しらけた日本。
あまりにもとんでもない事が日々、起きすぎていて、逆に慣れてしまい、それがどうにもならないとなり、諦めから、しらけたムードが漂っている。選挙が終わり、与党が圧勝なのに与党自体がどこかしらけている。これだけ大変な状況にあると言われているのに、投票率がたったの50数パーセント。小選挙区制は3割くらいの投票で過半数以上の議席を取れる仕組みという。この制度を変えない限り、一強は続くのであろう。逆にこの制度を作った人たちの思惑どうりの社会になっているという事か。
さらに大企業と言われる企業の不祥事が最近あまりにも多い。これらはまだまだ氷山の一角なのかもしれない。不祥事はというより、問題は確実に現場で起きている。末端で起きている。こういう事がなぜ起きるのか。優秀な経営者が多くいるはずの大企業でなぜこういう事が起きるのか。経営者が現場を知らないからとも言われている。管理が甘いからという意見もある。デフレだからという経済状況に問題の原因を見る人もいる。これらの問題の原因は様々あるでしょう。ただこれだけはハッキリと言えるのは、これらの原因の大元は現場で働く人にそれ相応のお金を払っていない事にあるのではないか。派遣法が改正され、ある時期から非正規雇用や期間工と言われる人たちが現場に占める割合は相当高くなっている。こういった人たちのモチベーションはいかようなものだろうか。人件費が非正規雇用により抑えられ、会社にたまるお金がふえたのは確かでしょう。内部留保が過去最高と言われる昨今である。
本も出され、そのユニークな社風や経営で知られるある会社でこんな話が書かれていた。コストの効率をよくするために、その会社でも以前は非正規雇用の社員が多くを占めていた時期があるという。ただ彼らのモチベーションは低く、まして派遣会社から派遣された人の多くは業務だけはしっかりやっても、会社に対して愛着も責任もないから、どこかぶっきらぼうでしらけた人が多かったという。当然お客さんに対してもそういう態度が出ていて、営業にも影響していることに気づいたという。そこで非正規雇用をやめ、すべてを昔の日本の企業のように、正社員にし、さらには普通よりも少し多くの給与を出すことにした結果、その会社の営業成績は上がり、社員のモチベーションも上がり、雰囲気が全く変わったという。何よりも会社に対しての態度が変わり、現場でのミスが減り、コミュニケーションも円滑になり、風通しの良い組織になっていったといいます。これは極端な例かもしれないけど、一考に値する事例ではないでしょうか。
今、しらけてしまっているのは、目の前の問題や状況に対して諦めてしまっているからでしょう。今置かれている状況に対して、それは自己責任とするムードがこの社会に蔓延している。これは子供達に起きている問題にも言える事であるが、従業員として働く人たちと同様、今置かれている問題そのものはその当事者に責任はないのです。そういう仕組みや状況を作った人たちがいるということ、そういう問題に対して権利を行使できる人がそういった問題に向き合っていない、もしくは放置し続けた事が原因なのだと考えます。責任とは権利を行使できる立場にある人が負うものであって、そうでない人に責任はないのです。だから従業員や子供達に自己責任というものはあたらない、責任そのものはないのです。
また今の子供達をはじめとして、新しく仕事にあたる人に対して、即戦力的発想がいき過ぎており、育つ時間が考慮されなさすぎている。時間がなさすぎる。これは社会全体がそうなのかもしれない。すべてがインスンタントで、短絡的。じっくり、ゆっくり育てていく発想がないことは実はただ反応するだけの人間を育ててしまっているのかもしれない。その結果からか、読書する人の数は年々減り、まして分厚い本や難しい本を読む人はさらに減っているといいます。検索してすぐわかることと、思いつきを短い言葉で発することだけに終始する人が増えているのは、必要な時間をかけなくなってしまった結果なのかもしれません。
今、起きているあらゆる問題は、本当に必要な事に対して、時間もお金もかけていないことからくるのかもしれません。今から手を打たないと、さらなる先に待っているのはただ危機的状況ということになってしまいます。本当に必要な事は人に関わる事です。その基本を忘れては、どんな成果もあがらないことでしょう。今本当にすべてを見直す時にあると感じます。