(真ん中:ラジ・スラーニ氏 Asahi中東マガジンより)
今日、NHKのEテレで”
こころの時代~宗教・人生~「ガザに“根”を張る」”という番組を観ました。
~番組の説明~
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ガザの弁護士ラジ・スラーニさんは、今夏の51日間に及ぶ戦火の渦中でも「人間としての尊厳」を保ち人権侵害と闘い続けた。その生きる力と彼を支える「根」について聞く。
ラジ・スラーニさんは弁護士の傍ら、戦争や暴力の絶えないガザで人権保護団体を創設。ガザの現状を世界に向け告発し続けた。その闘いはイスラエルのみならずパレスチナ自治政府にも向けられ、両者から逮捕拘禁されるなどの弾圧を受けた。悲惨な状況の中でも心の支えとなったのは「人間としての尊厳」。来日したスラーニさんは原発事故で汚染された飯舘村を訪ね、ガザと共通する問題を見つめた。苦難から見いだした思想と人生を聞く
【出演】弁護士・NGOパレスチナ人権センター代表…ラジ・スラーニ,【きき手】徐京植
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Eテレではなくて”クローズアップ現代”や”NHK特集”で取り上げればいいのではないかと感じる程、大変内容が濃かったです。
印象に残っている事がたくさんあるけど、パレスチナの地というのは”寛容の地”であることと言っていたのが印象的でした。歴史的に様々な宗教・文化の人々を受け容れ続け、さらにはホロコーストの時に逃亡したユダヤ人をも受け容れ、共に交流し、あの地を耕してきたのだといいます。ガザはその中でも象徴的な地といいます。元々はイスラエル建国後でも、民間レベルでは共に交流し合っていたといいます。
今はパレスチナとの境に高い壁が出来て、交流が遮断されてしまい、現実に見かける事ができるイスラエル人は兵士だけといいます。さらに今年の夏のイスラエルからの攻撃は今までにない状況を生んでおり、そして何よりも本来友人であったパレスチナ人、イスラエル人同士に心理的分断が出来てしまっていること、共に築き上げてきた信頼は一夜にして崩壊する事をスラーニ氏自身の家族の反応の変化から語られていました。
どのような状況であっても、”人間としての尊厳”を最も大事にしなくてはならず、そのための”法の支配”を実現させることで人類に貢献したいとの想いから、パレスチナ紛争で起きている事を記録として残すために国際司法裁判所に訴えたり、世界中のメディアに今起きている事を訴え続けているというスラーニ氏。すでに世界はガザ地区で何が起きているか知っているはずだ、少なくともアメリカ、ヨーロッパ、日本にはと強い調子で語られる言葉が胸を打ちます。
このスラーニ氏は福島県の置かれている状況、特に全村強制避難措置をとられている飯館村の状況はパレスチナのガザととても似ていると同情を示されています。飯館村の方に原発事故で誰か責任とりましたか?と率直に尋ねておられたのが大変印象的です。ガザも福島も”責任追及”が欠けているとハッキリと指摘されています。
この番組を見ていて、ガザと福島の問題がよく似ている事、それは世界の問題と日本の問題には共通点があるということ、さらにいえばそれは権力側と市民の関係、いわゆる社会の在り方、それは体制と統治の問題であるといえ、これらは世界中の問題の要にあることを強く感じました。奇しくも明日は衆議院総選挙。日本の国の今後の在り方が問われているといいたいけど、一強多弱と言われる状況の中、本当に大事な声が反映されにくい体制で、何が問えるのでしょうか。
それでも大事な事を訴え続ける事の重要さ、ひとつの地域の問題も世界中の問題と繋がっていることを理解し、表現し続けることの重要さはいくら語っても語り過ぎる事は無いということをこの番組からも学びました。