満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『アンナとロッテ』(映画)

2006-02-26 00:26:12 | 映画

以前日記で感想を書きました小説、『アンナとロッテ』の映画版DVDをようや観ました。

舞台はドイツ。アンナとロッテは双子。母は既に亡く、父を亡くした6歳の時、アンナはドイツ人の農家の家に、結核の症状のあったロッテはオランダ人の裕福な家庭に引き取られる。農家に引き取られたアンナは過酷な労働を強いられ苦労し、長じてオーストリア人の軍人と結ばれる。一方ロッテは結核も治り、何不自由ない生活を送るが、捕らえられた婚約者をアウシュヴィッツに送られて喪う。
お互いに書いた手紙は引取られた両親によって隠匿され届かず、再会しても心がすれ違い、もの別れに終わったふたり。そんなふたりが、80歳になってからとあるスパリゾートで再会し・・・?

というようなお話。

いやあ、泣いた。

ストーリー的には大筋では原作と違いありませんが、やはりふたりの全人生を2時間ちょっとに盛り込むのは無理があったようで、結構端折られていましたが、それでもとても見ごたえがありました。原作を読んでいたので、映画ではそれほど深く描写されなかったロッテとアンナを取り巻く人たちのバックグラウンドがよくわかり、非常に興味深く観ることができました。

何よりも映像が美しかったです。少女時代のふたりは本当にお人形のようだし、老人になったふたりがさまよい歩く森の見事さは、原作にはないシーンなのですがふたりが語り合うのにふさわしい場所な気がしました。あと、アンナが娘時代に勤めていた伯爵夫人とその城がとてもゴージャス。その時代だったら伯爵夫人ともなれば細身のプリーツドレスでも着ていそうなものですが、パンツ姿でテーブルに腰掛けて煙草を吸う伯爵夫人、かっこいいったら・・・!惚れそうになりました(笑)。

ラストは結果としては原作と同じなのですが、原作では何日もかけてお互いの過去を色んな所で語り合ったのに対し、映画では一日森の中を彷徨った挙句道に迷い、野宿した末・・・という結末になっていました。でもふたりが並んだスプーンのようにぴったり重なり合って眠る姿は、少女時代、娘時代、老年期と繰り返され、映像的にとても綺麗でした。

個人的に観て損はないと思いますが、原作を読んでからだと理解が一層深くなり、更に面白いかと思います。ご覧になる時はどうぞハンカチとティッシュを用意して下さい。


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