弟玄が語る”玄語”です。よろしく。

”資本”を理解すること

2019-01-19 17:59:18 | Weblog
マルクス
 
今年の変化は今までとは比べ物にならないくらい凄まじいものとなり、現実をきちんと認識していないと、普通に暮らしているだけで、本当に自分が感じていることですら、何か別ものに取られていき、気づくと心も体も蝕まれていく恐れがあります。こういった状況を疎外状態といいます。
 
現代、特にここにきて、世界各国は端的に言うと帝国主義的様相を呈してきていると共に、AIなどの技術の進化が凄まじく、時代はどこにむかっているのか、どうなっていくのか誰も予想がつかなくなってきているのは日々の報道や解説からよくわかることです。こういう時代だからこそ、物事を考える上での立ち位置、スタンスが重要になってきます。その考える基本となるのはやはり書物にあります。今の時代がどういう時代なのか、経済的な観点からいうのであれば資本主義経済の社会であり、これはマルクス『資本論』により大枠が理解でき、さらにこの『資本論』を科学的に進展させていった宇野弘蔵によるマルクス経済学の理解が重要と考え、さらに今の現代的な状況をこのマルクス経済学の理解をさらに応用・発展させていった鎌倉孝夫の現状分析は理解を深めてくれます。この鎌倉先生は宇野派のマルクス経済学者として元々知られる方でしたが、さらに一般的にその名を知らしめたのは作家の佐藤優氏との対談本です。自分もこの対談本から多くを学び、さらに関心が深まった事で、鎌倉先生の著書にもあたるようになりました。
 
その中で今の時代を端的に表現されているので、『21世紀に「資本論」をどう生かすか』(鎌倉孝夫+佐藤優共著 金曜日)の鎌倉先生のあとがきから抜粋します。
 
「21世紀の世界の現実、多国籍金融資本の世界的な市場競争戦、まさにグローバルな経済戦争の中で、この競争戦に参戦している各国で、労働者・民衆の生活は破壊される一方、株式・証券ギャンブルで、さらには人間を大量にしかも効率的に殺す技術・兵器開発・拡大で利得を獲得する者がさらにますます富を増やしている。しかしこの現実を転換させ、労働者・民衆を社会の現実の主体として確立しようという変革主体形成は決定的に立ち遅れている。
 
各国の労働者・民衆は、現実に自国の競争力を強めなければ雇用も生活も維持しえないという潮流に同調させられている。資本の競争戦に協力する姿勢を示せば、資本も雇用・賃金の改善することになるという期待を持ち続けている。資本自体が、AI技術開発でさらに発展するという期待が、労働者の中に、労働者の利益擁護を唱える党の中にもある。しかし現実は、労働者、労働組合、改良をめざす党が、いまなお資本の発展に期待していることをいいことに、さらに徹底的に労働者・民衆に対する搾取を、というより収奪を強めているではないか。
 
『資本論』の論理は、資本の最高の発展形態は、擬制資本としての株式・証券資本であることを明らかにしている。現実の資本主義に生じていることは、あらゆる収入が何らかの元本から生じた果実(利子)だとして、元本が擬制され証券化されて売買されるというギャンブル世界である。資本はすでに行くつくところまで行きつき、先はない。擬制資本をつくり出した資本主義は、擬制の上に擬制を発展させるしか行く道ははない。それ自体は全く価値も(いうまでもなく人間生活に必要な富も)形成しえない。逆に価値形成を行う労働に依存し寄生して収奪するしか存立しえない擬制資本の極限的膨張。しかし、資本としては、労働者、民衆が、この支配をやめさせうることを認識し、支配をやめさせようという行動を起こし強めない限り、さらに収奪を強める、国家さえも利用して、労働者・民衆から収奪した税金を、金融資本に、しかもそのギャンブル的利益拡大のために注ぎ込み続けることになる。
 
労働者、民衆が、平和で人間にふさわしい生活を実現するには、少なくとも、資本に対する、さらにその利益を擁護する国家に対する期待を脱却しなければならないこと、自らが社会の主体なのだという認識を確立し、主体としての実力を現実に発揮する以外に展望がないことを、認識しなければならない。それがこの21世紀に、『資本論』を生かす基本ではないか、と思う」
 
資本の論理、資本という観点から考えると今の新自由主義といわれる体制のことも、グローバリズムと言われる展開もよく理解ができてきます。その主体は資本そのものであり、いうなればあらゆる事象が”お金”になるかならないかで判断されていくという世界なのです。人の生命ですらお金に勘定されてしまうのが資本の論理であり、それは日本においても例外ではないのです。本来、経済的な功利主義の入りようのない人間に関わることにも資本の論理がどんどん入り、それは規制緩和・自由化という名の下にどんどんビジネス化されていってます。
 
今年は10月に消費税の増税も予定され、今年は何が本当に起きているのかの認識を正しくしていかないと、とんでもない事態に陥ってしまう恐れを感じています。抜粋させて頂いた鎌倉先生の言葉は自分にはあまりにも的確で、その熱い気持ちが素直に伝わってきました。ソ連が崩壊して社会主義という思想そのものをも否定された感はありますが、本来、平和に一人一人が真に人間らしく、自分らしく生きて行く上で、この資本主義から社会主義という思想について正しく理解することはこれからさらに重要と考えます。その考えの基本となるのは”資本”とは何なのかの理解にあるといえると思います。真っ当な認識と強靭な理解力、こういったことが土台にあってこその真の健康への道が拓かれていくとも考えているので、このことは今後もさらに考え続けていきます。
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明けましておめでとうございます!

2019-01-01 09:20:41 | Weblog


2019年 新年明けましておめでとうございます。

12月、あまりに多くの経験をし、発見もし、時代が大きく変わる中、ゆっくり書く事もままならず、年明け元旦を迎えております。今年は亥年。干支的には最後の巡りで、一つの節目の年と言われます。奇しくも今年は改元の年でもあり、世界情勢から考えても、今年から時代は間違いなく乱世の時代に入ったと考えられます。

つい一週間前ほど、高句麗伝説コンサートに参加のため、琵琶湖、京都、奈良に行っておりました。時間を見つけて歴史を巡る旅もしましたが、行く場所行く場所、偶然にもある二人の歴史的な人物の軌跡を辿っていたことに気づきました。その二人とは源氏物語を書いた紫式部と織田信長でした。

乱世を生きる上でも、また日本に全く新しい風を吹き込んだ武将として織田信長を感じた事はとても大きいです。またこれからは女性の時代とも言われますが、その女性の言葉、表現について、より深く理解することが必要と感じており、特に平安時代の文学には本質的何かががあると考えております。その中でも特に紫式部の存在が大きいです。

今年は言葉について、より探求の幅を広げて、また深めていきたいと考えております。”言葉は存在の家”とはハイデガーの言葉ですが、今こそ、それぞれの真の存在現す言葉、気持ち・本音を現す言葉をみつけ、わかることが、乱世の時代を生き延びていける唯一の秘訣なのかもしれません。

今年は今までにない始まりを迎え、全く新しい動きをしていきたいと考えております。気持ち新たに、今年もどうぞよろしくお願いします。
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